2025.07.24

AI搭載のSitecore DXPで実現する統合的な顧客体験の新時代

オムニチャネル時代において、企業が直面する最大の課題は「ブランドの一貫性」と「顧客一人ひとりに寄り添うパーソナライズ」です。しかし現場では、リソース不足、複雑化するブランド管理、データ活用の難しさといった壁に、多くの企業が悩まされています。企業に求められるのは一貫したブランド体験と、顧客一人ひとりに寄り添ったパーソナライズされたコミュニケーションです。本記事では、ブランドの一貫性と顧客体験の質を両立させるSitecore Streamの可能性について、電通デジタルとサイトコア社の担当者に聞きました。

3つの柱でブランド価値と一貫した顧客体験を両立するSitecore

――サイトコアとはどのような会社ですか?

岡田学氏(サイトコア):顧客のデジタル体験を最適化するソリューションを開発・提供しているグローバル企業です。現在、世界で約5800社、日本国内では約100社に導入いただいています。

ロゴの赤い円は「つながり」「連続性」「統合」を象徴し、ブランドと顧客のエンドレスな関係や、データ・コンテンツ・チャネルの一体化を表現しています。このループ型のカスタマージャーニーが、サイトコアの提供価値の核となっています。

岡田学氏(サイトコア株式会社 セールスグループ アカウントエグゼクティブ)

――どのようなソリューションを提供していますか?

岡田:当社の中核は、CMSやDAM、CDPなどのラインナップを揃えたDXP(デジタルエクスペリエンスプラットフォーム)です。またAIサービス製品としてSitecore Streamを発表させて頂き、その主要な3つの機能は図の通りです。

コンテンツライフサイクルを横断した、マーケターの日常業務を革新するマーケターのためのAIサービス
Zoom

これら各種DXP製品とAIサービスを組み合わせることで、コンテンツ制作・管理からアセット統合管理、ターゲットごとの顧客接点強化まで、総合的に支援しています。

――他のツールとの連携も特徴的ですね。

岡田:はい、SitecoreはSaaS(クラウド)型で、API連携を活用し、自社製品間だけでなくMAやCRMなど他社ツールとも柔軟に接続できます。クラウドならではの更新・保守不要な仕組みやエンタープライズ向けの強固なセキュリティも高く評価されています。

――電通デジタルとしての導入支援で重視している点を教えてください。

栗原健太(電通デジタル):私たちはCMSやCDPなどの個別ソリューション導入だけでなく、クライアントのビジネス戦略の上流から伴走できる点を強みとしています。KPI設計やペルソナの定義、カスタマージャーニー設計、ツール選定から導入、運用改善まで一気通貫でご支援しています。

常広菜々子(電通デジタル):例えば、国内大手製薬企業では、課題可視化から顧客体験設計、UI/UXデザイン、ウェブサイト構築までをワンストップで担当。マーケティングと開発を分断せず、全体最適な体制で支援していることが特徴です。


Sitecore Streamが描く、AIによるマーケティング変革

――昨年10月にリリースされたSitecore Streamはどのようなソリューションですか?

岡田:Sitecore Streamは、AIの力でマーケターが直面しているさまざまな課題の根本解決を目指して開発された最新ソリューションです。

デジタルチャネルの増加とともに、企業では「誰に、何を、いつ届けるか」の意思決定や、チャネル別のクリエイティブ制作など、運用負荷がますます高まっています。また、基盤システム(CDP、CMS、DAM)は整ってきても、保有データやコンテンツを十分に活用しきれていないという声も少なくありません。

さらに、グローバル展開している企業では、地域ごとのブランド表現の“ブレ”という新たな課題も生じています。

こうした状況を受け、私たちは、AIの力でこれらの制約を乗り越えるべく、Sitecore Streamを開発しました。現在では、Sitecoreの主要製品全てに組み込まれ、コンテンツ制作やパーソナライズ、顧客分析などの運用を、よりスムーズに進めることできます。

――Sitecore Streamの構成について教えてください。

森澤仁氏(サイトコア):Sitecore Streamは、大きく次の3つのコンポーネントで構成されています。

  1. Brand-aware AI :企業やブランドのトーン、スタイル、価値観、ガイドラインなどをAIが学習。ブランドに即したコンテンツ生成や最適化が可能。蓄積したナレッジは「ブランドキット」として活用され、どの業務やコンテンツ制作でもブランド軸をぶらさない運用を実現
  2. Copilot & Agent: ChatGPTのようなAIアシスタント機能。ブランドに関する情報検索はもちろん、さまざまな指示を自然言語で伝えられるため、業務効率や判断スピードの向上につながる
  3. Agentic Workflow: AIがプロジェクトやマーケティング施策全体の流れを管理・最適化。例えば「SEO対策を実施したい」と入力するだけで、AIが関連タスクを自動で洗い出し、複数ツールを横断しながら業務を一元管理することができる

私たちが目指すのは、AIがマーケターの“右腕”や伴走者として日々の煩雑な作業から解放し、本来の“創造的な業務”に集中できる環境づくりです。Sitecore Streamは、マーケティング変革の礎となるAIソリューションとして進化し続けています。

森澤 仁氏(サイトコア株式会社 ソリューションコンサルタント)

戦略設計からブランドガイドライン、体験設計、業務改善までを一気通貫で支援

――電通デジタルは、国内でいち早くSitecore Streamの導入支援を開始しました。電通デジタルのどのような点に魅力を感じていますか?

岡田:Sitecore Streamは、マーケターのためのAIとして「ブランド」を軸に設計されています。そのため、単なるITシステムの導入だけでは成果が出ず、ブランド価値を深く理解し、継続的に体現するパートナーが必要不可欠です。電通デジタルは、顧客目線で価値を翻訳し、クライアントに届けていく存在として大きなアドバンテージがあります。

上流の戦略設計からブランドガイドライン、体験設計、そして業務改善までを一気通貫で支援できる体制を持っています。さらに、そうしたケイパビリティを既に多くのクライアントで実証されている実績もあります。だからこそ、Sitecore Streamの価値をしっかり届けていただけるのではないかと期待しています。

森澤:電通デジタルは各プロダクトの実装だけに留まらず、クライアントと伴走して施策企画や社内展開まで総合的に対応していただけます。Sitecore Streamは実装で終わらせることができないプロダクトなので、そこが非常に重要です。

また、当社が掲げる「コンポーザブル」の思想においても、既存のCMSやCDPを無理に入れ替えることなく、他製品等への深い知見と連携ノウハウを有する電通デジタルだからこそ、柔軟な統合・連携が実現できると思います。

――Sitecore Streamと電通デジタルの掛け合わせにより、クライアントにはどのような価値を提供できると考えていますか?

栗原:岡田さんがおっしゃるように、事業戦略の設計から実行・改善まで一気通貫で支援することができます。Sitecore Streamは「ブランド資産」をAIに学習させることで、文脈に沿った次のアクションを提案してくれます。使い続けるほどAIの精度が高まり、私たちが提供するコンサルティングと同等の価値を発揮することが期待できます。

戦略をAIに組み込み、日々の業務に反映させていくことで、マーケティングのPDCAがよりスピーディに、かつ効果的に回るようになると考えています。

栗原健太(エクスペリエンス&コマース第2部門 デジタルエクスペリエンスソリューション事業部 シニアプロデューサー)

常広:多くの企業が「導入そのもの」よりも、「導入後の活用」に課題を感じているのではないかと思います。日々の業務や運用の中で改善したい点があっても、自社だけでは解決策を見出せないケースが少なくありません。そこに私たちが伴走することで、具体的な改善の道筋が見えてくると感じています。

特にSitecore Streamと組み合わせることで、業務の属人化や部門間で分断されがちな作業フローをAIが整理し、全体最適を図れるようになります。AIを“壁打ち相手”のように活用すれば、一人でも思考の整理やアイデア出しができ、アウトプットの質も高まり、担当者の負担も大きく軽減されていく──そうした働き方の変化が、すでに現実味を帯びてきていると感じています。

常広菜々子(電通デジタル エクスペリエンス&コマース第2部門 デジタルエクスペリエンスソリューション事業部)

ブランド管理と顧客体験を進化させるSitecore Stream

――今後のSitecore Streamの開発ロードマップについて教えてください。

森澤:Sitecore Streamは、今後AIによる自動コンテンツ生成やCMS上での高度なパーソナライズ配信機能など、さらに高度なマーケター支援を目指して進化を続けていきます。Microsoftとの共同開発も進んでおり、欧州イノベーションAIセンターを拠点に、グローバルな知見を取り入れながら、開発サイクルの高速化や改善にも注力しています。

――最後に、Sitecore Streamに興味をお持ちの方々に向けて、メッセージをお願いします。

岡田:Sitecore Streamのターゲットは明確に「マーケター」だと考えています。業種というよりも、日々のマーケティング業務に悩みや課題を抱えている企業に届けたい製品です。例えば、「キャンペーンやブランド施策をスピーディーに回したい」「多くのブランドや商品を同時に管理している」「グローバル展開・ローカライズに課題を感じている」企業には、ぜひ一度お試しいただきたい製品です。

栗原:運用や業務改善で課題を感じている方、特にCMSやDAMの運用負荷にお困りの方には、Sitecore Streamの導入による効果をぜひ実感していただきたいと考えています。Sitecore Streamは、CMSやDAMなどの基盤と連携することで、現場の生産性やブランド体験を大きく向上させることが可能です。

そして、私たち電通デジタルは、単なるシステム導入にとどまらず、ブランド戦略、顧客体験設計、DXP導入、運用改善、継続的な改善施策の提案・実行までを一貫してご支援できる体制を持っています。特に、SitecoreのCMS「XM Cloud」において、他プロダクトとの連携・最適化や、運用現場での課題抽出と業務改善に強みを持っています。さらにSitecore Streamの導入コンサルティング、活用支援のサービスもご提供しております。

組織の様々なステークホルダーの方と伴走し、Sitecore XMC、Sitecore Streamなど、Sitecoreの各種製品の最適な導入・運用、そして継続的な業務プロセスのアップデートを通じて、ビジネス成果の最大化をサポートしていきます。

また、「DXP × AIが実現する次世代のCX戦略 Brand-aware AIで実現する、負担の少ないブランド管理と良質な顧客体験とは」と題したセミナーを開催し、私と森澤さんが登壇しました。Sitecore Streamのデモンストレーションほか、今回の記事ではご紹介しきれなかった内容についても詳しく説明しておりますので、ぜひ下記のアーカイブ動画をご覧ください。

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