2021年12月02日

デジタル広告

コラム

Cookieフリー対応の新計測基盤「X-Stack Connect」とは、どのような仕組みなのか?

※所属は記事公開当時のものです。

世界的なプライバシー保護の流れの中、Cookieの利用を制限しようという動きが強まっており、すでに従来のデジタル広告の運用や計測が影響を受けはじめています。

そうした背景のもと、電通デジタルは、Cookieに依存しない新しい計測基盤である「X-Stack Connect(クロススタック・コネクト)」を開発し、2021年7月に提供を開始しました。

この記事では、X-Stack Connectとはどのような計測基盤か、特長と仕組みや導入方法について、X-Stack Connectの開発と導入を担当する小山千春に話を聞きました。

「Cookieフリー」のX-Stack Connectとは?

――X-Stack Connectは、ひと言で言うと、どういうソリューションでしょうか?

小山ユーザーのプライバシーに配慮をした形で、既存のCookieだけに依存せずに、サーバーサイドのアクセスログとフォームの入力情報をもとに、コンバージョン(CV)計測に活用できる仕組みです。もっとも重要なポイントは、このデータはユーザーの許諾を得た上で、適切に収集したデータであるということです。

――X-Stack Connectの利用に必要なシステム環境は?

小山ウェブサイトにGoogle タグ マネージャー(以下、GTM)とGoogle アナリティクス 4(以下、GA4)が設置されており、Google Cloud Platform(以下、GCP)を契約していれば、すぐに導入できます。もし、この3つが揃っていない場合は、これらの作成や導入からのご支援も可能です。

ちなみに、GTMでは、現在一般的に広く使われているウェブコンテナだけではなく、サーバーコンテナ(以下、sGTM)も利用する点が、非常に大きなポイントです。sGTMとGA4を経由して、そこからGCPにデータを溜めていくことで、ブラウザから直接データを飛ばすのではなく、サーバー上で送信するデータの取捨選択をするなど様々な処理を行うことになります。

――X-Stack Connect開発の背景には、特に近年大きな高まりを見せている、プライバシー保護の潮流があるのですね?

小山そうです。ユーザーのプライバシー保護を踏まえた上で、クライアントのマーケティングニーズを満たす方法はないか検討し、それを実現するために開発されたのがX-Stack Connectです。

――X-Stack Connectが「Cookieレス」ではなく「Cookieフリー」と称しているのは、なぜですか?

小山われわれも、従来のCookieのみに頼り切った状態は、プライバシー保護の観点などからいくつかの課題を含んでいたと考えています。X-Stack Connectは、Cookieを完全に使用しない「Cookieレス」ではなく、従来のCookieだけに頼り切らない状態である「Cookieフリー」を目指したので、このような表現にしました。

特長は「持続可能性」「汎用性」「導入コスト」「プライバシー」

――従来のCookieに依存した計測と比べて、CookieフリーであるX-Stack Connectはどのような特長がありますか?

小山X-Stack Connectは「持続可能性」「汎用性」「導入コスト」「プライバシー」の4点において、従来の計測システムが抱える課題を解決できます。

計測環境としての持続可能性

AppleのSafariでは3rdパーティCookieは完全に規制されており、1stパーティCookieも一部制限されています。GoogleのChromeも2023年にはウェブブラウザにおける3rdパーティCookieの利用は不可となる予定です。つまり、ブラウザCookieに依存した仕組みに拘泥したままでは、計測環境の持続可能性を維持できない可能性が高い。その点、サーバー計測に対応したX-Stack Connectなら、この課題をクリアすることができます。

汎用性の高い実装方式

X-Stack Connectの場合、sGTMとGA4によって共通基盤を作成するため、1回の実装で汎用的な仕組みを作ることができます。対応プラットフォームごとにデータ基盤を作る必要がありません。また、複数のプラットフォーム横断に必要な情報はわれわれが型化しているため、複数媒体への接続も非常に容易になっています。

導入ハードルの低減

一般に、ウェブサイト上の行動を計測するための基盤を新たに作るというと、CDPを導入したり、オンプレミスで開発したり、大きな費用がかかるイメージがあります。しかし、X-Stack Connectを利用する際の事前準備は、GTM、GA4の設置とGCPの導入だけなので、簡単に実装することができます。

プライバシー保護への配慮

X-Stack Connectは、ユーザーの許諾を適切に取得し、プライバシーを保護しつつ、必要なデータを用いてCV計測をすることを目的としています。こうした考えに基づき、技術的なサポートだけではなく、許諾取得のためのコンサルティングなども含めた、一気通貫のサポートを提供しています。

また、クライアントが取得した個人情報を扱う場合は、X-Stack Connectの基盤は、クライアントが保有するクラウド環境下に構築することを原則としています。このように、徹底的にセキュアにこだわった仕組みによって、安心してデータを利活用していただけます。

サーバー計測や、X-Stack Connectがアクセスログ、フォーム入力データでCookieの情報を補完する仕組み

――X-Stack Connectやサーバー計測では、どのようにデータを収集し、補完しているのでしょうか?

小山まず、サーバー計測では、媒体側で持っている広告閲覧時の情報やログと、サイトへ訪れた際のサーバーへ格納したアクセスログやフォーム情報を、個別に切り出した他の情報とは結びつかないセキュアな環境で突き合わせます。

その後、CVしたかどうかという情報だけが媒体に戻され計測するという仕組みになっています。

これにより、プラットフォームと自社サイトを横断して、Cookieだけに依存しない状態で、広告をクリックし来訪したユーザーがCVしたのかどうかを計測することができます。

紐づけに使うマッチキーとしては、上記のように既存のCookieなども用いつつ、それ以外の情報も多く使用します。

また、これだけのマッチキーが候補にあがるということは、現状サービスを提供する側も、昨今の潮流を受け止め、許諾に基づいた最大限の情報補完のための自助努力が必要になりつつあるという事の裏返しでもあります。

そして、このサーバー計測を実現した、X-Stack Connectの具体的な仕組みは下図のようになっています。

サイトアクセスログは、sGTMとGA4を経由して取得します。

フォーム入力情報は、サイトアクセスログ同様に、GTMのウェブコンテナやサーバーコンテナを通して取得します。

また、このデータは基幹DBを通して取得することもできます。取得した後に、BigQueryへデータを格納し、それらを媒体仕様に沿って整形をして、各媒体へ送るという仕組みになっています。媒体への接続も、われわれの方で型化しているので、非常に汎用的です。

媒体への接続や展開の広がりについて

小山X-Stack Connectの特徴は、サーバー計測の仕組みを他媒体への反映や他のソリューションへの展開のしやすさという点にもあります。

現在の各プラットフォームへの対応状況は下図の通りです。

X-Stack Connectの受け口には、X-Stackのスコアを連携することはもちろん、通常のCV計測データも連携できます。

データの送り先は、GoogleやFacebookなど、すでにサーバーサイドのAPI送信に対応しているソリューションにはすべて対応しています。また、このデータ送信の仕組みは、非常に汎用的に作っているため、今後媒体が、新たなソリューションを出したときも、いち早く対応できる状態になっています。

X-Stack Connectは、汎用基盤として、複数の媒体に接続する際も横展開が非常に簡単な基盤です。接続する媒体が増えても、実装は1回でできるので、非常に導入しやすい仕様になっています。

また他の施策への接続、展開という意味でも汎用性が高いのが特徴です。

例えば、GCPへ一度データを通してから媒体に連携するという手順を踏んでいることから、送るデータはウェブ上だけのイベントにとどまらず、その先のより深い地点のイベント基幹から連携して、送ることが可能になります。

そのため、最適化の対象を既存のウェブCVからより本質的な事業成果へと転換していくこともできます。

他のCookieフリーソリューションとの連携という観点では、Data Clean Roomとの間を取り持つために活用することができます。

Data Clean Roomのそれ自体は媒体側が持っているデータになります。そのため、ハッシュ化された個人データや広告識別子など、データを統合させるキーがなければ、それ自体のみではウェブサイトのアクセスログなどと組み合わせた分析はできません。そこでX-Stack Connectを活用すると、これを活用してData Clean Roomとアクセスログなどをぶつけて分析することが可能になります(もちろん、分析の際はData Clean Roomならではの制限があるので、なんでもできるというわけではありませんが)。

つまり、ここから何が言いたいかというと、一見守り一辺倒なソリューションのように見えますが、実はこれを導入することで他のソリューションへの展開なども簡易にできるようになる攻めの基盤としての特徴も持ち合わせているのです。

X-Stack Connect導入の進め方

――実際にX-Stack Connectの導入を進めるにあたって、クライアント社内ではどのような部署に相談すればよいですか?

小山おもに3つの関係部署の方と相談していただく必要があります。

まずは、実装する際にサブドメインの設定が必要なので、ドメイン管理の担当者。次に、GCPのプロジェクトを新たに立てたり、基幹システムと連携したりする場合の相談が必要なので、情報システム部門の担当者。それから、フォームデータを扱う場合は、プライバシーポリシーや個人情報保護が法的に問題ないか確認するために、法務担当者にも相談する必要があります。

――X-Stack Connectを導入したいというご相談から実際に導入するまでの期間は、おおむねどのぐらいですか?

小山実際の実装期間に絞ってお話しすると、アクセスログデータを収集する場合は、ある程度パッケージ化されているので、およそ1ヵ月前後で導入できます。

フォームデータのような個人情報も扱う場合は、基幹システムとの連携や機能開発の話も出てくるので、2、3ヵ月が一般的な目安となります。

――X-Stack Connectは、現在どういう課題や問題を抱えているクライアントにとって役に立つものですか?

小山ウェブ広告を出稿して、計測を行っている企業は、すでに大なり小なりCookie規制の影響を受けている可能性が高いため、役に立つソリューションです。特に「iOSユーザーが多い」「ウェブ上でCV計測をしている」「自動入札を活用している」といった企業には、お役に立てると思っています。

――最後に、X-Stack Connectの導入に興味がある担当者にメッセージをお願いします。

小山これまでにX-Stack Connectを実装した会社では、多くの成果が現れています。これは裏を返すと、実は、もうすでに多くのサイトが、ITP(Intelligent Tracking Prevention)の影響をかなり受けている状況にあると考えられます。すなわち、雨はこれから降るのではなく、もうとっくに降っているということ。1日でも早くX-Stack Connectを導入することで影響を最小限に抑えることができます。

また、Cookieフリーへの対応は、X-Stack Connectさえ導入すればいい、というわけにはいきません。他のCookieフリーソリューションや、Data Can Roomなどと掛け合わせながら、多角的に対応することで、Cookie規制に対するカバー範囲を広げることができます。

Cookieフリー時代へ向けて、大小にかかわらず何らかの課題感をお持ちのご担当者様は、ぜひ電通デジタルにご相談ください。