2021年09月14日

エクスペリエンス

コラム

CROでコンバージョン率アップ!オウンドメディア改善のポイントとは?

※所属・役職は記事公開当時のものです

マーケティングやブランディング、採用、広報などの目的で企業が独自に運営するWebサイトであるオウンドメディアにおいて、SEOや広告での集客をできるだけ効率よくコンバージョンにつなげるには、CRO(コンバージョン率最適化)が欠かせません。

CROというと、A/Bテストを繰り返してボタンやバナーのクリック率を上げる、といった印象をもたれがちですが、実際はユーザー体験を見据えたWebサイト全体の改善が必要です。施策を誤ると、効果が上がらないばかりか、時間もコストも余計に浪費してしまうことになりかねません。

電通デジタルでは、データを徹底的に分析し、見込み客や潜在顧客のインサイト(文脈)から、顧客育成を踏まえたサイト内体験の在り方を追究します。そのため、表層的な施策ではなく、どんな「ユーザー」に、どんな「タイミング」で、どのような「コミュニケーション」を提供するかを見極め、コンバージョン率を上げていくCRO手法を用いています。

今回は、CROグループ グループマネージャーの好村俊一がファシリテーターとなり、同グループのコンサルタント福島亮介、清水翔平に、これまでに取り組んだオウンドメディアのコンバージョン率改善実績から、コンバージョン率を改善するために大事なポイントについて話を聞きました。

個人向けローン商品を扱うオウンドメディアで、新規申込率を大幅にアップ

好村今回紹介する案件で実施したCRO施策と成果を簡単に教えてください。

福島クライアントは個人向け金融商品を提供している会社です。その商品紹介を目的としているオウンドメディアのコンバージョン率を上げたいという依頼を受けました。

このオウンドメディアのコンバージョンとして定めているアクションは「新規申し込み」です。

最初はオウンドメディアの運用やページの改修から始めましたが、徐々にスコープを広げて、広告ランディングページの改修やリニューアル、さらにはWebサイト全体のリニューアルまでを手がけたことで、1.9%だったコンバージョン率を2.7%にまで増加させることができました。

紹介する案件の概要

クライアントの業種 金融
商品/サービス 個人向けローン商品
コンバージョンとして定めているアクション Webサイトからの新規申し込み
CRO実施前のコンバージョン率 1.9%
CRO実施後のコンバージョン率 2.7%(改善率142%)
CRO施策の主な内容 Webサイトの運用、制作など部分的な改善から開始し、広告LPの改修・リニューアル、Webサイト全体のリニューアルまでを実施

好村今回の案件では、CROを実施したことで、コンバージョン率が142%改善しました。その成果を上げることができた一番の成功要因は何ですか?

福島CRO施策を実施する前に、改善前の現状分析をしっかり行ったことが一番の決め手となったと捉えています。

好村事前の現状分析が大事である理由は何ですか?

福島あらかじめ分析をしておくことで、施策の効果やWebサイト来訪者ニーズがデータから明らかになるからです。

ページの改修やWebサイトリニューアルといった一連の施策を行った後に、どの施策がどれぐらいコンバージョン率向上に貢献したのか、クライアントからは説明を求められます。費用対効果も含めて、施策の効果総合的にデータから判断していただくためにも、事前分析をしてから進めていくことを大事にしています。

もちろん、すべての施策は仮説を立てて、コンバージョン率が改善する前提でアクションをしますが、どれぐらい効果があったのかは、検証してみないとわかりません。事前分析をしておくことで、想定したほど効果が上がらなかった場合には、次の仮説を立てて、継続的にCROを進めることができます。

好村クライアントへの結果報告ですが、施策前後の数値データを示すだけで理解してもらえますか?

福島難しいですね。訪問数、コンバージョン率の数値などをExcelで一覧表にして「これぐらい増えました」だけでは、データが読める人にしか通じません。ですので、Webサイト訪問者のユーザー行動が全体としてどのように改善されたか、どこのボトルネックが解消されたかなどを、ビジュアルを駆使してわかりやすく説明することも、分析者の工夫のポイントだと思っています。

福島亮介(電通デジタル)

福島亮介(電通デジタル)

好村仮説検証を行ううえで重要なポイントは何ですか?

福島Webサイト来訪者の入り口と出口を中心にデータを見て、ユーザー目線で課題を想像して仮説を立てることですね。来訪者の入り口とは、Webサイトのトップページやランディングページ。出口とは、エントリーフォームなどのコンバージョンに近いページ。そこを中心に仮説を立てて改善施策を実行し、検証を行います。ただページの数値を見て大きい小さいを課題とするのではないという意味で、これはWebサイト構造やクライアントの業種を問わず、使える知見じゃないかなと思っています。

好村今回の事例は、個人向けの金融商材Webサイトでしたが、オウンドメディアの部分的な改善から始まって、最終的にはWebサイト全体のリニューアル、広告ランディングページのリニューアルまで手がけることになりましたね。オウンドメディアのCROで最大の成果を出すという観点からは、複数のWebサイト全体の最適化が必要になる、ということでしょうか?

福島そうですね。オウンドメディアでの仮説検証を通して得たCROの知見は、ランディングページにも応用することでシナジーを出せることが多いですし、その逆もあります。

ただ、クライアントによっては、オウンドメディアと広告のランディングページで、それぞれ部署や担当が異なっていて、社内では、なかなかシナジーを生みにくいという事情もあります。そういうときに、私たちのような外部のコンサルタントが、ナレッジをもとに取り組んでいくことで、お役に立てるのではないかと思っています。

ただ、最初から全体最適を目指すのは難しいので、最初はオウンドメディアのページ改修やページ新設など、小さなスコープから始めて、だんだんオウンドからランディングページ、広告との連携、CRMとの連携、というように広げていくのが理想です。

スコープが広がるほどCROがビジネスの売り上げに与えるインパクトは大きくなります。小さな改善から仮説検証を繰り返して、全体最適に合わせた合理的な成長支援ができればと思っています。

好村なるほど、CROを提供することで、データからサイト上の課題が明白になるだけではなく、課題と打ち手を紐づけた仮説をもったPDCAサイクルによって、たとえ施策効果がなかったとしても知的財産として蓄積し、次の改善に活かすことができます。

また、コンバージョンを増やしたいというニーズは、オウンドメディアでも広告領域でも一緒なので、どんどんクライアントを巻き込みシナジー効果を生み出していく。

1サイト上での改善活動に留まることではなく、事業インパクトを最大化するための合理的な成長支援と言える向き合い方、ということがわかりました。

好村俊一(電通デジタル)

好村俊一(電通デジタル)

定量分析・定性分析をフル活用して、コンバージョン率改善率148%を達成

好村次に紹介する案件ですが、対象WebサイトとCRO施策概要を教えてください。

清水クライアントの業種はB2Bの金融サービスです。B2Bで商品(サービス)の取り引きが行えるWebプラットフォームを運営しています。今回CROの依頼を受けたのもそのWebサイトです。

コンバージョンとして設定しているアクションは、「商品(サービス)の出品」「興味あり(ボタンのクリック)」「商品(サービス)の落札」の3つです。

依頼を受けた時点での出品コンバージョン率は4.2%でした。CROを実施する前に行った事前分析によって、ユーザー導線のボトルネックを洗い出し、施策を検討。出品物の一覧・詳細ページの見せ方を変更したり、お気に入り機能を追加したりといった改修を行うことによって、6.2%まで増加させることができました。改善率は148%です。

紹介する案件の概要

クライアントの業種 金融
商品/サービス B2BプラットフォームWebサービス開発
B2BWebサービス
コンバージョンとして定めているアクション 出品、興味あり、落札
CRO実施前の出品コンバージョン率 4.2%
CRO実施後の出品コンバージョン率 6.2%(改善率148%)
CRO施策の主な内容 情報の見せ方変更、お気に入り機能追加

好村ボトルネックを見つけるために、どのような分析を行ったのでしょうか?

清水Google アナリティクスを用いた定量分析と並行して、定性データ分析も行いました。

まず定量分析では、Webサイト全体で「コンバージョンしたユーザー」と「コンバージョンせずに離脱したユーザー」の動きを見ました。この2つを比較することで、明らかに離脱率が高いページ、いわゆるボトルネックが見つかりました。

次に、なぜボトルネックでユーザーが離脱しているのか、その理由を探るために、Webサイトの複数のユーザーに対して定性調査(ヒアリング)と定性データ分析を行いました。

好村定性調査を行う際に留意したポイントはありますか?

清水特殊な行動をしているユーザーを定量分析によって除外したうえで、一般的な行動をとっている離脱ユーザーに対してヒアリングを行いました。ヒアリングでは、ユーザー一人ひとりの行動と気持ちを徹底的に掘り下げました。ある行動について、なぜそういう行動をしたのか、行動の裏にある思考や感情を丁寧に聞き出すことでインサイトを明らかにしました。

清水翔平(電通デジタル)

清水翔平(電通デジタル)

好村今回の事例で用いた分析方法は、他の業種・業態のオウンドメディアでも有効ですか? それともクライアントごとにユニークな分析が必要ですか?

清水基本的にどのようなクライアントのオウンドメディアでも、定量分析と定性分析の組み合わせで対応できます。もちろん、定性調査でどういうユーザーを対象に選ぶか、どういう質問をするのかは、クライアントごとにユニークになります。

定性調査では、ユーザーの属性情報を得たい場合は、Webサイト上でアンケートをとってしまうことが多いです。一方で、1人のユーザーに対して、ある行動の裏にどういう感情や心理変容があったのか、深く探りたい場合には、デプスインタビューを行います。

好村定性調査・分析を行った結果、クライアントがまったく想定していなかったような意外なインサイトが出てくることもありますか?

清水ある程度想定していた内容にマッチするパターンが多いと、個人的には思っています。クライアントの担当者はオウンドメディアのことをよく知っていますし、それまでにも何度か調査や分析を行っていることも多いですから。

好村クライアントが「知らなかった」「想定外だった」というような結果が出ることはありますか?

清水はい。ユーザーがサイトに来訪するときのモチベーションが、想像していたものとは違っていた、という声を聞くことは多いですね。たとえば、「商品を買おうと決め打ちで入ってきているユーザーが意外と多かった」「Webサイト内の回遊はあまりコンバージョンに貢献しなかった」などです。デプスインタビューの結果を伝えたときには「ユーザーが他に見ているWebサイトが想像と違っていた」という感想を伺ったこともあります。

好村そのような反応が返ってくる理由としては、どのようなことが考えられますか?

清水おそらく、普段はオウンドメディアの中の動きしか見ていないからだと思います。当然ユーザーはクライアントのWebサイトだけでなく、競合会社のWebサイトも見に行っていますし、今はSNSで広告に接触したり、情報を集めたりすることも多くなっています。

クライアントは、自社オウンドメディアの外でユーザーがどういう動きをしているかというデータは持っていないし、見ていない。そういう背景があって、想定していた結果と違うことが多いのではないでしょうか。

好村一般に、定性分析には時間とコストがかかるというイメージがあるかと思います。定量分析だけ、あるいは定性調査・分析だけでCROを進めることは可能ですか?

清水どちらか片方だけでというのは、あまりおすすめできません。定量分析だけだと、ボトルネックの場所は突き止められますが、その原因については仮説ベースで施策を進めなくてはいけないので、打ち手の精度が悪くなってしまうんですね。

一方で、定性調査・分析だけだと、ユーザーの心理や意見はわかりますが、その意見がどれぐらい全体ユーザーを代弁しているのか、Webサイト上でのユーザー行動にどのように反映しているのかが見えにくい。ですので、CROの効果を高めるためには、できるかぎり両方の分析を行うのが望ましいと考えています。

クライアントが望んでいるのは、コンバージョン率アップ。コンバージョン率さえ上がれば、手法は問わないというのが一般的です。我々としては、仮説の精度や施策の効果を高めるために、定性と定量ともにやった方がいいですよというアプローチです。

ただ、案件ごとにクライアントが希望する期間や費用は異なります。そうなったときには、とりあえず定量分析だけというケースもあれば、定性調査でデプスインタビューを行うといった形で、スコープを狭めたり、分析手法や施策を取捨選択したりといった形で、柔軟にカスタマイズしてご提案することも多いです。

今回の案件では、サービスが立ち上がったばかり、ということもあったので、事前に打ち合わせを重ねて分析方法を選定し、必要なデータを収集するための分析環境構築から行っております。

好村よく分析というとアクセスデータを可視化するだけ、であったり状態把握で扱われ不要に思われるケースもよくありますが、CROではサイトの状態から問題箇所の特定、改善を行うための精度向上のために実施します。どちらか、のデータを活用するのではなく、コンバージョン増加のためにどちらものデータを活用し補完することで、あらゆる角度からボトルネックを見つけ出します。148%という高い改善率を出した背景には、定量定性の特性を活かしデジタルユーザーの本質を見つけ出すことが非常に重要なことがわかりました。

◇ ◇ ◇

好村コンバージョン率を最大化させるためにA/Bテストを活用し改善活動に取り組むWebサイトも多くなっています。もちろん、そうした機械的な手法で高速にPDCAを回すことは重要ではありますが、局所最適に陥ってしまう弊害もあれば、施策だけ多く打っているだけで本質的な改善が出来ず低い改善に留まることもあります。CROの観点からは、自社のWebサイトの現状を正確に把握し、適切な施策を実施することが着実なグロースへの近道です。

今回ご紹介したのは金融サービスを扱ったオウンドメディアの例ですが、他の業種や商品サービスにも活用できる内容です。CROに関してお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

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