2016.07.30

第4回 マーケティングプロセスのデジタル化

デジタルマーケティング業界を知ろう

「デジタルマーケティングってそもそも何?」という疑問に答えながら、業界理解を深めていく就活お役立ちコンテンツ。第3回に続いて、デジタルマーケティングの事例を紹介していきます。今回は就活の人気業界の内側にスポットを当てます。


あの就活人気企業もデジタルマーケティングを活用している

ちょっと大げさな見出しですが、実は就職人気ランキングに名を連ねる企業の多くが、デジタルマーケティングに力を入れています。

今回紹介するのは生命保険業界と自動車業界の事例です。第3回で紹介した雑貨ブランド、ファッションブランドと少し異なるのは、営業プロセスです。雑貨や洋服に比べて商品が高額なので、営業担当者が時間をかけて顧客と関係を築いていくことが特徴です。

このプロセスに、デジタルで蓄積データをどのように活用しているのでしょうか。

生命保険C社:データを駆使して営業先リストを刷新

Zoom

C社が抱えていた課題は、特に若い世代の顧客へのアプローチがしづらくなってきていることでした。最近はどの企業もセキュリティが厳しく、かつてのように新入社員・若手社員をビルの入り口で出待ちして営業するといったこともできなくなっています。

そこで、C社はデジタルマーケティングを活用して新しい顧客を生み出す方法を検討しました。目をつけたのは、会社から社員に渡している営業先リストです。
このリストはC社が長い間利用してきたこともあって、情報が古いことや、あるいは名前と勤務先だけ書かれているなど、営業するには情報が少ないといった問題から、あまり有効活用できていませんでした。

C社はこのリストを3つのステップで補強し、デジタルで営業効率をアップさせました。

生命保険は、結婚や出産など、生活に変化が起きる出来事(ライフイベント)をきっかけに加入を検討することが主です。そのため、まずはデータを扱う専門会社と協力し、「結婚もしくは出産関連の記事やサイトを見たことがある人」を絞り込みました。これが最初のステップです。

絞り込みは、各サイトに設置された「クッキー」と呼ばれるマーキングの仕組みが使われています。これは例えるならば、イベントやテーマパークに行くと手に押される来場者スタンプのようなものです。そのため、この段階ではまだ営業するための連絡先や名前などはわかりません。

そこで2つめのステップ。C社は、そのマーキングされた人にむけて、人気キャラクターとコラボしたプレゼントキャンペーンの告知を行いました。プレゼントキャンペーンは、応募時に個人情報が取得できます。ここで「結婚・出産関連の記事やwebサイトを見たことがある人」の中から、さらに「名前、連絡先などが分かる人」を絞り込むことができました。

この情報をもとに、「これから結婚・●●さん・31歳」「出産間近・▲▲さん・28歳」といったデータを営業リストに追加。単なる名前と連絡先だけではなく、事前情報を得た上で、新たな顧客にアプローチをすることができるようになりました。その結果、一人ひとりにあった情報を伝えることができ、成約率も格段にアップしたのです。

自動車メーカーD社:データをフル活用した消費者への提案

Zoom

自動車も生命保険と同じく、ライフイベントに連動して購入・買い替えが起きやすい商品です。D社はデータを使って、どのようなアプローチをしたのでしょうか。

D社の戦略は、いわゆる「車離れ」が進む中、新規顧客ではなく既存の顧客に買い替えを促すことです。最後にショールームで会ってから何年か経ってしまった顧客に対して、いつコンタクトすればよいのか。そのタイミングを見計らうためにデジタルデータを活用しました。

まずはデータを保有する専門会社、さらに自動車情報サイトやアウトドア関連の情報サイトを運営する会社などと連携。転職・出産・新たな趣味など、「車の買い替えと関連がありそうな情報を見ている人」を絞り込むところまではC社と同じような手法をとりました。

次に、このデータの中から自社の顧客を探しました。既存の顧客はメールアドレスなどの連絡先を把握しているため、マーキングされた人の中に、登録されたメールアドレスを使っている人がいるかどうかを、専門会社と協力して照合しました。

こうして既存顧客の中から、買い替えをおすすめできそうな人を絞り出し、全国各地のショールームを通してアプローチをします。手当たり次第ではなく、ちょうど良いタイミングを迎えた顧客に営業するので、営業プロセス全体の効率化にも貢献しました。

また、最近ではLINEを使って車検や修理の予約を受け付ける取り組みも始まっています。デジタル上でこうしたやりとりをすることで、顧客の利便性はもちろん、これまで各ショールームに眠っていた来店記録などのデータが、本社と瞬時に共有できるなどのメリットが生まれました。


顧客との接点を、"点"ではなく"線" にする

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C社とD社は、デジタルマーケティングによって営業の精度を高めることに成功した例です。また、データを活用することで、顧客に対しても「必要なときに必要な情報を届ける」ことができるようになりました。

第2回・第3回にも通じることですが、消費者(顧客)の生活がどのようなデータに反映されるかを考え、そのデータをもとに消費者との接点を持つこと。扱うのはコンピューターの中の数字かもしれませんが、そのデータの中から消費者のリアルな生活・行動を見出していく過程こそ、デジタルマーケティングの面白さです。

また、今回登場したC社・D社といった企業のデジタルマーケティングのコンサルティングをすることは、マーケティング部だけでなく、営業部やシステム開発部など、クライアント企業の複数の部署をまたいだ一大プロジェクトをリードする仕事です。ときには経営者も加わり、クライアント企業の社運をかけた施策を進めていくこともあるのは、大変な部分でもあり醍醐味ともいえるでしょう。

次回は、これまでの内容を総括しながら、最新のデジタルマーケティングの業界の動向などについて紹介していきます。


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