2025.07.15

デジタルメディアプランニングをAIで効率化する「∞AI MC Planning」

電通デジタルは、急速に変化するクライアントのニーズに応えるため、AIエージェントを活用して、戦略立案からメディアプラン作成、実行(エグゼキューション)までを一貫して支援する革新的なソリューション「∞AI MC Planning」を開発しました。本記事では、「∞AI MC Planning」の特長や、どのようにマーケティング業務を変革するのかについて詳しくご紹介します。

デジタルメディアプランニング/運用のプロセスをAIトランスフォーメーションさせる

――∞AI MC Planningを開発した背景を教えてください。

杉本:マーケティング領域では、今まさに大きな地殻変動が起きています。

アナログ時代には、生活者が接する主な媒体はテレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4マスでした。デジタル時代に入ると、テレビ・スマートフォン・PCという3デバイスが中心となりました。

そして今、1つの「AIエージェント」を生活者が使いこなし、情報取得もそこで完結することが増えてきています。こうした中で、生活者の購買行動も変化し、マーケティングやメディアプランニングのあり方も変わってきます。これからのマーケティング業界では、高度な顧客理解を中心にしながら、業務の効率化と高度化、そして顧客体験のさらなる向上を同時に進めていく必要があります。

これまでの∞AIシリーズでは、∞AI Adsや∞AI Chatなど、顧客体験価値向上に特化したソリューションを中心に磨きをかけてきました。しかし一方で、マーケティング全体の業務プロセスについては、まだ体系的にAI化できていませんでした。そこで今回、その課題を解決すべく∞AI Marketing Hubを大幅にアップデートし、デジタルメディアプランニング/運用のプロセスをAX(AIトランスフォーメーション)させるために新たに開発したのが∞AI MC Planningです。

杉本晃一(電通デジタル ストラテジー部門 部門長)

デジタルメディアプランニングを高度化・効率化する∞AI MC Planning

――∞AI MC Planningの特長を教えてください。

杉本:∞AI MC Planningは、AIエージェントを活用して、デジタルメディアプランニング業務の高度化と効率化を実現するソリューションです。AIトランスフォーメーションを進めることで、プランニングプロセスの高速化を図るとともに、作成されたマーケティングプランに基づくデジタルメディアプランの実行も、半自動で行えるようにします。

∞AI MC Planningは、デジタルメディアプランニングの3つの主要プロセス——戦略立案(Strategic Planning)、デジタルメディアプランの設計(Media Planning)、実行(Execution)——に沿って、それぞれの業務をAIトランスフォーメーションするソリューションです。

各プロセスには専用のAIエージェントが組み込まれており、Strategic Planning Agent、Media Planning Agent、Execution Agentと、3つのAIエージェントが他の電通グループのAI機能と連携してデジタルメディアプランニング業務を進めていく点が、∞AI MC Planningの大きな特長となっています。

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○Strategic Planning Agent:戦略構築の進行をサポート

園部:Strategic Planning Agentは、戦略立案を担うAIエージェントで、電通グループが長年培ってきたメソッドを学習しています。このエージェントは、リサーチやストラテジー策定といったプロセスにおいて、マーケティング戦略の構築をスムーズに進める支援を行います。

特徴的なのは、8つの戦略フレーム(型)に基づいた進行と、他の専門エージェントとの連携によって、誰でも迷わずに進められるようナビゲートしてくれる点です。その結果、粒度が整った、高品質なアウトプットを安定して生み出すことが可能になります。

Strategic Planning Agentの機能は、電通グループが保有するノウハウと、膨大で多様なデータに支えられています。

たとえば、自社の製品・サービスデータをはじめ、競合、市場環境、顧客のニーズや課題、トレンドや市況、アンケート調査の結果、広告配信データ、施策の成果データ、競合の出稿情報、さらには過去の広告制作データなど、多岐にわたる情報を活用しています。これらの幅広いデータを統合的に扱いながら、整合性のとれた分析を行える点も、このエージェントの大きな特長です。

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○Media Planning Agent:メディアプラン作成から配信までをサポート

毛利:Media Planning Agentは、電通グループのメディアプランニング手法を学習したAIエージェントで、メディアプランの立案から配信までのプロセスをサポートします。顧客との接点の設計、メディア予算の配分(アロケーション)、配信ターゲットのセグメント提案、入稿指示書の作成、媒体への自動入稿、配信といった一連の業務を支援します。

このエージェントは、メディアプラン策定から配信までの流れを5つのステップに分けて構造化しており、他のAIエージェントとも連携しながらスムーズに進行できます。また、フォーマットや用語の説明がついたガイドも備えており、誰でも迷わずに高品質なプランを作成できます。

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○Execution Agent:レポーティングから改善までをサポート

毛利:Execution Agentは、広告運用や配信の最適化など、実行領域を担うAIエージェントです。電通グループが提供するダッシュボードと連携しており、レポートの読み解きから改善施策の実行までを一貫してサポートします。

具体的には、メディアバイイング、広告配信、配信結果の分析、そしてそれらの結果に基づいた改善アクションの設計・実行といったプロセスを支援します。

媒体を横断して効果を可視化し、自動でグラフやコメントを生成する機能を備えているほか、運用改善のためのレコメンド機能により、各媒体での素早い施策改善も可能になります。また、予算配分や次回のメディアプランに対する提案も行います。

支援内容としては、レポートの自動生成や要約、改善提案の提示、PDCAサイクルの運用(運用改善、メディアプラン改善、予算アロケーションの見直しなど)を包括的にカバーしています。

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∞AI MC Planningが実現した、圧倒的な業務効率化

――∞AI MC Planningを活用した事例があれば教えてください。

毛利:不動産メーカー様での事例をご紹介します。こちらの企業では、デジタルメディアプランニングの業務効率化と高度化、さらには顧客体験の向上に課題を抱えておられたため、まずはPoC(概念実証)として∞AI MC Planningを導入し、課題解決に向けた取り組みを行いました。

はじめに、すでに活用されていた統合ダッシュボードをAIで強化し、広告実績や販売データに基づいた改善レコメンドを生成。さらに、デジタルメディアプランの一部を自動化しました。そのうえで、∞AI MC Planningに搭載されているAIエージェントと対話を行い、実際の施策改善に有効な示唆が得られるかどうかの検証も行いました。

加えて、新たなAIエージェントの構築や、広告プラットフォームのデータとの照合も実施し、より効果が見込まれる新規ターゲティングの提案を行うことで、戦略立案にも貢献しました。

最終的に、これら一連の取り組みがどれだけ業務の効率化につながったかを検証した結果、社内活用率は61%、該当業務における工数削減率は73%という高い成果が得られました。

毛利光太郎(電通デジタル ストラテジー部門 部門長補佐/兼ソリューション戦略部 事業部長)

企業のAIトランスフォーメーションを支えるベストパートナーへ

――∞AI MC Planningの今後の構想と電通デジタルの強みをお聞かせください。

園部:大きく分けて、今後は2つの方向で展開を考えています。ひとつは、AIエージェントの機能強化です。∞AI MC Planningに搭載されている各AIエージェントの機能をさらに進化させることで、より多くのデータや業務プロセスを蓄積し、持続的な競争優位性を確立していきたいと考えています。

具体的には、対応媒体の拡充、オフライン領域への対応、各媒体への自動入稿機能、PDCAを判断するAIエージェントの実装といった機能の追加を予定しています。また、また、電通グループが開発した生活者分析基盤「People Model(特許出願中)」を活用した予算シミュレーション機能の強化や、プレゼン資料(PPT)の自動出力といったプロデュース支援機能の実装も検討しています。

もうひとつの構想は、「AIエージェントの自律的な進化」です。メタエージェント(AIを成長させるAI)による自己進化の仕組みを構築することで、AIが継続的に自ら学習し進化していくサイクルを実現しようとしています。これにより、専用のAIエージェントビルダーやAIエージェントエボルバーを活用しながら、開発期間の短縮、コスト削減、ニーズへの迅速対応、専門人材不足への対応、最適な性能の維持、運用工数の削減、さらには品質の継続的な向上といった多くの効果が期待されます。

園部武義(電通デジタル ストラテジー部門 マーケティング戦略部 事業部長)

杉本:電通デジタルの強みは、まず大規模生活者調査データから構築された1億人規模の日本人口をシミュレーションできる「People Model」といった高品質なAIモデルを活用できることです。さらに、AIに最適化された開発体制で、マーケターとエンジニアが一体となってプロダクト開発に取り組める点や最大手プラットフォームとのパートナーシップといった点も大きな強みです。そして、それらを下支えにして、電通が長年にわたり培ってきたマーケティング業務全般の実践知やを余すことなく注ぎ込んだ、独自のAIプロダクトを提供できる環境が整っています。

こうした電通デジタルならではのアセットと体制を生かしながら、変革を目指すクライアントのAIマーケティングトランスフォーメーションを力強く支える、最良のパートナーを目指していきたいと考えています。

∞AI MC Planningに関するお問い合わせはこちらから

お問い合わせ詳細欄に「ストラテジー部門宛」と記載してください。

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