小林:クライアントが直面する課題は複雑で、専門領域を超えて対応しなければ解決できないことが増えています。その対応に向けて、当社内の組織間の連携、統合サービスの提供に注力しています。
当社の事業部門は4つの領域で構成されています。エクスペリエンス&テクノロジー領域では、「AIエージェント時代のマーケティング変革支援」をテーマに、これまで分散していたコンサルティング機能を一つに集約し、マーケティング変革をワンストップで支援しています。また、グローバル連携の強化にも力を入れており、米国を中心に事業を展開するMerkle 社のアセットやグローバルプラットフォーマーとのアライアンスを日本企業にも提供することで、グローバルマーケティングの高度化を支援しています。
新設のコンサルティング&プロデュース領域は、当社の幅広い機能を統合したソリューションを提供するフロント機能を担っています。オファリングの全体像を認識しながら、クライアントに役立つ隣接サービスを提案する動きを進めています。これにより、クライアントの複雑な課題に寄り添い、長期的なパートナーのポジションを目指しています。
杉浦:私が管掌するマーケティングコミュニケーション領域は、「最も先進的かつ、 最も本質的なアプローチで、クライアントの事業成長とマーケティングROIにコミットする次世代マーケティングエージェンシー」という目標を掲げています。「先進的かつ本質的」には強くこだわっています。
例えば、コネクテッドTVにとても詳しかったり、SNS 消費者行動に随一の専門性を持つなど、世の中を先取りした知見を備えたいです。一方で、流行りに流されるわけではなく、ただ単にAIを使えば全て良いわけでもなく、ソリューションに本質的なアイデアを組み合わせないとやはり人の心は動きません。私たちは、オーセンティックなマーケティングの考え方や人の心を動かすことに徹底的にこだわりたいです。クライアントの期待に向き合い、愚直に取り組む。方法を知っているからこそ、ノウハウがあるからこそ、結果で応えることができる。それを実現する一番の方法がメディア、クリエイティブ、 運用、この3つを融合させ、AIでそのプロセスを加速することだと考えています。
今期は全社をまたぐ注力テーマとして「AI」「クリエイティブ」「グローバル」 を掲げ、 ストラテジックフォーカス領域も立ち上げています。AIの進化は目覚ましいですが、人の気持ちを動かし、行動を起こすまで持っていくためにはチューニングをしないといけません。 私たちは数多くの実践を通じてノウハウを学び、 マーケティング×AIの最先端を走りたいと思います。クリエイティブは、グループ内外における当社クリエイティブのプレゼンス向上と、社員へのクリエイティビティ実装がミッションです。グローバルでは、電通グループの新たな戦略 「One dentsu オペレーティング・モデル」が基本です。これはメディアやクリエイティブ、データ、テクノロジーをワンストップで提供する考え方ですが、当社はかねてからこれらの機能を一つの組織で備えており、新戦略を体現するロールモデルになれると思っています。 海外ネットワークとの協業も成果が出始めており、さらにグローバル連携を推進していきます。