2025.08.05

企業の成長と変革を支える統合マーケティング戦略

副社長執行役員 小林 大介 / 副社長執行役員 杉浦 友彦

急速に変化するクライアントの ニーズに応えるために

杉浦:電通デジタルは、デジタルによる価値創造でクライアントと社会・経済の「変革と成長」にコミットする総合デジタルファームを目指しています。従来、クライアントはエージェンシーやコンサルタント、Slerに対して別々のニーズを持ち、個別の対応を求めていました。しかし現在では、すべての分野でマーケティング力が求められ、各プレイヤーがマーケティング市場に参入しています。その中で、私たちの強みは、メディア、クリエティブ、テクノロジーを組み合わせた良質な顧客体験の提供を通じて、クライアントの売上向上や価値創造に貢献することです。この実現に向けて、最適なソリューションを提供するべく、組織を柔軟に組み替えながら進化し続ける必要があります。 

小林:特にここ数年は、生成AIの登場により、マーケティング業務全体に変革が求められる時代となっています。マーケティングの変革を推進し、新たな仕組みの上でマーケティング活動を展開し、それを運用することでさらなる効率化と事業成長を図る。このプロセスを繰り返すことで、次の変革の種を生み出しながら進化を続けていく。私たちは企業のパートナーとして、変革とオペレーションを絶え間なく回しながら武器を磨き続ける存在を目指したいと思います。

領域間の統合を促進し、複雑化した課題への対応力を強化

小林:クライアントが直面する課題は複雑で、専門領域を超えて対応しなければ解決できないことが増えています。その対応に向けて、当社内の組織間の連携、統合サービスの提供に注力しています。 

当社の事業部門は4つの領域で構成されています。エクスペリエンス&テクノロジー領域では、「AIエージェント時代のマーケティング変革支援」をテーマに、これまで分散していたコンサルティング機能を一つに集約し、マーケティング変革をワンストップで支援しています。また、グローバル連携の強化にも力を入れており、米国を中心に事業を展開するMerkle 社のアセットやグローバルプラットフォーマーとのアライアンスを日本企業にも提供することで、グローバルマーケティングの高度化を支援しています。 

新設のコンサルティング&プロデュース領域は、当社の幅広い機能を統合したソリューションを提供するフロント機能を担っています。オファリングの全体像を認識しながら、クライアントに役立つ隣接サービスを提案する動きを進めています。これにより、クライアントの複雑な課題に寄り添い、長期的なパートナーのポジションを目指しています。 

杉浦:私が管掌するマーケティングコミュニケーション領域は、「最も先進的かつ、 最も本質的なアプローチで、クライアントの事業成長とマーケティングROIにコミットする次世代マーケティングエージェンシー」という目標を掲げています。「先進的かつ本質的」には強くこだわっています。 

例えば、コネクテッドTVにとても詳しかったり、SNS 消費者行動に随一の専門性を持つなど、世の中を先取りした知見を備えたいです。一方で、流行りに流されるわけではなく、ただ単にAIを使えば全て良いわけでもなく、ソリューションに本質的なアイデアを組み合わせないとやはり人の心は動きません。私たちは、オーセンティックなマーケティングの考え方や人の心を動かすことに徹底的にこだわりたいです。クライアントの期待に向き合い、愚直に取り組む。方法を知っているからこそ、ノウハウがあるからこそ、結果で応えることができる。それを実現する一番の方法がメディア、クリエイティブ、 運用、この3つを融合させ、AIでそのプロセスを加速することだと考えています。

今期は全社をまたぐ注力テーマとして「AI」「クリエイティブ」「グローバル」 を掲げ、 ストラテジックフォーカス領域も立ち上げています。AIの進化は目覚ましいですが、人の気持ちを動かし、行動を起こすまで持っていくためにはチューニングをしないといけません。 私たちは数多くの実践を通じてノウハウを学び、 マーケティング×AIの最先端を走りたいと思います。クリエイティブは、グループ内外における当社クリエイティブのプレゼンス向上と、社員へのクリエイティビティ実装がミッションです。グローバルでは、電通グループの新たな戦略 「One dentsu オペレーティング・モデル」が基本です。これはメディアやクリエイティブ、データ、テクノロジーをワンストップで提供する考え方ですが、当社はかねてからこれらの機能を一つの組織で備えており、新戦略を体現するロールモデルになれると思っています。 海外ネットワークとの協業も成果が出始めており、さらにグローバル連携を推進していきます。 

領域横断の実現に向けたナレッジ共有と人財交流の促進

杉浦:統合案件の創出は主要戦略ですが、統合を前提とした領域を横断したオファリングの開発が重要です。 例えば、現在強化しているコンテンツサプライチェーンのオファリングでは、コンテンツマネジメントシステム (CMS) や企業のクリエイティブアセット管理のシステムと、生成AIをフルに活用したコンテンツ制作・配信・運用支援を統合する形を目指しています。 

また、マーケティング業務のインハウス化支援も重要なテーマです。企業が生成AIを活用してインハウス化を進める中で、広告運用やデータ管理、CRM (顧客関係管理)などを包括的に支援するパッケージを提供したいと考えています。 

小林:これまでオペレーションと変革は別々で扱われることが多かったですが、これからはこれらを一体化することが重要です。コンテンツサプライチェーンの取り組みは、まさに領域横断のプロジェクトで、そのような重要テーマごとにアジャイルで複合機能の組織をつくることも、組織戦略では重要なポイントですよね。 

杉浦:そうですね。ビジネスをリードする CoE 組織「Dentsu Digital Global Center」はすでにその方向 に進んでいて、連携を前提とした組織体制を整えています。統合の幅が広がれば広がるほど、 私たちの強みを生かしやすくなります。

小林:領域横断の統合基盤として、ナレッジ共有と人財交流にも力を入れています。人財は特定領域に固定しがちですが、一人ひとりのキャリア志向も踏まえながら、戦略的な人事異動を推進しています。複数領域の知見を持つ人財を増やし、組織図には表れない社内の人的ネットワークを密にすることで、領域横断の統合案件も自然に増えていくと見ています。 

心を動かす 事業成長パートナーとして

杉浦:私たちは、マーケティングに特化した総合デジタルファームとして、唯一無二の存在を目指しています。強みは圧倒的な実行力とスピード、そして桁違いのパワーです。若い企業ならではの勢いを持ちながらも、電通グループの文化でもある「新しい挑戦を楽しむ」 精神がその根底にあります。 

自らの意思で大きな挑戦を仕掛け続ける集団でありたいと思いますが、 目新しさや一時的な話題性を追うのではなく、企業の成長や価値創造に本質的に貢献することを目指しています。 その結果、「マーケティングの次世代化をやるなら電通デジタル」と信頼される存在になりたいですね。 

小林:電通グループのDNAは、常に生活者視点で考え抜くこと、クライアントの先にある社会や暮らしにインパクトを与えること、それを通じてクライアントの事業成長に貢献したいというパッションにあると考えています。電通デジタルのパーパスを考えた際も「人の心を動かし」を頭に持ってきました。 そのパーパスの実現に向けて、人に寄り添い、人の心を動かす方法を考え抜くこと、そして磨きあげた機能を統合したソリューションを提供することに、これからも真摯に取り組んでいきます。

電通デジタル統合レポート2025

当社初の発行となる統合レポート2025では、設立から現在までの9年間の歩みや事業活動にもたらす価値創造の全体像、目指す姿について、経営陣のメッセージとともにお伝えしています。

この記事・サービスに関するお問い合わせはこちらから

PROFILE

プロフィール

EVENT & SEMINAR

イベント&セミナー

ご案内

FOR MORE INFO

資料ダウンロード

電通デジタルが提供するホワイトペーパーや調査資料をダウンロードいただけます

メールマガジン登録

電通デジタルのセミナー開催情報、最新ソリューション情報をお届けします

お問い合わせ

電通デジタルへの各種お問い合わせはこちらからどうぞ