2025.03.03

LinkedIn活用でBtoBマーケを成功に導く法則 ローカライズされたクリエイティブで、一貫性のあるターゲティングを実現

世界最大級のビジネス特化型SNS・LinkedInが、改めてグローバル/BtoB企業の間で注目を集めています。なぜ今、LinkedInなのか。ニーズの高まりを受け、電通デジタルと電通グループのTag社が始動させたLinkedIn運用コンサルティングサービスに関わるチームメンバーにBtoB向けSNS活用術の可能性とサービス概要を聞きました。

グローバル/BtoB企業がSNS運用で抱える課題認識とは

――グローバル/BtoB企業の間で、ソーシャルメディア(SNS)が注目されている背景、その課題認識について教えてください。

私が所属するグローバル部門では、グローバルに事業展開する日本企業および外資系企業の支援を行っていますが、SNSをブランディングや社内ネットワークの構築、採用など多様な事業活動に活用するBtoB企業が確実に増えています。

その理由の一つに、事業環境の変化を受けた企業と社会とのコミュニケーションのあり方の変容が挙げられます。ステークホルダーが多様化する中、企業から一方的に情報やメッセージを伝えるのではなく、顧客一人ひとりに対して、適切な形でコミュニケーションを取り、関係性を構築していくことはもはや必要不可欠となっています。

BtoB企業においても、会社の認知度向上を前提に、世界市場の顧客、関係会社、株主・投資家、さらに現在の従業員から将来の従業員まで、多方面に向けたエンゲージメントの構築・向上を、経営戦略の重要な柱の一つに位置づけるケースが増えています。

そのツールとして、コーポレートサイトやオウンドメディアは基盤として重要ですが、定期的な更新やコンテンツ作成は、担当者にとって大変な作業となります。さらに、世界に向けて統一したブランド価値を届けつつ、各国・地域へのローカライズも実践するとなると、運用のハードルも上がります。

では、SNSならどうでしょうか。日本においてはこれまでFacebookがビジネスとの親和性が高いと言われ、活用されてきました。しかし、先にも挙げたようにSNSを活用する目的やステークホルダーの多様化に伴い、果たしてFacebookだけでいいのか? グローバルなコミュニケーションハブとしての機能性やブランド体験の一貫性という観点から、課題認識を抱えているのがグローバル/BtoB企業の現状といえます。

中村 宗一郎(グローバルセンター ソリューション事業部 グループマネージャー)

「LinkedIn=名刺代わりのSNS」のメリット

――こうした企業の課題認識を受け、LinkedIn運用コンサルティングサービスの提供を本格スタートさせました。なぜ今、LinkedInなのか。LinkedInの特徴やメリットについて教えてください。

電通デジタル・中村桃子:私たちの部門では、クライアント企業のマーケティングやブランディングにおけるソーシャルメディア運用の企画立案・実行支援を行っています。従来はFacebookやXなどが中心でしたが、2023年ごろからLinkedInの活用に関するご相談や問い合わせが増えてきました。

LinkedInは、世界でユーザー数10億人規模を誇るプラットフォームであり、サービス開始から20年以上経た今も、イギリスやインド、インドネシアなどで急速にシェアを拡大しています。

その最大の特徴は、ビジネスに特化したSNSネットワークであること。海外ではFacebookを主にプライベートで使うケースが多く、ビジネス関連ではLinkedInをメインに多くの企業のブランディングや採用活動、転職をしたい個人などに活用されています。

ユーザー数の多さに加え、「LinkedIn=名刺代わりのSNS」と私共は呼んでいますが、登録された会社情報や個人情報に基づき、グローバルな事業活動に応用できるのも魅力です。海外展開をしているBtoB企業にとって、親和性の高いSNSと言っていいでしょう。

日本でも、先ほど指摘のあった事業環境や人手不足などの労働環境の変容も受け、アクティブユーザー数が増加しており、LinkedIn運用を実践している日本企業ページのフォロワー数も大きく伸長しています。

こうした情勢を受け、私共としてもこれまで個別対応していたLinkedIn運用支援を早急に充実させる必要性を認識し、2024年より本格的にサービスをローンチすることとなりました。

中村 桃子(ソーシャルエンゲージメントデザイン部門 第1プランニング部 グループマネージャー)

グループ一体となって戦略立案、クリエイティブ、分析まで一気通貫でサポート

――LinkedInの特徴を活かした電通デジタルならではの運用支援のソリューション概要とチーム体制を教えてください。

電通デジタル・渡邊久美子:電通グループならではの豊富なアセットを集結したソリューションになります。中村(宗)さんのグローバル部門、ソーシャルメディアの戦略立案・コンサルティング支援の専門集団である私たちの部門に加え、世界各国に拠点を持ち、グローバルクリエイティブに豊富な知見を持つグループ会社・Tag社(Tag Worldwide Holdings Ltd)とのタッグにより、戦略立案、クリエイティブ、分析まで一気通貫でサポートができるのが最大の特徴となっています。

Zoom

大手企業を中心とするSNSの支援を継続してきた知見と、必要な機能をグループ内ですべて完結できるのがポイントで、特にグローバル企業からよく聞く課題感である、「海外に刺さるコンテンツがわからない」という悩みにも、しっかりとした戦略に基づき、最適なクリエイティブを提供できるのは、他にはない強みだと思います。

渡邊 久美子(ソーシャルエンゲージメントデザイン部門 第1プランニング部)

――Tag社の概要や役割、得意とするクリエイティブのこだわりについて教えてください。

Tag社・飛永康輔:当社は1972年に英国ロンドンで創業し、2023年7月、電通グループに参画して以降、クリエイティブコンテンツ制作、チャネルアクティベーション(戦略購買)を主な事業として日本での活動を行っています。

LinkedInに掲載されるクリエイティブにおいては、グローバルに向けた視点を持ちつつ、さらに各国・地域に絞ってコミュニケーションをしていくための各マーケットの状況、言語、文化、商慣習への理解が重要だと考えています。

その観点から、当社の最大の強みは世界29ヵ国に事業拠点があり、140ヵ国でサービスを展開することで蓄積してきた知見です。

インドのグローバルプロダクションハブには1000人以上の制作部隊がおり、全世界に向けてコンテンツの制作を行っています。ランゲージサービス部門であるWorld Writersは、世界各国で活躍する4000名以上のクリエイティブスタッフで構成されるネットワークがあり、115以上の言語をサポート。各国・地域の顧客を惹きつける言葉を核としたトランスクリエーションサービスを提供しています。

インドの拠点とWorld Writersとの連携により、最適なコンテンツをグローバルレベルで一元管理し、各国向けのクリエイティブのローカライズを実現しています。

飛永 康輔 (株式会社Tag Japan クリエイティブ オペレーションズ ディレクター) ※取材当日不在のため、別途インタビューを実施

購買意思決定者へのターゲティングで確度の高いマーケティング施策を実現

――特にBtoB企業におけるLinkedInの効果的な活用方法について教えてください。

渡邊:BtoB企業によるLinkedInの主な活用法としては、LinkedInユーザーの登録情報や提携している配信先を活かした広告配信と、企業プロフィールページを通じたブランド認知拡大や採用活動、従業員ネットワークの構築などが挙げられます。

広告配信における一番の強みは、業界や従業員数、企業、役職、年齢などビジネスに関わる個人情報、さらには興味・関心に基づいたターゲティングができることです。特に登録者の属性の傾向として、企業における購買意思決定者などハイクラス人材が多いことから、より確度の高いマーケティング施策が実現します。

広告配信以外にも、企業プロフィールページの作成・オーガニック運用によるブランド認知度向上やリードジェネレーションなどの施策にも活用できます。従業員の属性や投稿したコンテンツなどを通じて社内風土を発信することで、効果的な採用活動につなげることができるのもメリットです。どういった属性や職歴の社員が多いのかをグラフ化できるような便利な機能も揃っています。

オンライン講座(「LinkedInラーニング」)のコンテンツも豊富で、社内での人材育成、リスキリングに関わるプラットフォームとしても注目を集めています。

中村(桃):マーケティング活動では、ラグジュアリーブランドやニッチ市場の商材などを、企業の意思決定者や高所得の購買層に確実にターゲティングをしていく場面などで強みを発揮するSNSだと思います。

実際の案件で、「数億円規模の商材を販売するにあたり、アジア圏のハイクラス人材にターゲットしたい」というクライアント企業からの要望を受けたことがありました。まさにLinkedInに最適な案件と捉え、意思決定層をターゲティングした動画クリエイティブでリード獲得に成功したケースがあります。

中村(宗):顧客へのアプローチだけでなく、組織内における海外拠点間の情報共有のハブとしてインナーマーケティングのような形で活用する企業も増えていますね。


複数のSNSプラットフォームの運用戦略構築から支援

――どういう課題・ニーズを抱える企業に本ソリューションを活用していただきたいでしょうか? 

中村(桃):LinkedInのアカウントは保有しているけれど、うまく活用できていない。または複数のSNSプラットフォームを持っているものの、同じ内容を単純に翻訳して配信するミラー投稿に留まっているケースも多いのではないでしょうか。

電通デジタルでは、LinkedIn以外のSNSの知見も豊富にありますので、それを活かし、「それぞれのSNSの役割を改めて整理したい」「各国・地域に合わせたクリエイティブを見直したい」など、様々な課題にお応えできればと考えています。

中村(宗):グローバルでのSNS運用については、本社主導でコントロールしていくことの難しさについて、クライアント企業からご相談をいただくことが多いです。ブランドの一貫性を担保しながら、世界各国・地域ごとに異なるイメージや主要事業、そして何より顧客のニーズに合わせたチューニングをいかに実行していくか。全体を俯瞰して助言してくれるパートナーが欲しいという方にぜひお役立ていただきたいですね。

――最後にLinkedIn含むSNS運用に関して、課題認識を持つ企業に向けてメッセージをお願いします。

渡邊:国内市場が縮小傾向にある時代、規模に関わらず、どの企業においてもグローバル市場へのリーチは欠かせない経営課題となっています。社内リソースに限界があるという中堅企業にも、当社ソリューションを基点にSNS運用にトライいただければと思います。

飛永:弊社のグローバルネットワークにおける海外での運用実績を踏まえたコンサルティングや各国向けにローカライズされたクリエイティブコンテンツの作成というところでお役に立てると考えておりますので、ぜひご相談ください。

中村(宗):SNS運用は、自社のコミュニティにどんな人を誘いたいのか。自社にどういう人材に関わってもらいたいのか。ブランディングの根底に据えるべき戦略が肝要だと思います。LinkedInならば、自分たちのページを見ている層の属性もビジネスレベルで解像度高く閲覧ができ、多様なニーズに活用が可能です。

グローバルに顧客を拡大したい、投資家層を広げたい、海外からハイクラス人材を採用したいといった様々な目的に合わせ、分析からクリエイティブまで責任を持って伴走ができればと考えています。

今回紹介している本サービスに加え、国内のみならずグローバルな視点でクリエイティブをどのようにコントロールし、各地に適応させるかが求められています。そこで、戦略基盤をグローバルに置きながら、体験をローカルに特化させることが重要です。これらのプロセスを一貫して支援できる体制が電通デジタルには整っており、これは他の企業が容易には真似できない強みです。

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