2024年12月、ラスベガスで開催されたAWS(Amazon Web Services)の年次グローバルカンファレンス「AWS re:Invent 2024」にて、 CAIO 執行役員の山本覚が特別セッションに登壇。セッションで山本は、Amazonの新しい動画生成AI「Amazon Nova Reel」を使用してクライアント企業の広告用動画コンテンツを制作し、大きな成果を上げた事例を紹介しました。本記事では、英語で行われた山本のスピーチを翻訳および編集した内容をお届けします。
100社以上に導入された「∞AI Ads」で、コンバージョン率を平均154%改善
電通デジタルは日本で最大級の総合デジタルファームとして、クリエイティビティとテクノロジーを融合させ、クライアント企業のビジネス成長と変革を実現しようとしています。
電通デジタルが提供するAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI🄬」は、5つのAIアプリケーションで構成されています。
この5つとは、広告制作のプロセス効率化・最適化ソリューション「∞AI Ads」、企業SNSのアイデンティティをAIが学習し投稿文案を生成する 「∞AI Social」、各社の顧客に最適化されたチャットAI「∞AI Chat」と、次世代オウンドメディアをAIで実現する「∞AI Contents」、そしてデータ分析とAIモジュールのマーケティングハブ「∞AI Marketing Hub」です。今回は、動画生成AIと密接な関係がある「∞AI Ads」についてお話しします。
「∞AI Ads」は、デジタルクリエイティブ制作のプロセス全体をサポートするソリューションです。2024年だけで100社以上に導入され、コンバージョン率を平均154%改善しました。訴求軸発見・クリエイティブ生成・効果予測・改善サジェストの4つの機能で構成されています。
ここでは4つの機能のうち、生成AIと関係するクリエイティブ生成・効果予測・改善サジェストについて紹介します。
まず、クリエイティブ生成です。キャッチフレーズやテキストコンテンツだけでなく、テキスト指示により、静的バナーの画像を編集できます。たとえば、人の置き換え、背景の拡張・置き換えが可能です。
これはAmazonの画像生成AI「Amazon Nova Canvas」によって実現されています。 AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」で利用可能な、この 「Amazon Nova Canvas」を使えば、自然言語によって画像を編集したり、配色やレイアウトを調整したりできます。またDEI(多様性、公平性、包括性)を考慮した非常に洗練されたAIであるため、私たちのソリューションに安全に導入できました。
次に、効果予測・改善サジェストです。「∞AI Ads」は配信データプラットフォームと接続しており、クリエイティブ要素(キャッチフレーズ、背景、オブジェクト、色など)と配信結果の相関を日々学習しています。これにより、たとえば「背景色を白からピンクに変更しましょう」や「人物の画像位置を調整しましょう」といったことをAIが教えてくれるのです。
さらに、マルチモーダルAI(テキスト・画像・音声・動画など複数の種類のデータを一度に処理できるAI)の登場により、動画広告の予測と提案も提供できるようになりました。たとえば、「シーン2がもっとも重要です。人数を変更し、背景を都市から郊外に変更しましょう」といった提案をしてくれます。
生成AIで背景を動画に置き換えただけで、CVRは8倍、CPAは73%減に
以前は、動画広告を生成するのは非常に難しい作業でしたが、Amazonの動画生成AIである「Amazon Nova Reel」を「∞AI Ads」に導入したことで、それが可能となりました。私たちのクライアント企業である「ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)」の事例を紹介します。
「GDO」は、国内最大級のゴルフメディアサイトです。ゴルフ場予約、ゴルフショップ、ゴルフニュース、スコアアップ、コミュニティなど、ゴルフに関わるサービスを総合的に展開しています。今回制作したのは、ブラックフライデー用のバナーです。
私たちが行った作業は非常にシンプルで、静的な背景を動的な背景に置き換えるだけでした。手順は以下の3つです。
まず、AIを使ってオリジナルの静的バナーの背景を削除しました。次に、プロンプトに「中心から外側に向けて放射する金色の光の背景」や「黒い背景」といった指示を入力し、いくつかの動的な背景を準備しました。最後に、バナーの背景を上書きしました。これが完成した4つのサイズのバナーです。これらのプロセスにかかった時間はわずか5分でした。
今回はテストとして、トップバナーを実際に配信しました。その結果、コンバージョン率は8倍、CPAは73%削減という、驚きのパフォーマンス向上を達成しました。静的な背景を動的な背景に変えたという最小限の変更で、これほど劇的なパフォーマンス改善をもたらしました。これは非常に重要なポイントです。
ほかにも、日本で最大級の価格比較サイトの一つ「カカクコム」では、バナーの画像を静的な青い背景から、回転する動的な背景に変更しました。「アパホテル」のバナーでは、静的な夜景画像を、ゆっくり動くカメラモーションときらめく高速道路の風景に変更しました。
動画生成AIはテレビ番組でも実用的なレベル
ここで強調したいのは、動画を作ることが非常に簡単になったということです。たとえば、「AWSと電通デジタルがAIを通じてコラボレーションしている動画を作成したい」といったプロンプトを入力すると、7つのシーンで構成されたストーリーボードのプロンプトを得ることができました。そして、そのプロンプトを1つずつ順に「Amazon Nova Reel」に入力し、生成された7つの動画を組み合わせる、それだけでできてしまいます。
私はプロの動画クリエイターではありません。クリエイティブ制作や動画制作に関しては初心者です。その私が作ったこの動画を見たテレビ東京のプロデューサーからは、「本当にこの動画をAIが作ったの?これはすごい、信じられない」という驚きとともに、「動画生成AIはすでに実用的なレベルにある。ぜひ実際の制作プロセスに導入したい。テレビ番組だけでなく、あらゆる種類の動画制作にも応用できるはずだ」と、非常に肯定的なコメントをいただきました。
「∞AI」の導入企業すべてに次世代のマーケティングを
昨今の顧客体験において、動画コンテンツに代表されるリッチな体験に対する需要は、劇的かつ加速度的に増加しています。そうした需要に対応する広告AIソリューションにとって、「Amazon Nova Canvas」と「Amazon Nova Reel」は非常に強力なツールです。
今回紹介した方法は、すでに「∞AI」を導入しているすべての企業に提供できます。「∞AI」を活用し、次世代のマーケティング「Marketing Nova」を共に実現しましょう。
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