2024.10.16

Instagramのユーザーをトライブ基点で分析する「Tribe Driven Marketing for Instagram」とは?

2024年5月、Instagramが発表したアルゴリズムの変更を受け、電通デジタルは、Instagram上のアクティブユーザーを分析する国内初の新サービス「Tribe Driven Marketing™ for Instagram」を開発し、提供を開始しました。その特長や分析手法、活用事例について、電通デジタルの担当者に聞きました。

プレスリリース:国内初、Instagramのアクティブユーザーを“トライブ”基点で分析する「Tribe Driven Marketing for Instagram」を提供開始

※ Instagramにおいて、アクティブユーザーをトライブ別に分析するサービスとして 2024年10月時点当社調べ

SNSをより高度に分析するための統合フレームワーク

――Tribe Driven Marketing™(以下TDM)とはどのようなフレームワークですか?

吉田初:SNS上のユーザーを共通の興味関心やライフスタイルを持つ集団の「トライブ」に分けて分析するための統合フレームワークです。電通デジタルが独自に開発し、2022年9月から提供しています。

TDMを用いて多様なトライブを分析することで、生活者のインサイトを捉えたSNSマーケティングの支援を行っております。

――このたびTDMのInstagram版(TDM for Instagram)を開発、リリースした背景を教えてください。

吉田:2024年5月にInstagramが公式に発表した、コンテンツの表示アルゴリズムの変更が大きく影響しています。従来は、投稿したコンテンツはまずフォロワーに表示されていましたが、変更後は、そのコンテンツの内容に興味関心があるユーザーに表示されやすくなりました。

これは企業アカウントにとって非常に大きな変更で、フォロワーを増やせば、比例して表示回数やエンゲージメントが増えるなどの成果に繋がっていた状況から変わり、フォロワー数を重視するよりもユーザーに求められるコンテンツ内容を充実させるように運用方針を変更する必要があります。これらの変更に対応したいと考える企業アカウント担当者の課題を解決するために、TDM for Instagramを開発しました。

吉田 初(エクスペリエンステクノロジー部門 ソーシャルテック事業部 事業部長)

――Instagramマーケティングに関して企業が抱えている課題は、どのようなものが多いですか?

中村桃子:与件でいただくのは、大きく2つです。1つ目は運用成熟期にあるアカウント。これまで投稿分析は行ってきたものの、ユーザー像を把握しきれていないという課題です。簡易なインサイト分析で見られるデモグラだけでなく、投稿に反応してくれているファンまでしっかり見て、コンテンツに活かしたい、というご要望をよくいただきます。

2つ目は、Instagramをマーケティングに使い始めたばかりの企業からのご相談です。今はInstagramだからと始めたものの、本当にそれで合っているのか分からない、という課題感をお持ちの企業も多くいらっしゃいます。戦略的な運用をするために、プラットフォームから無償提供されるインサイトデータだけでなく、自社のファン/未来ファン像を掴みながらInstagramをマーケティングに活用したいニーズがあると感じています。

もちろんどの企業も最終的にはマーケティングへの活用を見据えてはいますが、まずはユーザー像をしっかり理解したいというご要望が大きいです。

中村桃子(ソーシャルメディアエクスペリエンス部門 プランニング第2事業部)

投稿に反応しているファンの解像度を高めることが可能

――そうした課題に応えるべく開発されたTDM for Instagramの特長は何ですか?

中村:最大のメリットは、投稿に反応しているファンの解像度を高められることです。ここでいうファンとは、企業アカウントのフォロワーではなく、集計対象の投稿に対して、「いいね」を押したり、コメントを投稿したりしたユーザーです。

そうしたユーザーを対象に、ユーザーの趣向別にグルーピングされた集団である“トライブ”をベースとして、ファンのインサイトなど、深掘りを含めた分析をしていきます。TDM for Instagramでファンの解像度を高めることで、新たな課題や拡張ポテンシャルを発見し、それをもとに改善策や打ち手を検討することが可能になります。

吉田:さらに、企業アカウントの投稿に反応したユーザーだけではなく、特定のハッシュタグで投稿したユーザーを対象に分析することもできます。つまり、TDM for Instagramはアカウントに反応したユーザーか、特定のハッシュタグか、いずれかを起点として分析を始めることができます。

――トライブ分析の進め方について、もう少し詳しく教えてください。

吉田:トライブ分析は、大枠を知ること、深掘りすること、この2つの手順を経て分析していきます。

まず、「大枠を知る」ですが、たとえば、AとBという商品があったときに、「既婚女性が多く反応しているのはB」のように、0次分析的に全体の傾向を掴んでいきます。

次の「深掘りをする」では、先ほどの「既婚女性」をさらに細かいトライブに分割して深掘りします。子育てをしている人、家事育児が好きな人、アウトドアが好きな人、スポーツが好きな人など、任意のトライブに区分して分析していきます。

中村:こうして分析をした後に、クライアント企業に課題提示や打ち手のご提案をします。強く出ているトライブをさらに伸ばしていく場合もありますし、これから伸ばしたいトライブに関して、競合比較を行ったうえで新たな打ち手を考える場合もあります。

「Tribe Driven Marketing™ for Instagram」概要図
Zoom

TDM for Instagramの3つの強み

――TDM for Instagramの強みは何ですか?

吉田:大きく3つあります。1つ目は、これまでのTDM活動からトライブ分析の知見が膨大にあること。2つ目は、TDM for Instagram専用の独自のデータ基盤を構築したうえで運用していること。3つ目は、電通デジタルがSNS特有の大規模なデータを分析できる環境を有しており、特にAIを用いた分析アプローチが充実してきています。

中村:我々の部署には、あらゆる業界の企業のSNSオーガニック運用に対峙している戦略のスペシャリストが揃っています。また、電通デジタルでは、広告やプラットフォーマーと連携しながら支援する展開も可能ですし、CRMやオウンドメディアと連携しながら展開していくケースもあります。

中原窓風:SNSだけに閉じず、幅広いデジタルに関する領域を横断し、マーケティング全般を支援できるのは、電通デジタルの強みです。

中原窓風(ソーシャルメディアエクスペリエンス部門 プランニング第2事業部)

TDM for Instagramの活用事例

――TDM for Instagram の活用事例を教えてください。

中原:国内の大手食品メーカーの事例をご紹介します。定番商品に関して、Instagram を活用した販促を最適化したいというご要望をいただきました。

TDM for Instagramで当該商品のファンの分析をしたところ、実は主要ユーザーだと認識していたトライブと、Instagramの投稿に反応しているトライブに大きなギャップがあることが判明しました。

その分析結果を踏まえて、今後のアカウントの運用方針や訴求ポイントも現在のメイントライブに合わせて変えていくことが望ましいという提案をさせていただきました。

もう一つ、日本でも有数のフォロワー数を持つ大手企業の事例です。定期的に「バズる」投稿をされていて、非常に安定して運用されているアカウントをお持ちでした。ただ、バズっている投稿に反応しているトライブを分析したところ、その会社のメインターゲット以外の反応の方が多かったことが判明したのです。

SNSの運用は、エンゲージメント数の高い投稿が「いい投稿」と考えられがちですが、ビジネス視点で考えると、ターゲットにしっかり届くコンテンツこそが「いい投稿」です。

クライアント企業の担当者に分析結果を報告し、現在はよりターゲットに届くような投稿を増やすための施策に取り組んでいます。


Instagram運用の打ち手に限界を感じている企業に使ってほしい

――TDM for Instagramを、どのような課題を抱えている企業に活用していただきたいと考えていますか?

中原:エンゲージメント率が高く、成果が上がっているように見えるアカウントでも、実は届けたいターゲットに届いていないということは多々あります。本音を言うと、Instagram運用を行っているすべての企業アカウントに、まずは健康診断のような感覚で TDM for Instagramを使っていただきたいと思っています。

中村:アカウントの運用歴が長く、現在打ち手に限界を感じている企業アカウントの方には重宝されると思います。社内でも知見は溜まっているものの、そこからさらに伸ばすための施策を考えあぐねている運用ご担当者の方は、ぜひご相談いただきたいです。

――TDM for Instagramの今後の目標と展望をお聞かせください。

吉田: 各企業がInstagramのマーケティング利用で期待する成果に貢献したいと思います。売上を上げたいといったニーズだけではなく、ブランド価値や企業価値を高める支援にも、より一層力を入れていきたいです。

また、TDMとしては引き続き「生活者のリアル」を正しく理解していく活動を続けます。電通デジタルでは、SNSマーケティングに留まらず、様々なマーケティング活動の支援が実現できるため、TDMを用いて、より高度な分析・企画を行い、クライアント企業の事業成長に貢献します。

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