2023.11.07

AIを活用し、企業のマーケティングを統合的に支援する「∞AI」を提供開始

2023年10月5日、電通デジタルはメディア向けに「AI事業戦略発表会」を開催しました。説明会では、AIサービスブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」を立ち上げ、3つのアプリケーションと1つのプラットフォームを発表。各サービスの詳細と今後の展望について、代表取締役社長執行役員の瀧本恒と、執行役員 データ&AI部門長の山本覚が説明しました。

※本記事は、2023年10月に開催された発表会を採録し、編集したものです。

全社横断でAIを活用し、クリエイティビティを強化

説明会は、はじめに「バーチャルヒューマン瀧本社長」(後述)とリアル瀧本社長が会話する場面の動画が流された後、瀧本が登壇し、電通デジタルの4つの事業領域を紹介しました。

  • DXコンサルティングを行う「トランスフォーメーション領域」
  • 企業のテクノロジー活用を支援する「テクノロジートランスフォーメーション領域」
  • デジタル広告やマーケティングを手がける「メディア&コミュニケーション領域」
  • クリエイティブプランニング・制作などを行う「クリエイティブ領域」

この4つの領域のうち、特に自社の強みとして、自社ならびにグループ全体で培ってきたクリエイティビティを挙げました。またクライアント企業のAIを活用したマーケティング活動の支援体制をより強化するため、2024年1月から全社横断のAI組織を新設することを発表しました。


生成AIにより、マーケティングは大きく変化する

続いて登壇した山本は、まず生成AIの市場規模の展望について説明しました。電通の調査によると、生成AI市場は今後10年間、年平均27%程度で成長し、2032年には市場規模が17兆円に達すると予測されています。また、このうち20%がマーケティング領域だと予測されており、「生成AIの登場により、マーケティングにも大きな変革が起きると思っています」と話す山本。

生成AIの登場で、具体的にどのような変化がマーケティングに起きるのか。山本は、マーケティングファネルに、「対話」「相談」という新しいステップが登場してくるのではないかと見ています。

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「具体的には、例えば『認知』のステップで、テレビCMで『続きはWebで』と同じように、『続きはチャットで』という誘導が登場するかもしれません。そしてチャット上で顧客との対話を重ねることにより、今までリーチできなかった潜在層へのアプローチが可能になるかもしれません」

さらに、ECサイトやWebサイトでは、生成AIがパーソナライズされた接客やアフターケアを行うことで、購買率やリピート率が上がることも予測されると、山本は言います。

「変化が起きるのは、顧客接点だけではありません。『相談』という新たなステップが登場し、生活者の生の声をデータとして蓄積できるようになる。それを生成AIが学習し、マーケターやビジネスデベロッパーが新しいビジネスを創出し、新しい顧客接点ができる。このようなAI利活用のサイクルを回すことが、今後重要になってくるのではないでしょうか」

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AI活用で、企業の次世代マーケティング活動を統合的に支援する「∞AI」

続けて山本は、上記のような状況にいち早く対応すべく、電通デジタルが「∞AI」というAIサービスブランドを提供開始すると発表し、「∞AI」という言葉に込めた強い想いを語りました。

「AIは、特定の条件、一定の範囲において何かを最適化することは得意です。それに対して人間の特徴は、もっといいものはないかと無限に求める探究心、追求心、向上心であり、そういった想いこそがクリエイティビティの源泉です。我々電通デジタルは、人間の無限のクリエイティビティとAIというテクノロジーのコラボレーションにより、さらなる高みを目指したいという思いを込めて、『∞AI』という名前をつけました」

「∞AI」は、生活者が商品・ブランドを発見し、理解し、ファンになることをサポートする3つのAIアプリケーション「∞AI Ads」「∞AI Chat」「∞AI Contents」と、それらの基盤となるプラットフォーム「∞AI Marketing Hub」で構成されています。山本は順番にその用途、内容、特徴を説明しました。

4つのAIで広告クリエイティブの制作プロセスを最適化する「∞AI Ads」

「∞AI Ads」は、デジタル広告のクリエイティブ制作における4つのプロセス、訴求軸発見・クリエイティブ生成・効果予測・改善サジェストごとに搭載された各AIが、一連の流れを途切れることなく支援し、バナー広告や検索連動型広告の最適化、効果の最大化に寄与するアプリケーションです。2022年12月に発表した「∞AI」からサービスのアップデートを行い、このたび改名して本格提供を開始しました。

山本によると、正式リリース前の段階(2023年9月時点)で、4つのステップを通したPDCAを実施している企業が26社(58アカウント)、メッセージ抽出からクリエイティブ制作のステップまでは100社が導入しているという状況です。導入企業では、広告出稿量が全体で約14%増え、獲得単価は50%に低下しているという成果も紹介。さらに今後は、「バナーの自動生成」や「動画の効果予測」といった新機能を実装していきたいと付け加えました。

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企業が独自の対話型AIを作れる「∞AI Chat」

「∞AI Chat」は、企業の独自データを活用し、ユーザーへのパーソナライズ対応を実現した対話型AI開発を支援するアプリケーションです。WebサイトやLINEなどのコミュニケーションツールと接続ができ、顧客や従業員とのコミュニケーションの質と効率の向上を支援します。

山本は、企業が独自データ(CSVやPDF)をシステムにアップロードするだけで簡易に対話型AIを作成することができる点、DMP(Data Management Platform)やCDP(Customer Data Platform)と統合することで顧客ごとの会話をパーソナライズし、WebサイトやLINEにつなげられる点を強みとして挙げました。

今後は新機能として、AIモデリングで導出した分析結果を活用し、トークスクリプトを自動で作ってくれる「対話型営業DX AI」の開発を予定していることを明らかにしました。

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AIにクリエイティブアイデアを掛け合わせる「∞AI Contents」

「∞AI Contents」は、電通デジタルがこれまで培ってきたクリエイティビティを活かし、AI活用によるバーチャルヒューマンやオウンドメディア構築など、ユーザーエンゲージメントを高めるサービス・プロダクトを提供するアプリケーションです。多くの実績を有する電通デジタルの500人を超えるクリエイターが、プランニングならびに実装支援を行います。

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山本は、「∞AI Contents」では、株式会社電通が提供する、イラストのキャラクターと会話できる「キャラトーカーAI」、家庭用ロボットやおもちゃなど会話できる「CHABOT」といったサービスとの連携、さらには実在の人物をAI化するバーチャルヒューマンプロジェクトに取り組んでいることを紹介。ここで山本が、実際に作成した「バーチャルヒューマン瀧本社長」と会話を行うデモンストレーションを実施しました。

山本:説明会の冒頭に流れた映像で、バーチャルヒューマン瀧本さんとリアル瀧本社長が会話するのを聞いていました。バーチャルヒューマンやAIがリアルな人間を励ましている姿は、まさに未来を感じるというふうに思いました。

バーチャルヒューマン瀧本社長 :山本さん、こんにちは。山本さんがおっしゃられていることは、もう未来じゃなくて現在という解釈でもいい気がします。AIをはじめとしたテクノロジーは、人間の能力を引き出すパートナーのようなツールと捉えていただくのがいいかもしれません。私たちは人間とAIが協力しあってより豊かな未来を創り上げていくことができるのです。未来を感じる瞬間はとてもわくわくしますね。進化し続けるテクノロジーの力で、よりよい未来を築いていきましょう。

驚くことに、この「バーチャルヒューマン瀧本社長」は、たった15分の音声データと40秒の動画を用い、2週間ほどで制作したといいます。

「今の会話をご覧いただいて、会場の皆さまはさまざまな反応をされていました。こうした人の感情に影響を与える体験自体がクリエイティビティであり、コンテンツだと思っています。そういう観点で、我々はこの『∞AI Contents』を非常に重要なアプリケーションとして、『∞AI』のラインナップに加えました」

AIとデータの統合プラットフォーム「∞AI Marketing Hub」

「∞AI Marketing Hub」は、生成AIのパフォーマンスをさらに高めるためのプラットフォームです。多様なデータを一元管理できる「データハブ」、データハブ内のデータを処理し目的に応じた最適なAIの選択・統合・制御を行う「AIハブ」で構成されます。

これら2つの機能をシームレスに連携させることで、企業の広範なニーズに対応しながら最良のマーケティングパフォーマンスを生み出す「∞AI Marketing Hub」は、「∞AI」アプリケーションの基盤としてだけでなく、企業独自のサービス開発の基盤としても活用できる、と山本は説明しました。

さらに、企業の幅広いニーズに対応するために、各種AIサービスの導入・運用に伴う運用サポート、システムインテグレーション、コンサルティング、クリエイティブプランニングなどを付帯サービスとして実施します。


「∞AI」は人間活動を最大化するためのAIサービスブランド

最後に山本は、「∞AIとは、社会や生活者のために企業やビジネスの新たな可能性を引き出し、次のステージへと導く。人間活動を最大化するための、電通デジタルのAIサービスブランドです。一番大事なことはクリエイティビティ。クリエイティビティがあり、そこに想いが乗っているからこそ、人の心が動き、動いた心が新しい価値を作り、そして世界のあり方が変わってくる。そうしたことに対して、我々はこれからも真摯に向き合っていきたい」と力強く語り、説明会を終えました。

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