2023.10.19

統合マーケティングダッシュボードの利活用で、 より迅速な意思決定と企業の持続的な事業成長を

昨今、マーケティングの際に見るべきデータと、それに基づく指標は増大の一途をたどっている。メディア環境が多様化・複雑化し、広告出稿先がテレビからデジタルの各種プラットフォームまで多岐にわたるためだ。広告出稿の効果を可視化すべく、電通グループが提供するのが「MIERO」だ。最大の特徴は、評価や比較が難しいとされてきたテレビ広告とデジタル広告の状況を一元的に可視化し、媒体をまたいで分析・比較できる点だ。企業のマーケティング戦略に伴走することを目指して日々進化する「MIERO」が目指す世界を、キーパーソン3人に訊く。

聞き手 日経ビジネス発行人 北方雅人 

マーケティング投資を最適化するために、その効果をリアルタイムで可視化

 企業は広告を始めとしたマーケティング活動に多額の投資をしているが、施策や広告出稿先が多岐にわたるため、その効果をリアルタイムで検証しながら最適な改善施策を打つことが難しい。「MIERO」は、そのような課題を解決するために誕生した。「マーケティング投資を最適化し、クライアント企業の事業成長につなげることは、電通グループの使命です」と、江端氏は語る。 

電通
データ・テクノロジーセンター
MIERO開発部 ゼネラル・マネージャー
江端 隼 氏 

 マーケティング投資を最適化するには、まず広告出稿の状況と効果をリアルタイムで把握しなければならない。多数の広告媒体をまたいでデータを一元管理し、分析する必要がある。

 そのニーズは、デジタル広告の隆盛と共に高まってきた。デジタル広告の世界では、広告をいつ、誰が何回見て、どのように反応したかといった情報を追跡できる。広告効果の可視化基盤も、常識的に使われている。

 しかし、それはGoogle、Yahoo!JAPAN、X(Twitter)といった媒体ごとに提供されている場合が多い。MIEROの第1の利点は、ソースの異なる情報を集約し、1つの画面で分析できることだ。

 例えば、あるユーザーが同じ広告にGoogleで数回、Yahoo! JAPANで数回接触していたとする。MIEROで分析すると、多くのユーザーに同じ広告を10回も20回も表示してしまっていたことが分かる。MIEROを使えば、どれだけの人に、トータルで何回広告が到達したのかを把握できるわけだ。

 それだけではない。比較や分析が難しいと言われてきたテレビ広告をそこに加え、デジタル広告と併せて分析できる。テレビとデジタルの効果を同じ土俵で見られるようにするため、電通グループはこれまでの知見を総動員して独自のアルゴリズムを開発してきた。

 テレビ広告を長く担当してきた水口氏は「テレビ業界では、広告主にダッシュボードを提供するという発想自体、ありませんでした」と述べる。通常、テレビ広告の結果はキャンペーンを終えて3週間後に判明する。MIEROでは、視聴者の年齢や属性ごとの視聴データを最短で2営業日後に把握することが可能だ。これにより、キャンペーンの最中でも、素早くプランニングを変えながら広告投資を最適化できる。

 「テレビ広告の状況を見ながら、CM放映直前まで質を高めていき、効果の最大化を目指す。この手法は、広告主にとても好評です」と水口氏は話す。

精緻な調査データをもとに「テレビ評価」「デジタル評価」「統合的な評価」ができ、次回施策に生かすことができる
Zoom

MIEROで広告効果を把握して、広告主の事業成長に貢献する

 これまでも、強い課題意識を持つ大手の広告主は、独自に広告効果の可視化基盤を開発してきた。電通グループは、その開発を担ってきた。

 「媒体ごとのデータを集約し、日次でモニタリングしながら、狙った効果を素早く達成する広告プランを検討します。キャンペーンを重ねるごとに学習を深め、システムを精緻化してきました」(江端氏)

 巨大な広告予算を投資する企業では、広告効果を数%上げるだけでも大きなコストダウンにつながる。自腹でシステムを開発しても十分に見合う。データ分析を担当する仲井氏は、「テレビとデジタルの最適配分をしたいというご相談に対して、今までに多くの分析を担当させていただきました」と話す。

電通デジタル
プラットフォーム部門 ソリューション戦略部
コンサルティンググループ グループマネージャー
仲井 翔平 氏

 電通グループはそうした開発経験を生かし、多くの企業向けの汎用的なダッシュボードとしてMIEROを開発した。

 これを、基本料金10万~15万円/月(プランにより異なる)という低価格で提供していることには、理由がある。「MIEROで広告効果を把握し、事業成長に生かしていただく。それを当たり前のことにしたいのです。すべての広告主に標準的なツールとして提供できるようにするため、負担を最小限にしたい意図があります」(江端氏)。

 データの収集と分析には手間とコストがかかる。これまでは、それだけの投資をして精緻なデータを収集できるだけの余裕があるのは、大手広告主に限られていた。「データの収集、整形、集計を自動化し、より多くの広告主に安価で提供できるようになっています」(仲井氏)。

 MIEROのダッシュボードを広告主の担当者と電通のチームが共有することで、「ワンチーム化」が加速する。テレビとデジタル双方に通じる電通のプランナーが、広告主と一緒にデータを読み解き、共に次の施策を考える。「MIEROの真の目的は、本当の意味でのワンチームとなって、広告主の事業成長に寄与することにあります」(江端氏)。

 また水口氏は、テレビ広告への投資は金額が大きいため、本当に効果があるのか常に問われてきたと語る。「番組ごとのリーチの特徴やピンポイントで得られる効果などを、デジタル広告と同次元で語れるようになることは、大きな進歩です」(水口氏)。

電通
ラジオテレビビジネスプロデュース局
業務推進統括部 プロデューサー
水口 奈津季 氏

 MIEROによって、テレビとデジタルを含めた広告施策が、よりスピーディーで効率的に進化する。それによって、広告の受け手である生活者も、自分に適した情報を適したタイミングで受け取ることができるようになる。

 「MIEROは、広告ビジネスを牽引してきた電通グループの使命感を反映しています」(江端氏)。広告業界のトランスフォーメーションを推進すべく、MIEROはこれからも進化を続ける。

取材を終えて

 多様なメディアの広告効果を一元管理できれば、企業はより機動的な広告戦略を取ることができる。テレビ広告の視聴データを受け、SNS広告の出し方を変えるといったことだ。販売データと組み合わせた効果検証もより容易になる。近年、デジタル広告の台頭により、広告は企業が一方的に訴求するものから、消費者と双方向にコミュニケーションを取るものへと変わりつつあるが、「MIERO」のような管理基盤が整うことでその進化は加速するだろう。

 データ検証力の向上は、広告の投資効率はもちろん、クリエーティブの面でも面白い影響を及ぼすかもしれない。

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