マーケティング投資を最適化するには、まず広告出稿の状況と効果をリアルタイムで把握しなければならない。多数の広告媒体をまたいでデータを一元管理し、分析する必要がある。
そのニーズは、デジタル広告の隆盛と共に高まってきた。デジタル広告の世界では、広告をいつ、誰が何回見て、どのように反応したかといった情報を追跡できる。広告効果の可視化基盤も、常識的に使われている。
しかし、それはGoogle、Yahoo!JAPAN、X(Twitter)といった媒体ごとに提供されている場合が多い。MIEROの第1の利点は、ソースの異なる情報を集約し、1つの画面で分析できることだ。
例えば、あるユーザーが同じ広告にGoogleで数回、Yahoo! JAPANで数回接触していたとする。MIEROで分析すると、多くのユーザーに同じ広告を10回も20回も表示してしまっていたことが分かる。MIEROを使えば、どれだけの人に、トータルで何回広告が到達したのかを把握できるわけだ。
それだけではない。比較や分析が難しいと言われてきたテレビ広告をそこに加え、デジタル広告と併せて分析できる。テレビとデジタルの効果を同じ土俵で見られるようにするため、電通グループはこれまでの知見を総動員して独自のアルゴリズムを開発してきた。
テレビ広告を長く担当してきた水口氏は「テレビ業界では、広告主にダッシュボードを提供するという発想自体、ありませんでした」と述べる。通常、テレビ広告の結果はキャンペーンを終えて3週間後に判明する。MIEROでは、視聴者の年齢や属性ごとの視聴データを最短で2営業日後に把握することが可能だ。これにより、キャンペーンの最中でも、素早くプランニングを変えながら広告投資を最適化できる。
「テレビ広告の状況を見ながら、CM放映直前まで質を高めていき、効果の最大化を目指す。この手法は、広告主にとても好評です」と水口氏は話す。