2023.06.27

今話題の「GPT-4」と「ChatGPT」。AIが変えるマーケティングの未来予想図とは?(前編)

2022年に注目されたAI技術の1つに、人間が与えた文章による指示からイラストを生成するサービスがありますが、さらに最近大きな話題となっているのが、AIによる文章生成サービス「ChatGPT」です。「GPT」とは、世界有数のAI研究機関であるOpenAI社が開発した言語モデル。2020年に「GPT-3」がリリースされ、小説や記事などの長文も違和感なく生成が可能なその性能が、社会全体に大きなインパクトを与えました。そして2022年11月にリリースされたのが、“対話”をする中でテキスト情報やアイデアが得られる「ChatGPT」です。さらに2023年3月には「GPT-4」がリリース。「GPT-3」から精度が大きく向上し、画像入力から文章を生成できるようになりました。専門的な内容に関する文字生成が今まで以上に正確にできるようになったとも言われています。

今回は、人工知能開発事業をメインに、マーケティングや社会課題の解決などに取りくむ山本覚と、アグチバヤル・アマルサナーにインタビューを実施。「GPT-4」や「ChatGPT」などのAIが社会に与える影響の予測や展望などについて話を聞きました。

学習し、高い精度で答えをくれる画期的なAI技術

電通デジタル 山本 覚

Q.「GPT-4」や「ChatGPT」は現在、かなりのバズワードになっていますが、まだまだ知らない人も多いと思います。この2つにどんな違いがあるのか、どのようなサービスなのか教えていただけますか?

山本:「GPT-4」は、AI自然言語技術処理モデルの1つで、簡単に言うとAIの脳のようなものだと思っていただくといいかもしれません。一方、「ChatGPT」はAIチャットボットのことで、「GPT-4」の前の世代の「GPT-3」の技術をベースに、特殊なデータセットで学習させ直し、対話に特化したサービスです。目的がはっきりしていて、質の高いアウトプットが欲しい場合は「GPT-4」が、まずはいろいろと話しかけて対話から何かを引き出したい場合は「ChatGPT」が向いていると言えるでしょう。また、「ChatGPT」はチャット形式で誰でも気軽に使えますが、「GPT-4」の方が汎用的な処理能力が高く柔軟に組み換えられるので、開発者はこちらを使うことが多いと思います。まだリリースして日が浅いこともあり、GPT-4を活用してのさまざまな開発はこれから、という段階ではあると思います。

「GPT-3」の話になりますが、例えば、「GPT-3」を使って、「A社の商品Bのキャッチコピーを書いてください」と入力すると、さまざまな情報を組み合わせて、キャッチコピーをいくつも書いてくれます。

また、かつて「GPT-3」を使ってTwitterのツイート内容を生成したことがあるんですが、「キラキラの絵文字をたくさん」、「ハロウィンというキーワードを入れる」、「アトラクションの特徴と価格も入れる」などの要件を入力すると、それに見合った文章を作ってくれます。 GPT-4ではさらに高精度な出力を得ることができます。

Q.こうしたすごい技術が出てくると、ライターなどの職業はいらなくなってしまいそうですよね。

アマル:AI技術が「人間を超えるのか」という議論はよくありますが、現時点での仕組みという観点でお話をすると、確かに実用性はどんどん向上していきますが、それでもより良いアウトプット、本当の意味で意に沿ったアウトプットを得るためには、人間がコントロールする必要はあると思います。ひと昔前は、ビッグデータなど「たくさんのデータを詰め込めば、AIが全てやってくれる」というイメージがあったかもしれませんが、そこまで簡単な話ではありません。「プロンプト」と呼ばれる指示文を人間が入力して、それによってアウトプットを引き出していくのが現状です。指示文の良し悪しがアウトプットの質に大きく関わってきますので、人間側のセンスや経験が問われます。最近は、プロンプトに特化した「プロンプトエンジニアリング」という新しい分野も注目されているんですよ。

「こういう記事を書いてください」という指示文によって文章を生成できるのですが、アウトプットされる文章のクオリティー担保に関しては、人間がしっかり関わらないといけません。ですので、表現するならば、「人間の能力を拡張してくれるツール」というイメージなんじゃないか、と私は捉えています。

「ChatGPT」の登場によって、AIにできてしまうなら、人間がやる必要がなくなる仕事がたくさん出てくると言われていますが、私たちのようなAIを開発する技術者もいらなくなるのではないかという話も正直あります。そうならないよう、私たち自身もシフトチェンジしていかないといけないなと思いながら、日々取り組んでいます。

電通デジタル アグチバヤル アマルサナー

個人の分身キャラクターが、本人に代わって対話に応じる時代に

Q.「ChatGPT」を活用したサービスや、今後の社会の変化などについてはどのように考えていますか?

山本:こういうインタラクティブな技術は、新しいマーケティングのプラットフォームになりやすいと思います。マーケティングのプラットフォームとして非常に大きな影響力を持っていたものがテレビだと思いますが、これは大勢が一斉に同じ情報を得るものでした。そこから、インターネットでのサーチで、もらうだけだった情報を個別に拾いにいくことができるようになり、さらにソーシャルメディアの登場でより個人に寄った情報を提供・収集できるようになってきました。

このマーケティングのプラットフォームに「ChatGPT」の技術が入ってくると、質問をしてやり取りを重ねながら、情報を引き出し合う段階に突入していくと思います。例えば著名人などがプロフィールを紹介するとなったときに、さまざまな会話を通してその人に関する情報を引っ張ってくるというようなことが手軽にできるようになるでしょう。それに、今のSNSでは、ある意味で思ったことを何でもかんでも投稿しているというような状況でもありますが、その中から「欲しい情報だけを聞く」ことがどんどん手軽にできるようになっていく。それがいずれ1つのメディアになるのではないでしょうか。

例えば、1人につき1つ、分身のようなキャラクターを生成して、話し掛けることによってその人の情報を引き出すようなメディアが考えられます。分身のキャラクターが「あなたにとって一番面白かったエピソードって何?」と聞かれたら、過去のデータの中から適切なエピソードを探し出し、本人に代わって回答できるようになる。そういうことがすぐにでも実現しそうです。


人間の役割をも脅かすような、大きなインパクトを持って受け止められている「GPT-4」や「ChatGPT」などのAI技術。「どう使いこなすか」「AIを用いて何をするのか」を明確にすることが、私たちに問われているのかもしれません。後編では、引き続き「GPT-4」や「ChatGPT」が社会をどう変え、マーケティングにどう活用されていくかについて、山本とアマルサナーに聞いていきます。

電通グループではさまざまなAIソリューションを開発しており、AIに関する知見や技術を保有しています。ビジネスにおける「GPT-4」や「ChatGPT」の活用について知りたい企業の方や、社員のリテラシー向上のために社内教育をしたいなどのご希望をお持ちの企業の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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