2023.06.02

BtoCサービスLPでCVR改善率109%達成

事業を継続的に成長させるPDCAの秘訣とは?

ランディングページのCRO(コンバージョン率最適化)、すなわちLPO(ランディングページ最適化)では、継続的なPDCAを行うことが必要です。

電通デジタルは、サービス系クライアントから依頼を受け、BtoCサービスサイトのLPOを担当しました。ユーザーニーズに寄り添うことで、持続的にCVR(コンバージョン率)を向上させ、サービスの成長に寄与できたLPOの取り組み事例を、メイン担当者の板野千咲が紹介します。

※役職や肩書は記事公開時点のものです。

LPOを実施したWebサイトの概要

今回、LPOを実施したのは、既存ユーザーを対象としたサービスを提供するWebサイトの中の、オプションサービスを訴求するランディングページです。

LPの訴求内容特典を付与するオプションサービス
ターゲットサービス利用中の既存顧客
集客方法広告や既存顧客向けチャネルから誘導
CV(コンバージョン)オプションサービス登録完了

この取り組みは、上記の前身となるサービスのキャンペーンLPの効果検証から始まりました。


前身サービスLPOの効果検証で見えた問題と方針

2021年、クライアントから電通デジタルへ、「(前身サービスの)キャンペーンLPを改修して、顧客満足度とCVRを高めてほしい。ただし、時間と予算が限られているため、ABテストを使わない方法でお願いしたい」という依頼があり、LPOプロジェクトが始動しました。

改修前に、LPのアクセスデータとクリックデータ、スクロールデータを分析したところ、「キャンペーン対象者の条件が分かりにくい」などの問題が明らかになったので、それらを解消するために、キャンペーン概要の掲載場所や、CTAの設置場所などの改修を実施しました。

改修後、CVRは約300%と大きく向上し、大幅な改善に至りました。ただ、ABテストを行わなかったため、どの改修ポイントがどのくらい効果をもたらしたかまでは分からないという課題は残りました。


最大の問題をクライアントと徹底的に向き合う

LPOによってCVRは高めることができますが、CVRが高くなったからといって顧客満足度が向上したとは判断できません。

そこでサービスイン後、CVRを高めつつ、顧客満足度を高めていくにはどうすれば良いか、クライアントと話し合いました。

その結果、クイックにデータドリブンと検証ができるPDCA体制を設け、顧客ニーズを理解してサイトをアップデートできるように、次のような方針を策定しました。

  1. ユーザーテストで顧客ニーズを可視化して、サービスへ還元する
  2. ABテストにより恒常的に改善できる環境を作る
  3. アクセスデータを踏まえたデータドリブンでABテストを振り返り、知見に昇華する

ユーザーテストとは、実際のユーザーに製品、サービス、Webサイト、アプリケーションなどを使ってもらい、その使い勝手や改善点などを調査するテストのことです。

クライアント了承のもと、この方針に沿ってサービスインに向け調整を進めました。


ユーザーは「知りたい情報が見つけられない」状態だった

本来であれば前回の分析同様、Webサイトのアクセスデータを分析し、ユーザーニーズのあたりをつけてからユーザーテストを行いたかったのですが、ローンチ後できるだけ早くクリティカルな問題や課題を解決することを優先し、ユーザーテストのみの実施で新サービスサイトの課題点を検討することにしました。

ユーザーテストで、複数の被験者にサービスサイトを利用してもらい、調査した結果、オプションサービスの内容を完全に理解できた被験者はほとんどいませんでした。その理由を深掘りしたところ、次の3つが課題として浮上しました。

  1. 情報が読み飛ばされている
  2. 知りたい情報が掲載されているのに、見つけられない
  3. 知りたい情報が掲載されていない

3つの課題のうち、まずは①を解決する対策を行うことにしました。


知りたい情報を見つけやすく・理解しやすい表現にすることでCVRが改善

被験者に読み飛ばされていた内容のうち、「加入条件」は特に重要な項目のため、最優先で改善・検証を行うことになりました。

「読み飛ばされた原因はUIではないか」と仮説を立て、「加入条件」の箇条書きのテキストが読みやすくなるように、2種類の改修(パターンAとB)を実施しました。

改修後の検証で、ABテストツールを用いて「オリジナル(改修なし)」「改修パターンA」「改修パターンA+B」を配信して比較したところ、「改修パターンA」は、オリジナルと比べてCVR改善率が109%になりました。


加入条件への閲覧誘導を強化し、CVRを改善

次に取り組んだ課題は「②知りたい情報が掲載されているのに、見つけられない」です。より多くのユーザーに加入条件を理解した上でCVしてもらうために、下記4パターンをABテストで検証しました。

  1. デフォルト
  2. どこからでも加入条件を確認できる改修をしたパターン
  3. 冒頭に加入条件がある旨を記載した改修をしたパターン
  4. 上記2つを盛り込んだパターン

検証の結果、もっともCVRが良化したのは4つ目のパターンで、CVRは109%改善しました。改修後のデータを分析した結果、ユーザーは、

  • 初回訪問時点で、加入可否を判断しやすくなった
  • CV意欲が高まったタイミングで、再度加入条件を真剣に確認できる状況になった

という理由により、LPが最適化でき、CVRの改善に至ったと判断しました。

Zoom

継続的にCVRを改善するためのPDCA体制構築

PDCAを安定的に回し、CVR改善を行うには、そのための体制を構築する必要があります。PDCAは、以下の流れで行います。一般的に、PからAまでの1サイクルにかける期間は、1~3ヵ月です。

  • P:ABテスト施策案を決定・作成する
  • D:ABテストを実施する
  • C:施策の効果を振り返る
  • A:次のアクション(=施策)を決める

PDCA体制を構築するにあたり、クライアントからは、「できれば高速PDCAを実施したい」という要望がありました。一般的に、高速PDCAの1サイクルは、数日~数週間程度です。サイクルの期間を短くして回数を増やせば、CVR改善の効率は上がりますが、以下のリスクがあります。

  1. 短期間での検証では、週間トレンドにおける影響もあり、変動する可能性がある
  2. アクセス量に依存し、施策結果だけでは見誤る可能性がある

これらを考慮した上で、電通デジタルでは、PDCAの一連のプロセスをできるかぎり速やかに行いつつも、統計的に正しい結果を得るためのデータを蓄積できる期間を確保するようにしています。クライアントにはその旨をご理解いただきつつ、電通デジタルのアセットを最大限活用し、高速PDCAを実施できる体制を構築しています。


LPOとCROで、事業の継続的な成長を支援する

今回のサービスでは、紹介した事例を含め、複数施策の検証をABテストで行い、そのうち半数以上で平均110%を超えるCVR改善を実現することができました。

LPを単なる「広告の飛び先ページ(リンク先ページ)」と捉え、機械的にLPOやCROを行う企業も多いですが、強引にユーザーをCVさせる手法は、長期的にはマイナスです。

LPは、ユーザーが初めてサービスや企業と出会う場所であり、結節点です。大事なのは、ユーザーのニーズに応える情報を分かりやすく提供し、ユーザーに納得してもらい、CVしてもらうこと。そうすることで、ユーザーに長期的にサービスを使い続けてもらうことができます。

正しくデータを取得し、きちんと読み解けば、ユーザーのニーズや心理を理解するためのヒントはたくさんあります。電通デジタルは、

  • 一過性のCV増加やCVR向上ではなく、サービス自体の成長を踏まえた伴走
  • あらゆるデータを最大限活用し、顧客の課題やインサイトを特定

この2点を心がけたLPO、CROを実施することで、事業の持続的な成長を支援します。

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