電通デジタルと楽天グループは、楽天が提供するオフラインでの購買データに基づくIDマーケティングソリューション「RMP- Omni Commerce」を活用することで、分析と施策を一気通貫で実施し、大きな成果を上げてきました(前回記事)。本記事では、RMP- Omni Commerceの活用法と今後の展望について、楽天グループ株式会社 コマース&マーケティングカンパニー マーケットプレイス事業 市場広告部 シニアマネージャー 山口高志氏と、電通デジタル コマース部門 楽天ルーム プランニングディレクター 藤田佳吾に話を聞きました。
※役職や肩書は記事公開時点のものです。
楽天IDで見込みロイヤル顧客を分析・抽出し、一気通貫でアプローチする
――オフラインでのマーケティング・販促に関して、「RMP - Omni Commerce」でできることを教えてください。
藤田 : 「RMP - Omni Commerce」によって蓄積したオフラインの購買データは、レシートデータが中心であるため、特定の流通に偏らないデータです。そのため、クロスブランド・クロスジャンルの促進に最適だと考えています。
一般にメーカーは、複数のブランドを有しています。クロスブランドとは、1人の生活者が複数のブランドの顧客になることです。消費財メーカーであれば、1人の生活者が、スキンケアブランド、ヘアケアブランド、オーラルケアブランドといった、複数ブランドの商品をご愛用いただいている状態です。
ちなみに、クロスジャンルというのは、1人の生活者がブランドの中にある複数のジャンルの顧客になることを指します。
楽天IDを使って分析をすれば、メーカーにとっての「ロイヤル顧客」であるクロスブランド顧客を見つけ出すことができます。そこからさらに、ロイヤル顧客と似た属性・行動・購買傾向を持つ他の顧客、すなわち、ロイヤル顧客になる可能性の高い顧客を分析・抽出して、一気通貫でアプローチすることができます。
――「RMP - Omni Commerce」をどのように活用して、クロスジャンルを促進するのでしょうか?
藤田 : 例えば、共通のブランドで、ガム・タブレット・グミなど、複数のジャンルの商品を展開している食品メーカーがあるとします。
このようなケースにおいて、楽天IDに基づく形で、流通を問わず、さまざまな商品の購買データを蓄積している「RMP - Omni Commerce」は、クロスジャンルの促進に大いに活用できます。具体的には、
- ガムを購入されているお客様にタブレットのトライアルキャンペーンを案内する
- お子様向けのグミをご購入されているお客様に、ご本人用のガムをおすすめする
といったアプローチが考えられます。
これらの施策と並行して、どのような顧客がクロスジャンルで購入しやすいのかを分析し、類似の属性や行動傾向をもつ生活者をターゲットに、次なるマーケティング施策を検討・実施していきます。
こうした施策は1回きりで終わらせるのではなく、PDCAを繰り返すことで、ユーザーの行動傾向など、さまざまなデータや知見を蓄積していくことができます。
クロスブランドを例にすると、「ブランドAとBの組み合わせで購入している生活者はブランドCも購入しやすいが、ブランドDへの反応はあまり良くない」といったデータや知見を貯めることで、より顧客理解を深めていくことができます。
蓄積したデータを基にしたCRM(顧客関係管理)は、オンラインでは当たり前になっていますが、「RMP - Omni Commerce」は、オンラインの当たり前を、オフラインの世界においても実現できるソリューションなのです。
山口 : 「楽天市場」をはじめ、70以上のサービスを展開する楽天グループでは、複数のサービスを横断的に利用していただく「クロスユース」を目指して、事業に取り組んできました。
ですので、クロスブランド、クロスジャンルの重要性は非常に深く理解しています。そうした思想のもと、われわれが蓄積してきた知見やデータ、ソリューションは、クロスブランドを推進したい企業にとって、きっと役に立つと思っています。
「RMP - Omni Commerce」が目指すマーケティングの未来像
――「RMP - Omni Commerce」は今後どのように進化していくのか、展望を教えてください。
山口 : 「RMP - Omni Commerce」を活用したオフラインマーケティングで、もっとも大きな販促効果を期待できるのは、クーポン施策です。
デジタルクーポンは、オンラインとオフラインをつなぐ役割を果たすとともに、オフライン行動傾向の蓄積にも貢献します。精緻なIDマーケティングを実施していくためにも、もっと多くの生活者に、オフラインでクーポンを使っていただける機会を提供したいと思っています。そのために現在、「RMP - Omni Commerce」では、以下のような施策を検討しています。
1つ目は、露出面の拡大です。前回の記事で紹介した「ポイントバッククーポン」では、オフラインクーポンの露出面は、現在は「Rakuten Pasha」だけなのですが、今後は「楽天ペイ」「楽天ポイントカード」「楽天PointClub」のアプリでも簡単にクーポンが使えるようにしていきたいと思っています。
2つ目は、クーポンの使い勝手の向上です。「ポイントバッククーポン」では、レシートを撮影して送付していただくことで購買証明としていますが、生活者には手間がかかります。レシート撮影・送付ではなく、楽天ポイントカードの提示でOKにすれば、生活者の負担はぐっと減るはずです。そのために、楽天ポイントカード加盟店で、クーポンも利用できる小売店を拡大させていく、ということにも取り組んでいきたいと思っています。
3つ目は、他の楽天サービスによる店頭連動キャンペーンの実施です。オフラインの場合、来店前はもちろん、店頭での訴求も非常に効果的です。そこで、店頭で「楽天ペイ(アプリ決済)」の利用や、「楽天ポイントカード」の提示でも参加できるキャンペーンの実現にも取り組んでいきたいと考えています。2023年5月1日より「楽天ポイント大還元祭」といった、OMO(Online Merges with Offline)型の企画が始まっています。さまざまな形での販促が可能になってきているため、用途によって使い分けながらユーザー層を分析し、PDCAを回していけるようなプロダクトの整備を図っています。
――クーポン施策に関しては、メーカーからもさまざまな要望がありそうですね。
山口 : そうですね。今後は、そうしたリクエストも踏まえ、ラインナップの拡充に取り組んでいきたいですね。
例えば、レシピサイトのレシピに使われている商品の利用モーメントを拡大したいというご要望に関しては、レシピを閲覧する層を楽天IDでターゲティングすることで対応することができると思います。
また、ブランド認知を目的とした大規模イベントを開催したいというご要望ならば、イベント参加者向けのアンケートを楽天IDで追跡できるようにすれば、イベント終了後に実際に認知から購買に繋がったか調査できるし、イベント参加者に対してクーポンを発行して購買施策を実施することもできます。
楽天グループ×電通デジタルだからこそ実現できるオンオフ統合CRM
――楽天IDを軸にすることで、さまざまな可能性に対応できるわけですね。
山口 : そのとおりです。これまでデータがとれなかった顧客の行動傾向、いわゆるミッシングリンクを楽天IDでつなぐことで、マーケティングのPDCAを回せる範囲が増えるというのが、「RMP - Omni Commerce」の最大のアピールポイントです。
楽天IDで点と点をつなぐことは、オンオフ統合マーケティングのスタート地点です。顧客行動からどのような意思が読み取れるか。どのような取り組みをすれば、次のアクションにつながるのか。生活者理解を深めるための分析と、そこからの施策こそが、何よりも重要です。
分析と施策に関しては、これまで多くの業種を支援してきた電通デジタルの知見をフル活用し、ご支援できることも、「RMP - Omni Commerce」の付加価値だと思っております。
藤田 : 生活者とのメインの接点がオフラインであるブランドにおいても、オンラインと同水準のCRMを実現できるのが、「RMP - Omni Commerce」というマーケティングソリューションです。これによって、どのような顧客が自社の利益に貢献しているのかを可視化し、その結果を基にブランディングやマーケティング施策を実施することができます。
山口さんも仰っていたとおり、楽天IDによってデータがつながることは前提条件です。生活者の心を動かすには、顧客体験の部分をしっかり設計しなければなりません。
電通デジタルおよび電通グループ各社は、早い時期からオンオフを統合した顧客体験を重視し、多くの知見とソリューションを有しています。それらを武器に、「RMP – Omni Commerce 」という強力なソリューションを活用することで、クライアント企業様と生活者のより良いコミュニケーションを実現するお手伝いをしていきたいと思っています。
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