2023.02.28

ウェブ解析士マスターが考えるGA4実践活用のポイント

Google Analytics 4(以下、GA4)を導入している、またはこれから導入する企業も多いと思います。重要なのは、導入した後で活用、運用していくことです。 

本記事では、GA4を活用してさまざまな分析や改善を行っている電通デジタル 馬場建至(ウェブ解析士マスター)が、GA4を使ってデータを見るときのポイントと、分析の考え方を紹介します。

※本記事は、2022年11月に開催したウェビナーの一部を採録し、編集したものです。

データを見るポイント①:対象を決める

GA4を導入したものの、何を見たらいいか分からず、何となくレポートを見ている人は多いのではないでしょうか? 毎日決まったレポートを順番に見ていても、あまりいい示唆は出ません。何かお題を決めて、絞り込んで見るのが良いです。

今回紹介する例ですが、「1週間前に開設したGA4セミナーのLP(ランディングページ)は、今どうなっているだろうか?」と気になったので、そのページに絞り込んでデータを見てみました。

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データを見るポイント②:悪いところを探す

データを見るときは、基本的に悪いところがないか、探すようにしています。良いところより悪いところの方が直しやすく、改善効果が出やすいからです。

今回の例は特定のページの分析なので、「レポート」>「ライフサイクル」>「エンゲージメント」>「ページとスクリーン」を開いて見てみました。

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セミナーLPを確認してみたところ、直帰率が56%ありました。これは私の肌感ですが、直帰率が50%を超えていれば、改善の余地があると判断しています。

セミナーLPの直帰率の高さは問題ですが、同じレポートで、別のGA4関連記事ページの直帰率が80%あることに気づきました。原因が気になったので、「探索」>「経路データ探索」を使って、閲覧したユーザーの行動を調べてみました。

見てみると、このGA4関連記事ページを見たユーザーは、全然関係のないWebページに遷移していて、セミナーLPには遷移していませんでした。

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データを見るポイント③:仮説を立てる

さらに調べると、セミナーLPとGA4関連記事ページには、相互にリンクがはられていませんでした。これはもったいないです。

ここで仮説を立てました。「2つのページに相互リンクをはることで、回遊が増え、直帰率が下がり、セミナーにエントリーしてくれるかもしれない」という仮説です。Webサイト管理担当者に連絡し、リンクを互いのページにつけてもらいました。

すると数日後、GA4関連記事ページを見た400人強のうち、約10%がセミナーLPへ遷移していました。

さらに、セミナーLPからGA4関連記事ページへの遷移も増え、この2つのページを回遊してコンバージョン(セミナー申し込み)するユーザーが増えました。簡単な分析から改善施策を考え、実行したことで、たった数日でコンバージョン増加という成果が出たというわけです。

GA4を見るときは、ただレポートを見るだけでなく、常にどこか改善できるところはないかと探す姿勢が大事です。「対象を決める」→「悪いところを探す」→「仮説を立てる」という流れを意識し、こまめに改善施策を実施してみてください。


データを見て得られる気づきは3種類

GA4でWebサイト分析をする目的は、「改善するための気づきを得ること」です。とはいえ、「GA4でデータを見ても、なかなか気づきが得られない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

GA4でデータを見て得られる気づきは3つに分類できます。「悪いところ」「良いところ」「特徴」です。

この3つを意識すれば、気づきを改善に活かす「考え方」はとてもシンプルになります。「悪いところは減らす」「良いところは増やす」「特徴は活かす」というふうに考えるのです。この3つのうち、優先的に取り組むべきは、先述のとおり「悪いところを減らす」です。

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改善案を出すときに意識すると良い3つの点

改善は悪いところから行いましょう。水が漏れているバケツは、穴をふさぐことが先決です。いくら良いページがあっても、その手前のページでユーザーが離脱している限り、見てもらえません。悪いページの改善案を出すときには、以下の3点を意識してください。

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Webサイト内の他のページを確認する

1つ目は、Webサイト内の他のページを確認し、比較することです。

例えば同じようなLPが3つあり、その中の1つのページの直帰率が高い場合、ページ内要素やレイアウトを他のLPと比較してみます。異なる点があれば、それが改善のヒントになります。

この方法のメリットは、データから気づきを発見しやすいため、定性的・抽象的な議論になりにくく、仮説を立てやすいということが挙げられます。

競合やベンチマークと比較する

2つ目は、競合サイトと比較することです。

例えば、自社ECサイトの詳細ページを調べたところ、直帰率が高いことが分かったとします。しかし、詳細ページのレイアウトはサイト内で共通なので、他のページと比較しても悪いポイントはなかなか見えてきません。このような場合は、競合サイトとの比較が有効です。

競合と比較する場合のポイントですが、やみくもに比較しても時間がかかるばかりです。ここでも「悪いところはないか」という観点で自社サイトのページを分析して、得られた気づきから仮説を立て、その部分にフォーカスして比較してみると良いです。

良いと思ったものを保存しておく

日常生活で、たくさんのWebサイトやアプリを目にしていると思います。日ごろから世の中の「良い」施策をスクリーンショットなどの画像で保存しておくことも、大変有効です。

最近、私が良いと思って保存したのは、とある大手チケット販売サイトのエントリーフォームです。入力項目数が必要最低限に抑えられ、入力しやすく、ストレスなくスムーズに購入することができました。

ユーザーとして使い勝手が良かったり、読みやすかったりするWebページには、学ぶポイントがたくさんあります。それらを保存しておき、可能なら良いと思ったポイントを整理しておくと、いつかきっと役に立つはずです。


GA4になっても、分析の本質は変わらない

今回、私が伝えたかったことは、GA4にバージョンアップしても、分析の考え方は変わらないということです。

もちろん、GA4で新たにできるようになったことも多く、期待は大きいですが、だからといって新しい手法や難しい分析を無理して使う必要はありません。

これまで使っていたUA(ユニバーサルアナリティクス)でもGA4でも、大事なのは、分析を通じて、いかにして事業の成果に貢献するかです。GA4の導入や活用に関して、悩みごとや困りごとあれば、いつでもご相談ください。

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