2023.12.11

顧客一人ひとりに寄り添った購買体験を実現するユニファイドコマース

実店舗とECサイトの融合が必須となった現在、どのチャネルにおいても「顧客一人ひとりに寄り添った価値」を提供することが必要です。本記事では、電通デジタルが考えるユニファイドコマース導入のポイントやソリューション、「KARTE」によって提供されるユニファイドコマースでの顧客体験について、最新事例などを交えて紹介します。

※本記事は、2023年9月に開催されたセミナーを採録し、編集したものです。
※役職や肩書は記事公開時点のものです。

統合されたコマース体験とは?

電通デジタル 竹中啓雄 : 日本のEC市場は、店舗とECの併用により市場規模が右肩上がりに成長している一方で、インターネット上には、多くのECサイト、モール、アプリ、SNSが存在し、競争は年々激しさを増しています。また、競合企業の増加に伴って、顧客は利便性が高く、最適で、快適な買い物体験ができる企業やブランドを選択するようになってきます。

これから企業に求められるのは、本質的なサービス課題を洗い出し、顧客を十分に理解して、サービス改善を実施することです。個別のチャネルを通じて利用している顧客一人ひとりを大切にし、統合的なサービスを提供することが必要になってきます。

すべてのチャネルを統合して売上を持続的に成長させるためには、購買後のサービス改善やチャネル運営を丁寧に行い、顧客に寄り添うことが大事です。

時代の変化に対応して、顧客に選ばれる企業になっていくには、以下の4つの条件をクリアしなくてはなりません。

  1. 様々は販売チャネルをシームレスに連携させること
  2. 各チャネルの顧客行動履歴を統合管理し、多角的分析が可能なプラットフォームがあること
  3. 顧客一人ひとりにパーソナライズされた価値が提供できること
  4. 永続的にグロースハック可能なデータと体制があること

ユニファイドコマース導入の課題

4つの条件が揃うことで、統合されたコマース体験の提供が可能になります。裏を返すと、これを満たすことがユニファイドコマース導入における課題になります。

具体的にどのようなことが課題となるのか。「データ統合」「プラットフォーム」「施策立案/実行」「組織/運営」の4つのケースで見ていきます。

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「データ統合」の課題は、各チャネルから取得した各種データを、一貫性のある形で管理することができず、断片化してしまうことです。データの形式が異なったり、キーが違ったりしていると、顧客データを他のデータと紐付けるのに苦労します。また、必要なデータを選別して分析可能な形に結合・成形するために、多くの時間とコストをかけなくてはなりません。

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「プラットフォーム」の課題は、インフラ、ネットワークインターフェース、機能やセキュリティ、運用ツールの検討/選定など、プラットフォームを構築するために多くの時間とコストを費やしてしまうことです。

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「施策立案/実行」の課題を見てみます。「統合データ」と密接に関連しますが、データを一貫性のある形で管理できず、断片化してしまうと、顧客の嗜好やニーズを総合的に正しく把握することができず、結果的に個別の施策になってしまいます。

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最後に「組織/運営」の課題です。ユニファイドコマースでは、異なる部門やチーム間の連携が不可欠です。組織を横断して戦略が立てられないと、ユニファイドコマース全体の推進を1つの部門が担うことになり、非常に負担が大きくなります。

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これらの課題をどのように解決すべきか。解決策を含めたユニファイドコマース導入のポイントについて解説します。


ユニファイドコマース導入のポイント

電通デジタル 鈴木大介 : ユニファイドコマース導入で直面する課題について、これを解決するためにどのような対策が必要なのか。その解となるのが、電通デジタルオリジナルのユニファイドコマースサービス「One tempo」です。「One tempo」は、ユニファイドコマースの実現に必要な、4つのキーワードで構成されています。

1つ目は、One Data。複数チャネルとそこで扱われるデータのシームレスな連携が可能となります。

2つ目は、One Base。ユニファイドコマースを実現するために必要な各種システム、データの統合基盤をあらかじめご用意しています。

3つ目は、One to One。一人ひとりの顧客に最適な購買体験を提供します。

4つ目は、One Team。3つのOneを活用して、ECビジネスの戦略からグロースまでをコミットする支援体制を準備しています。

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ただ、ユニファイドコマースは、業界ごと・商材ごとに実施する施策が多種多様であるため、初期導入時にすべての要件を決めきるのは非常に難しいこともあります。そこで電通デジタルでは、すぐにユニファイドコマースを実現したいとお考えの企業に向けて、早期導入パッケージ「One tempoスターターパック」をご用意しています。

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スターターパックでは、自社ECプラットフォームとCXプラットフォーム「KARTE」、データ統合プラットフォーム「KARTE Datahub」をベースとして、統合的なユニファイドコマースの実現を支援します。

先ほど説明した4つの「One」に沿って、すぐつながるデータ、すぐ使えるシステム、すぐに実施できる施策、すぐに開始できる体制の4つで構成されています。各業界の共通仕様をまとめているため、これをベースとして導入していただき、アップデートを重ねることで、顧客ごとのユニファイドコマースを実現していくことが可能です。

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「KARTE」を活用したユニファイドコマースの成功事例

プレイド 中野康平氏 : 私からは、ユニファイドコマースを実現されている事業者様を例に、「KARTE」の活用イメージを紹介します。

「KARTE」について

「KARTE」は、CXプラットフォームです。顧客と適切なコミュニケーションをとるために一番重要なことは、顧客の状態を適切に把握することです。そのために我々は、顧客の状態をリアルタイムに解析し、状況に合わせたアクションを配信するということを目的に、プロダクトを設計しています。

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「KARTE」を使うと、Webサイトに来訪した顧客の状態を知り、分類し、分類に応じて適切なコミュニケーションを配信することができます。

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「KARTE」は、これらの機能を中心として、メールやプッシュ通知、LINE、広告媒体との連携といったアクションにも対応できるように、プロダクトの領域を拡張しています。ユニファイドコマースに関しても、実店舗のデータ、POSのデータを取得し、顧客の店舗での行動に応じたマーケティングアクションが実施できるような拡張を行っています。ここからは、ユニファイドコマースの実践例をピックアップして紹介します。

取り組み事例①:TSIホールディングス(ナノ・ユニバース)様

ファッションセレクトショップ「ナノ・ユニバース」(TSIホールディングス様)は、オンラインにおける顧客の行動データ、店舗在庫データを「KARTE」に取り込み、データを統合しました。その上で、顧客の行動履歴をもとに、特定の店舗に来訪した時にだけ、アプリに特定のコンテンツを表示しています。

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具体的な内容が下の図です。「KARTE」は、顧客の来店をビーコンによってリアルタイムに解析し、そのデータを保持し、集約します。参照データに基づき、店内のベストセラー、店内の新着商品など、アプリ機能としてコンテンツの出し分けを行っています(黄色枠の部分)。

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また、部門間を横断した連携を実現するためのデータのご活用に関しても、ご利用いただいています。

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上図は、ナノ・ユニバースの顧客からLTVが高い方のデータを抽出し、どのチャネルで、どれぐらい購入されているのかを表示したグラフ(右上)で、その中から一人ずつデータを取り出して、接点と行動を確認できる仕組みになっています(右下)。「全体を俯瞰してデータを見る」「個人に焦点を当ててデータを見る」、それぞれの観点でご活用いただくことで、部門や役職に合わせたデータの抽出・加工を実現しています。

取り組み事例②:三陽商会様

三陽商会様でも、同じような取り組みをしています。QRのチェックインや3D距離センサーを用いて、店内の行動データを取得・解析し、店舗体験やEC体験で最適なコンテンツを表示しています。「KARTE」は様々な仕組みに対応ができるという一例です。

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取り組み事例③:アーバンリサーチ様

アーバンリサーチ様との取り組みでは、部門を横断したデータの統合と、それに応じた施策の推進を行うための体制構築の支援を行いました。

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下図は、顧客の分類に応じた売上の構成比です。実店舗データとECデータをつなぎ合わせることで、「店舗で購入の実績があり、ECを閲覧している人」(SBEV)が、その他の方と比べて比較的LTVが高いことがわかりました。

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また、部門を横断したメンバーによるワークショップ形式で、行動データの読み解きを実施し、 EC視点では「買ってくれない」ように見えていたユーザーが、OMO視点では「ビジネス貢献度が高く、ボリュームもある重要顧客」であったことがわかるといった成果を上げ、部門間での共通言語づくりに寄与しました。

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以上、ユニファイドコマースにおける「KARTE」の活用事例を3つ紹介しました。

ユニファイドコマースを推進していく中での課題の状況に応じて、ぜひ「One Ttempo」を導入のうえ「KARTE」を存分にご活用いただき、成果を出すための取り組みをご一緒できればと思っております。

ユニファイドコマースソリューション「One tempo」
顧客体験設計、プラットフォーム構築、グロースまでを支援する統合サービス 
https://www.dentsudigital.co.jp/services/platform/cloud/onetempo

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