2022.08.5

シームレスな顧客体験を実現できるShopify Plusとは?

利益とロイヤルティを高めるには、顧客側の動向をいち早く察知し、購買行動につなげる"シームレス"な顧客体験設計が重要です。あらゆる顧客接点とバックエンドを柔軟に連携し、"シームレス"な顧客体験を実現できるコマースプラットフォーム「Shopify Plus」の仕組みと利点について、電通デジタル 髙田拓之が解説します。

気になって、調べて、買って、使う。すべてが顧客体験

そもそも「顧客体験」とは何でしょうか。私は音楽が趣味なので、ギターを購入するときの顧客体験を例として紹介します。

今ならYouTubeで試奏動画を見たり、ギターの専門雑誌やメーカーのサイトを見たり、バンド仲間や同じギターを持っている人に相談したり、さまざまなところからギターの情報を集めるでしょう。

その後、目星がついたら楽器店に行って、試奏して、購入したい商品が決まったとしても、すぐには買いません。

「お得に買いたいな」と考えて中古店やメルカリで探したり、「アフターサービスが良いところで買いたい」と考えて、メーカー直販サイトで値段を確認したりするかもしれません。

そのように商品を調べて購入した後も、実際に弾くことはもちろん、演奏会を開いたり、演奏動画をSNSでシェアしたりと、さまざまなステップが続きます。

これらのステップすべてが「顧客体験」なのです。

Zoom

「顧客体験」(カスタマーエクスペリエンス、CX)とは、生活者が商品やサービスに興味を持ち、調べて、購入して、利用し続ける、一連の体験すべてを指します。その過程で企業と生活者が新しい関係性を築くことにより、利益とロイヤルティを高める。そうしたマーケティング手法が注目されています。


あらゆる接点とシステムの連携が求められる「顧客と企業との関係づくり」

顧客体験の設計においては、顧客側の動向をいち早く察知し、購買行動につなげることが重要となります。そこがまさに、マーケターの皆さんが抱えている課題でしょう。

例えば、購入サイトへの来訪は、検索サイトからやSNSからなど多種多様です。スマートフォンの普及で、今後、顧客接点がさらに複雑かつ多様化する中で、よい顧客体験を提供するために、設計段階でどのようなことを意識すべきでしょうか。

その答えの1つが"シームレス"な顧客体験です。

重要なのは、煩わしさを与えずに、認知から興味・関心、商品理解、検討、購入、利用、他者へのレコメンドまで、一連の顧客体験で顧客が「望んでいること」がスムーズに実現できること。そのうえで、顧客側のライフサイクルにしっかりとフィットする基盤を用意することが重要です。

顧客に煩わしさを与えないためには、顧客接点から購買まで、最適なフローをシステムなどに影響されることなく作り上げることが必要です。

Zoom

顧客接点となるフロントエンドには、デジタルチャネル(ECサイトやTwitter、Instagram、Facebook、LINEなどSNS、デジタル広告など)とリアルチャネル(店舗、雑誌広告、新聞広告、テレビCMなど)があります。

またバックエンドでは、会計処理システム、顧客管理システム、在庫管理システムなど、多数のシステムがバラバラに動いています。

「システムの分断や会社のしがらみが顧客体験に影響してはならない」と言われても、システム間のデータ連携は難しく、新しいシステムの導入も容易ではありません。


変化にも対応できる「顧客体験」を設計するために

それでは、続々と増え続ける顧客チャネル、バラバラなシステムという環境下で、どうすればシームレスな顧客体験を実現できるのでしょうか。

その答えとして提案したいのが、「Shopify Plusを活用したヘッドレスなシステム設計」です[1]

フロントエンドとバックエンドの間に「コマースプラットフォーム」として「Shopify Plus」を置き、両方とAPIで連携します。

Zoom

「すべてを一体化したECシステムの方がいい」「APIですべて連携させて1つのコマースプラットフォームに統合させればいい」という声もありますが、私はすべてをコマース側で解決させない方がよいと考えています。

すべてを一体化したECシステムでは、システム開発が大きな制約条件となることが多々あります。その結果、「顧客体験のための改善に集中できない」となるのは残念なことです。

また、基本的にコマースプラットフォームはカート機能がメインです。カート機能はオンラインの取引には重要ですが、顧客体験を考えるうえでは、一つのパーツに過ぎません。カートに囚われすぎず、顧客体験全体という視点から最適な設計をすることが重要です。


最高の顧客体験実現は、「カスタマージャーニー」による顧客理解から

顧客体験設計は、まず顧客を知ることが大事です。既存のECサイトがあるのなら、その顧客を理解するところから始めてください。

そのうえで、さらに新しい顧客を開拓したいなら、デジタルマーケティングで解決策を講じます。逆に既存の顧客向けに新たなソリューション・商品が求められるなら、新規商品開発や業務運用の効率化を進めます。

そのようにして幅を広げ、いずれは多角化するという考え方がよいと思います。この多角化領域が、顧客体験、いわゆるCX領域であり、実はDXの考え方と重なります。CXもDXも顧客理解が第一歩であることは間違いありません。

それでは、どのようにして「顧客を知る」のか。あくまで手法の一つながら、まずは「カスタマージャーニーマップ」を作成することをお勧めします。

Zoom

「カスタマージャーニーマップ」は、CRM(顧客関係管理)の世界では「ゴールデンルート」と表現されます。顧客がどのようなプロセスで購入し、どうやって他の方に広めるかまでを具体的に描きます。すでにECサイトやサービスがあれば具体的に調査しながら、もしこれからサービスを作る際には、仮説を用いて想定される顧客ごとに複数作成してもかまいません。

興味関心フェーズなら「どこから来るか」、検索・検討フェーズなら、「サイト回遊はどのようなルートなのか」、その間に「メールなどの別のアプローチは行うのか」などを具体的に仮定しながら、顧客がどのような情報を得るかを考えます。購入後は、利用・再購入・推奨フェーズについて考えることも忘れないようにしましょう。


「Shopify Plus」の多彩な機能を活用して、豊かな顧客体験を提供

カスタマージャーニーマップを作成するのが初めての場合、システム構成を考慮しながら実現可能性の高いマップを作成するのは、なかなか難しいかもしれません。

しかし、「Shopify Plus」なら、スマホアプリなどすでにフロントエンドの多くは連結済みです。実店舗のPOSもShopify POS[2]を利用したり、APIを駆使したレジシステムとつなげることも可能なので、カスタマージャーニーマップに反映できます。

また、バックエンドにおいても、顧客管理システムなどとの連携機能も一通り揃っていて、ヘッドレスのアーキテクチャがすでに備わっています。特にD2Cビジネスには非常に相性がいいと言えます。

いくつか事例を紹介しましょう。

ロイヤリティを高める「会員限定サイト」

「すでに顧客がたくさんいるけれど、囲い込みができていない」「ロイヤルティを高めるために会員限定サイトを構築したい」。Shopify Plusなら最大10サイトまで作成できるので、1つを通常サイトとし、その顧客データを「会員限定サイト」にインポートするという設計ができます。

一般的なCSVでのインポートでは手間も時間もかかりますが、Shopify Plusの大量のデータ処理ができる「Transporter」[3]を活用することで、ほぼ自動的にインポートができます。

また、「Bulk Account Inviter」[4]と連携して、その顧客データに新しいサイトからの招待メールを送ることも可能です。この際、自動的にそのメールにログインパスワード設定の独自リンクを設定することもできます。これらの機能は標準で備わっており、いずれも無料で利用できます。

顧客に合わせた情報が提示される「パーソナライズサイト」

カスタマージャーニーマップを考える際に、顧客に応じた適切なコンテンツや情報をお届けしたいと考えるのはよくあることです。Shopifyにはサードパーティツールとして「Dynamic Yield」[5]があり、顧客の閲覧履歴や位置情報、時間帯、参照元を分析し、それぞれの顧客に合わせた情報を出し分けられるようになっています。例えば、ある顧客がWebサイトに訪れると、検討中の商品のバナーやキャンペーン情報などが表示されるほか、メールや申し込みフォーム、動画配信などもすべてパーソナライズの対象となります。

米国のある事例では、この「Dynamic Yield」の活用でパーソナライズを行ったところ、ブラックフライデー[6]の売り上げが昨年比で35%増加、ECサイトからの売り上げが約1.2倍、ページ閲覧数も35%アップしたとされています。なお、このアプリもShopify Plusにすでに連携済みで、ワンクリックで利用できます。


Shopify Plusは、特にフロントエンドからECへの誘導における顧客体験設計において、すでに統合されている機能が多く、すばやく実現できるのが大きなメリットです。

ただし、あくまでコマースプラットフォームの一つであり、顧客体験をすべて実現できるわけではありません。クライアント企業様によって顧客体験はそれぞれであり、まずは自社の顧客体験について、顧客接点やコミュニケーションのあり方を考えることが必要です。そのうえでコマースプラットフォームが必要である場合、「Shopify Plus」はベストな選択肢の一つです。

私たち電通デジタルは、カスタマージャーニーマップ作成による顧客体験設計からお手伝いをさせていただいています。コマース分野に限らず、「顧客とどのような接点を持って事業を成功に導くべきか」などのご相談も承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。


●脚注

1. ^ Shopify Plus公式サイト

2. ^ Shopify POS 公式サイト

3. ^ Transporter. Shopifyヘルプセンター

4. ^ Bulk Account Inviter. Shopifyヘルプセンター

5. ^ Dynamic Yield. Shopifyアプリストア

6. ^ ブラックフライデーとは、11月第4木曜日の翌日のこと。米国では、オンラインや小売店などで大規模な安売りが実施される。

PROFILE

プロフィール

この記事・サービスに関するお問い合わせはこちらから

EVENT & SEMINAR

イベント&セミナー

資料ダウンロード

電通デジタルが提供するホワイトペーパーや調査資料をダウンロードいただけます

メールマガジン登録

電通デジタルのセミナー開催情報、最新ソリューション情報をお届けします

お問い合わせ

電通デジタルへの各種お問い合わせはこちらからどうぞ