2021.03.10

的確な顧客データの活用でCXデザインをより洗練させる 〜Amazon QuickSightで膨大なデータから顧客インサイトを導き施策に生かすには?〜

デジタルテクノロジーの進化に伴い、顧客とのタッチポイントは増え続け、顧客体験の形は多様化・複雑化しています。それと同時に、得られるデータの種類や量も膨大になっており、「データは取得しているものの、膨大なデータに対して分析が追いつかず施策に活かせていない」という声も多く聞かれるようになりました。 この課題を越えるために電通アイソバー(現 電通デジタル)が導入したのが、AWSのBIツール「QuickSight」です。本稿では、「QuickSight」の導入背景や選定のポイント、なぜ「QuickSight」を活用することによってCX(カスタマーエクスペリエンス)がより洗練されたものになるのかについて発表したウェビナーの内容を紹介します。

※所属・役職は記事公開当時のものです。

電通デジタル データデザイン部
シニアデータアナリスト

上田 悠平

優れたCXデザインのためにはデータを正しく活用できる環境が必要

電通アイソバー(現 電通デジタル) データデザイン部 シニアデータアナリストの上田悠平は、ウェビナーの冒頭で、「『We are the CX Design Firm.』を掲げる電通アイソバー(現 電通デジタル)では、ブランドと一人ひとりの顧客が永く繋がり続けるための“特別な関係性”を生み出すことを目指すCXデザインでクライアント企業をサポートしています。
CXデザインの中でも『優れたCX』は、いつも『心を動かし、ゴールへと導く“Motivation”と、障壁をなくし徹底してつまづきをなくす“Frictionless”』という2つの矢印で成立しています。そして、“Motivation”の原動力となるMarketing & Communications領域と、“Frictionless”を実現するPlatforms & Commerce領域がなめらかに連携し合うことが重要だと考えてきました」と、述べました。

そうしたサービスを提供している中で、Platforms & Commerce領域において直面した課題が、「増え続ける顧客データによるPDCAサイクルの負荷増加」と「統合されていないデータに振り回されデータを施策に活用しきれていない」という現実でした。

これらの課題が浮き彫りになった背景について、「企業が優れたCXを顧客に提供しようとwebサイトやeメール、ソーシャルメディアや店頭など、多種多様なタッチポイントを展開した結果、膨大な種類のマーケティングデータが取得できるようになっています。一方で、施策の運用や振り返りのためのマーケターの負荷も増加している上に、せっかく得られたデータも顧客ベースでの統合が不十分であるため活用しきれていない状況に陥っている企業様も見受けられます」と、上田は解説します。


「BIツールの活用」は優れたCXの実現には欠かせない

前述の通り、膨大なデータが取得できているにもかかわらず、それを上手く活用できない状態でいることは、優れたCXを顧客に提供する機会を逸してしまうことにも繋がりかねません。

そこで、電通アイソバー(現 電通デジタル)では、企業に蓄積された膨大なデータを収集・分析・可視化し、迅速な意思決定をサポートするBIツールの導入を検討することにしました。

今日、BIツールは、IT 部門や外部のベンダーが構築・運用し、ビジネス部門が利用する「従来型のBIツール」と、自ら構築して利用する「セルフサービスBI」の主に2つのタイプが利用されています。

「スタッフが柔軟かつ機動的に活用できる『セルフサービスBI』の方がよりフィットすることはわかっていましたが、その中にも優れたツールや高機能なツールが多々存在します。そうした中でベストな選択をするために、自社の中でBIツールを活用する可能性があるメンバーらと一緒に選定のポイントを整理することになりました」と、上田は導入前を振り返りました。


電通アイソバー(現 電通デジタル)が設定したBIツール選定の基準

電通アイソバー(現 電通デジタル)がセルフサービスBIの選定基準としたのは主に次の4つの項目です。

  1. 数千万レコードのデータもストレスなく扱えること
  2. データの閲覧・画面編集が容易
  3. セキュリティが担保されていること
  4. ライセンスの管理が容易、かつ費用を抑える事ができるもの


多くの企業がツールやソリューションを導入する際、選定の基準を設定するものでしょう。そうしたシチュエーションも踏まえて、上田は、「一般的に高機能で優れたツールはたくさんありますが、他社にフィットしたものが必ずしも自社にも合うとは限りません。例えば今回のようにデータ活用においても、会社ごと、事業ごとにやり方や目的は異なります。
誰が、何の目的で?  利用規模や人数は? 利用するシチュエーションは? 予算は? といったことを考慮した上で、自社に最もフィットするツールを選定し、導入することが大切です」と、アドバイスします。


AWS「QuickSight」の活用で、CXデザインはより洗練されたものになる

現在、「QuickSight」は電通アイソバー(現 電通デジタル)がクライアント企業とともに展開している様々な施策を支えています。

企業に蓄積された大量の顧客データを電通アイソバー(現 電通デジタル)が独自に開発した「TONARIWA」を介して企業のLINE公式アカウントと連携させ、One to One コミュニケーションを実施している案件はその一例と言えるでしょう。

ここでは、「友だち数が多いアカウントに対して分析リソースが不足しているため施策への十分な考察が行われておらず打ち手に繋がる示唆を得ることができていなかった」という課題に対し、データ分析を容易にしたり、システム外のデータと突合させて新たなインサイトを発掘することができるようになっています。

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また、成果の検証と改善を素早く行ないたい場面でも「QuickSight」は活躍します。
例えばMAツールのeDM施策を行なう場合等はABテスト施策を高頻度で実行し、検証と改善のイテレーションを回していく必要があります。

その中で起こりがちな「データが分散しているためチェックからアクションの負荷が高い」「単一ツール上のシングルソースデータでは分析に限界がある」といった課題を解消し、MAツールに限らず多面的に収集されるデータを素早く分析し、コンバージョンの内容やユーザーの詳細まで深掘りした分析を素早く行なうことで、CXの向上に役立てています。

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他にも、多くのユーザーを抱えるクライアント企業の案件では、「顧客行動がチャネルごとに分断されており施策の効果を正確に把握できない。インサイトに結び付けにくく活用しきれていないデータ群が存在する」といった課題を「QuickSight」を導入することで解決。埋もれていたデータを顧客ベースで統合し、インサイトを導くための“資産”として活用できるようにしたという例もあります。

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このように、データ活用における課題を解決し、よりデータの価値が高まるように活用できる道筋がつけられたことは、今後のCXデザインをより顧客一人ひとりに向き合った心地よいものにしていくきっかけになりえます。

最後に上田は、「QuickSight」を利用した所感について、「シンプルな操作性で、エンジニアでなくてもアカウントがあればすぐに構築・分析が開始できること。そして、ウェブブラウザで利用できるといった使い勝手の良さや業務範囲に応じて閲覧権限を柔軟にコントロールできること。さらに、専用のデータストレージを内包し、高パフォーマンスな分析が可能であること。また、それらの充実した機能をBIツールとしては珍しいセッション課金で利用状況に合わせてコストを抑えつつ運用できることなどから、有用性が高いと感じています」としました。

ただし、文中でも述べた通り、データ利活用の最適解は企業や部署、担当者によって異なる場合もあり、それに応じてフィットするツールは異なる場合が考えられます。また、ツールを導入した後には、そこから明らかになった顧客のインサイトを紐解く必要も出てくるでしょう。
そのようなデジタルマーケティングの課題を超えて、ブランドと一人ひとりの顧客が永く繋がり続けるための“特別な関係性”を生み出せるよう、電通アイソバー(現 電通デジタル)は優れたCXデザインを提案するまでのあらゆるステップをサポートし続けています。

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