Google 品質評価ガイドライン解説(2019年5月版)

Google検索アルゴリズムの評価対象・評価基準を示した「品質評価ガイドライン」の概要や最新事情を解説。

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3.Google 品質評価ガイドライン解説(2019年5月更新の解説)

このページでは、Google の「品質評価ガイドライン(General Guidelines)」最新版で更新された点や、その意義・対策を解説します。ガイドラインの概要を知りたい方はこちらを、評価方針・評価対象の詳細を確認したい方はこちらをご覧下さい。
※記事内のセクション番号・セクション名は、更新時のバージョンに準拠します。

■目次

■2019年5月版

説明方法や用語変更のみで、大きな変更はありませんでした。
主な更新箇所は以下の4点です。


中には③のように大きく記載が変更されたものもありますが、実質的な変更は皆無です。
以下で、個々の変更内容を解説します。

①「邪魔なインタースティシャル」の解説追記(セクション6.4)

変更内容:

「Distracting Ads/SCs」(ユーザー体験を妨げ、Page Quality評価を下げる要因となる要素)の解説に、「インタースティシャル」の具体例が追記されました。

参考:セクション6.4「Distracting Ads/SCs」の変更点。青枠・赤枠内を追加。参考:セクション6.4「Distracting Ads/SCs」の変更点。青枠・赤枠内を追加。
参考:セクション6.4「Distracting Ads/SCs」の変更点。青枠・赤枠内を追加。

電通デジタル解説:

「インタースティシャルが評価低下につながりうる」という判断自体は、2018年版以前から示されています。では、なぜ具体例を追加したのでしょう?

青枠と赤枠では、同じインタースティシャルでも性質や評価が異なります。
青枠…閉じるボタンが明確で押しやすい。評価は「邪魔とまでは言えないが、ユーザー体験を多少損なう」
赤枠…アプリのダウンロードを要求する。評価は「本当に邪魔)」

品質評価者に対して具体例を示すことで、評価データの粒度をより精緻にすることが目的と見られます。

この評価と関係するのが、2017年1月にロールアウトされた「ポップアップ・インタースティシャル対策」です。教師データの精度向上により、アルゴリズムが改善される可能性もあります。


②「Everyday Expertize」についての追記(セクション11.0)

変更内容:

FAQに“専門性は「コンテンツ自体の品質」からも判断できる”という回答を追加しました。

参考:セクション11.0「Page Quality Rating FAQs」の変更点。青枠内を追加。参考:セクション11.0「Page Quality Rating FAQs」の変更点。青枠内を追加。
参考:セクション11.0「Page Quality Rating FAQs」の変更点。青枠内を追加。

電通デジタル解説:

この判断自体は、2018年版以前から示されています。
但し、評価事例のコメント内でしか明文化されていませんでした。
こちらも①と同様、FAQに掲載することで品質評価者の注意を喚起する目的と見られます。

参考:2018年版の評価例。コンテンツの内容から専門性を評価し、最高クラスの評価をつけている。(2018年版30ページより)参考:2018年版の評価例。コンテンツの内容から専門性を評価し、最高クラスの評価をつけている。(2018年版30ページより)
参考:2018年版の評価例。コンテンツの内容から専門性を評価し、最高クラスの評価をつけている。(2018年版30ページより)

ウェブサイト側の対応としては「可能な限り、正確に著者情報・監修情報などを明記する」ことが重要である点に変更はありません。

孔子家語に「南山の竹」という挿話があります。SEOでも役立つことが多いエピソードなので、ご紹介します。
学問の重要性を説く孔子に、ある男が問いかけます。「南山の竹は強く、切って竹槍にするだけで犀の革を貫ける。才能がある人間なら、学ぶ必要などないのでは?」

「その竹を加工して矢にすれば、さらに深貫くことができますね。」
これが孔子の答えです。所与のものによりかかるのではなく、自ら研鑽することの重要性を説いています。

SEOにおいても、所与のもの(=Googleの処理能力)に依存するだけではなく、さらにそれを磨く努力(例:サイトマップ・robots.txtでのインデックス制御)を行うことは必須です。

本項の「Googleがコンテンツの信頼性を、明示された著者情報だけではなくコンテンツからも評価しようとしている」という点は、所与のものです。だからと言って「Googleが判断してくれるから、著者情報などは明記しなくても良い」というのは正解とは言えません。可能な限り正確に著者情報・監修情報などを明記し、Googleが正しくコンテンツの信頼性を判断できる手掛かりを供給する努力は不可欠です。


③「Page Quality」と「E-A-T」の関係を明確化(セクション15.0以降)

変更内容:

Page QualityとE-A-Tに関わる項目の、記載が多数変更されました。
・セクション15.0の改題:
2018年:「E-A-TとNeeds Metの関係」
2019年:「Page QualityとNeeds Metの関係」
・セクション15.0以降の評価例に「Page Quality評価と、その中でのE-A-Tの評価」の解説コメントを追加

電通デジタル解説:

変更された文章量は最多ですが、実質変更はありません。
単に情報の粒度に応じて、表現を適切な形に改めただけです。

ガイドラインの目次を見てみましょう。

参考:2019年版の目次(一部省略)参考:2019年版の目次(一部省略)
参考:2019年版の目次(一部省略)

「Page Quality」は「Needs Met」と並ぶ、品質評価の最も重要な要因です。
青枠で示した通り、ガイドラインの中でも最も大きな粒度である「Part」を持っています。

一方、「E-A-T(信頼性に関する諸要因)」は「メインコンテンツの品質」や「評判」などと同じで、「Page Quality」の判断基準となる要因の一つです。
赤枠で示した通り、Page Qualityパートの中に格納されています。

2018年のセクション15.0では、E-A-Tを強調していました。これはE-A-Tという概念の重要性を強調するための記法と推察されます。しかし、情報の粒度を考えると、やや歪な構成です。

E-A-Tの重要性は十分に認識されたため、改めて情報の粒度を正したものと見られます。改訂された個々のコメントを見ても、評価方針には変更がありません。

参考:評価例の比較。2019年版では説明が追記されているが、評価ロジックや評価自体への変更はない。参考:評価例の比較。2019年版では説明が追記されているが、評価ロジックや評価自体への変更はない。
参考:評価例の比較。2019年版では説明が追記されているが、評価ロジックや評価自体への変更はない。

④「Rater」への呼称統一(全体)

変更内容:

「品質評価者」を示す用語を「Rater」に統一。
前バージョンでは「Rater」と「Evaluator」を併用していましたが、後者は利用しないようになりました。

電通デジタル解説:

単なる名称の正規化で、特に影響はありません。

例外として、品質評価ガイドラインのファイル名は引き続き「searchqualityevaluatorguidelines.pdf」になっています。これはSEOの好例と言えるでしょう。

「Evaluator」と「Rater」の用語統一の目的は「読み手の混乱を避けるため」です。
ガイドラインのコンテンツは人間が読むものなので、「読者の混乱を避ける」ためにRaterに統一しています。

一方で、ファイルのURLは主に「検索エンジン」や「ウェブ上でのリンク」に影響する要素です。
こちらも「searchqualityraterguidelines.pdf」のように用語を統一してしまうとどうなるか。
URLが変更されるため、リンク切れやURL変更の認識など、読み手(検索エンジンやリンク元ウェブサイト)の混乱を招くことになります。

目的に応じて適切な手法を考察している点が素晴らしいです。


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■2018年7月版

今回の更新では、多くの条項や事例が追加・変更されました。趣旨別に整理すると、主な変更は以下の点に集約されます。

  1. ①「E-A-T」と「人」の重視
  2. ②フェイクニュース・ヘイトスピーチ・奇説への対策
  3. ③邪魔なポップアップ・インタースティシャルの評価低下

いずれも既存の評価に組み込み済みの要素であり、大幅な評価方針の変更はありません。「最近のGoogle 検索で問題となっている要素について、加筆・修正を加えた」感が強く、現在のGoogle 検索の問題意識をうかがい知ることができます。各項目について、変更点とその意義を解説します。

①「E-A-T」と「人」の重視

変更点

①:「Page Quality評価で、E-A-Tを重視する事」を強調するために、記載を変更。

Low Quality評価の比較。新版では「E-A-T」を最初に記載している。(出典:セクション6.0 “Low Quality Pages”)Low Quality評価の比較。新版では「E-A-T」を最初に記載している。(出典:セクション6.0 “Low Quality Pages”)
Low Quality評価の比較。新版では「E-A-T」を最初に記載している。
(出典:セクション6.0 “Low Quality Pages”)

②:E-A-T評価では「Content Creator(コンテンツ作成者)」にも着目する旨、複数の条項で強調。

作成者を意識すべき状況や、その評価方法についての解説(出典:セクション9.2 “E-A-T: Page or Website?”)作成者を意識すべき状況や、その評価方法についての解説(出典:セクション9.2 “E-A-T: Page or Website?”)
作成者を意識すべき状況や、その評価方法についての解説
(出典:セクション9.2 “E-A-T: Page or Website?”)

意義

評価方針には変更がありません。「E-A-T」が重要なのも「コンテンツ作成者」が重要なのも、以前からのことです。

この変更の背景には「より実態に応じた評価をしたい」というGoogle の考えがあります。

現在のGoogle 検索では、多くのアルゴリズムが信頼評価のベースを「ウェブサイト」単位にしていると見られます。しかし、コンテンツの品質は、コンテンツを作成する「人」に負うところが多いのが事実です。信頼できるメディアでも、記者・編集者によってコンテンツの質には差があります。信頼のベースをウェブサイトに置くのは、あくまでも効率のいい代替案にすぎません。最近ではブログホスティングや動画投稿サイトのように、ウェブサイトがコンテンツの品質にほぼ関与しないウェブサイトも増加しています。

Google は過去に、構造化データから著者情報を抽出する「Authorship」を導入し、失敗に終わったことがあります。しかし、現在のGoogle には「自然言語処理」「Knowledge Vaultの強化」など、人を正確に判別するために役立つ技術があります。

Google Cloud Natural Language API の判定結果。品詞・係り受けをかなりの精度で分析し、「Malcom Little」が「マルコムX」を指すことも認識できる。(出典:https://cloud.google.com/natural-language/)Google Cloud Natural Language API の判定結果。品詞・係り受けをかなりの精度で分析し、「Malcom Little」が「マルコムX」を指すことも認識できる。(出典:https://cloud.google.com/natural-language/)
Google Cloud Natural Language API の判定結果。
品詞・係り受けをかなりの精度で分析し、「Malcom Little」が「マルコムX」を指すことも認識できる。
(出典:https://cloud.google.com/natural-language/

検索結果の品質が問われることが多い現在、Google は改めてコンテンツと直接関係する「人」の評価に着手しようとしているのかもしれません。コンテンツの作成者を明示し、その人の経歴・作品がウェブ上でわかりやすく把握できることは、ユーザーにとっても検索エンジンにとっても、信頼性を担保するために役立つでしょう。

②フェイクニュース・ヘイトスピーチ・奇説への対策

変更点

フェイクニュース・ヘイトスピーチ等の「悪意のコンテンツ」や、陰謀論などの「一般常識に反するコンテンツ」に対するPage Quality評価の説明を強化。

フェイクニュースの規定。新版では大幅に記載が強化されている(出典:セクション7.5 “Pages that Potentially Misinform Users”)フェイクニュースの規定。新版では大幅に記載が強化されている(出典:セクション7.5 “Pages that Potentially Misinform Users”)
フェイクニュースの規定。新版では大幅に記載が強化されている
(出典:セクション7.5 “Pages that Potentially Misinform Users”)

意義

評価方針には変更がありません。Google は以前からこうしたコンテンツを低品質と評価し、検索結果から排除しようとしています。

Google が低品質コンテンツの中でも、特に世間を賑わすことが多いフェイクニュース・ヘイトスピーチ等への対策を重視している点を意識しましょう。

ガイドラインにフェイクニュース・ヘイトスピーチの規定が最初に登場したのは、2017年3月ごろ。
それ以降も「 Google 検索 の品質」に関する問題が、世界各国で起こっています。

ガイドラインの記載強化は、こうした問題にGoogle 検索が真摯に取り組んでいる証拠でもあります。

こうした概念をまとめるために、「ページの目的」の説明も変化しています。
「ページの目的」が以下の3点を全て満たさないと、低品質と評価されます。

  1. Helpful……ユーザーの役に立つ
  2. Beneficial……公衆にとって有益である(=フェイク・ヘイト等の有害な目的ではない)
  3. Consensus……一般常識に即している(=陰謀論・疑似科学などではない)

余談ですが、この変更に伴って、長年ガイドラインに掲載されていた「コロンブスの伝記」の事例が削除されました。あらすじは以下の通り。皆さんはこのページの品質をどう評価しますか?

  • 1951年 コロンブス、シドニーで生誕。
  • 1942年 フロリダに到着。現地人には、船員が持ち込んだ携帯電話・PCが大人気。
  • 1939年 スペインに凱旋。
  • 1906年 逝去。

「時間が逆流している」「シドニー生まれ?」「携帯電話?」など、どう見ても嘘だらけのこのページ。実は「高品質」の代表例として掲載されていました。「学生に、インターネット上の情報にはウソも含まれていることを教える」ことが、このページの目的であり、その目的を達成できているコンテンツだからです。

しかし今回「フェイクニュース排除」を強調する流れの中で、善意とはいえ虚偽の情報を「高品質」として掲載するのは混乱を招く、という判断から消去されたと見受けられます。記載が消えたからといって、このページへの評価が変わったわけではないと思うものの、こうした秀逸な事例が消えてしまうことはやや残念です。

③邪魔なポップアップ・インタースティシャルの評価低下

変更点

「メインコンテンツの利用を妨げる広告・インタースティシャル等」のうち、特に悪質なもの評価がLow評価からLowest評価に格下げ。

悪質なケースの評価がセクション6(Low)から、セクション7(Lowest)に変更。(出典:セクション7.2.7 “Obstructed or Inaccessible Main Content”)悪質なケースの評価がセクション6(Low)から、セクション7(Lowest)に変更。(出典:セクション7.2.7 “Obstructed or Inaccessible Main Content”)
悪質なケースの評価がセクション6(Low)から、セクション7(Lowest)に変更。
(出典:セクション7.2.7 “Obstructed or Inaccessible Main Content”)

意義

「医療関係者向けコンテンツであることを表示する」「個人情報収集ポリシーを表示する」などの正当な事由がある場合を除くと、全画面をカバーするインタースティシャル・ポップアップを利用するとSEOでは不利になります。検索流入への影響も大きいので、代替手段を検討しましょう。

この評価方針は2017年1月にアルゴリズムに反映済みであり、今回の更新に応じて特別な対応をする必要はありません。利用していると「モバイルフレンドリーでない」という判定を受けるため、モバイル検索での順位が大きく減少することがあります。

見解

更新箇所は多いものの、「評価の方針が変更された」「新しい評価軸・評価対象が加わった」ということはありません。真摯に運営しているウェブサイトであれば、今回のガイドライン更新への対応は不要です。

但し「コンテンツの作成者」については、現時点で対応が不十分なウェブサイトをよく見かけます。制作・編集・監修などに十分な配慮をし、高いE-A-Tがあるコンテンツがあっても、ウェブ上の情報では著者情報・監修体制・論拠などの「E-A-Tの担保」ができていないことがあります。

社内事情や「今までやっていないから」という理由で、コンテンツ作成者の情報を明示していないウェブサイトもあるかと思います。しかし、コンテンツ作成者を明示することはユーザー・検索エンジン双方がコンテンツの信頼性を確認するうえでも役立ちますし、コンテンツ作成者のモチベーション向上にもつながります。今回の更新でGoogle が「コンテンツ作成者」に関する記載を強化したことをきっかけに、コンテンツ作成者情報の公開を検討することを推奨します。

文責:広岡謙(電通デジタル オウンドメディア事業部 SEOグループ)

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