電通デジタル DDCR(Dentsu Digital Creative)に所属するクリエイティブテクノロジスト 藏本 航らが提案したプロジェクトが、独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)の「2026年度未踏ターゲット事業(量子コンピューティング技術を活用したソフトウェア開発分野)」に2年連続で採択されました。​

採択されたプロジェクトは、「量子アニーリングの『翻訳装置』としてのゲーム開発とその社会実装検証」です。

未踏ターゲット事業は、革新的な次世代ITを活用して世の中を抜本的に変えていけるような先進分野について、基礎技術や領域横断的技術革新に取り組むIT人材に対し、支援を行う事業です。研究開発が進む新たな技術プラットフォームを用いる分野、数学等の専門性を必要とする分野等のなかから事前にテーマを定め、そのテーマに取り組む人材を募集し、プロジェクトマネージャーや関連する企業・大学等と連携して育成、支援を行います。採択者は、自らが提案するテーマの実現を目指すプロジェクトを通して、自身の能力の向上を図ります。

採択されたプロジェクトの概要

本プロジェクトは、量子アニーリング技術の普及を目指す取り組みです。2025年度に開発した回避最適化ゲーム「AFTER・IMAGE」は、台北ゲームショウへの出展を通じて体験型コンテンツとしての成立性を実証しました。
本プロジェクトではこの取り組みを発展させ、量子アニーリング技術における「体験型社会実装モデル」の確立と妥当性の検証を目的に、以下の3つの成果創出を目指します。

  • 1.
    量子特性の高度化
    アニーリングマシンの特性をゲーム構造に深く組み込み、体験価値を向上させます。
  • 2.
    継続的デモンストレーション
    国内外のイベントや学会へ出展し、多様な層へアプローチします。
  • 3.
    データ分析による価値検証
    プレイデータ等の収集・分析を通じ、技術理解促進の有効性を証明します。

「遊び」そのものを正しく追求するプロセスが、量子アニーリングを理解する学習体験へと繋がり、ひいてはテクノロジーの本質や効用を理解する重要な手がかりになることを目指しています。

プロジェクトの採択理由

前年度に量子アニーリング駆動型ゲーム「AFTER・IMAGE」を実装し、台北ゲームショウにおける連続稼働と試遊を通じて体験型コンテンツとしての成立性を実証した実績を基盤に、その知見を「情報の引き算」という明確な設計思想へと昇華させた継続提案であり、PoCから社会実装検証フェーズへの明快なステップアップが高く評価できる。特に、初年度に顕在化した「量子ゆらぎが単なるランダム性と誤認されかねない」という表現上の構造的課題を正面から引き受け、説明ではなくUI・グラフィック・身体感覚を通じて直感的理解を促す「翻訳装置」としての完成度を追求する姿勢は、単なる技術デモに終わらない作品性への強い意志を示している。加えて、提案チームの企図する体験の深化と社会実装の検証を両輪で進める構成は極めて周到である。提案チームは、数理最適化、ゲームエンジニアリング、メディアアート、アートディレクションという相互補完的な専門性と、前年度プロジェクトで実証された遂行能力を備えており、本提案の実現可能性は極めて高い。アルス・エレクトロニカ等の国際的アワードを視野に入れた挑戦もあわせ、量子コンピューティング技術と表現文化の交差領域において新たなロールモデルが生み出されることを、大いに期待している。

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