眠っているデータを企画の武器に。独自AIソリューション×プランナーの知見で創るSNS支援
企業のSNS運用では、投稿内容の選定やアルゴリズムへの対応といった難易度がますます高まっています。こうした課題に対し電通デジタルは、SNSプランナーの知見と独自開発のAIソリューション「∞AI Social」を組み合わせた支援を展開。本記事では、現場の課題や、企画・分析における∞AI Socialの活用法について話を聞きました。
SNS運用担当者を悩ませる「データ活用」と「人手不足」
――SNS施策を支援するなかで、クライアントが共通して抱えている課題にはどのようなものがありますか?
三宅:一番大きいのは、SNSデータを資産として蓄積・活用できていないことだと感じます。投稿は恒常的に行っているものの、過去のデータが社内に整理・蓄積されておらず、必要なときにすぐ活用できないケースが非常に多いと感じています。
たとえば6月は、3カ月先の9月に向けた投稿企画を考え始める時期です。敬老の日やシルバーウィークに向けて企画を検討する際、「昨年の9月に自社はどのような投稿をしたのか」「他社はどんな施策を行っていたのか」を参考にしたくても、すぐに振り返れないことが少なくありません。
その結果、「参考になる事例が見つからない」「次に何を投稿すればよいか分からない」といった投稿アイデア不足に悩む企業が多い印象があります。
――人手不足という点はいかがですか?
三宅:それも大きな課題です。SNS運用の担当者が他にもさまざまな業務を抱えており、日々の運用だけで手いっぱいになってしまうことも多いと思っています。
本来であれば、競合アカウントの動向を調べたり、投稿の反応を分析したりする時間も必要ですが、そこまで手が回らないのが現場の実情であり、その結果施策の改善や新しい企画の検討に十分な時間を割けないという課題につながっていると感じます。
プランナーの知見とAIのデータ分析を融合したSNS支援
――電通デジタルのソーシャルエンゲージメントデザイン部門は、企業のそうした課題に対して、どのような支援をしているのでしょうか?
三宅:私たちは、クライアントと一緒に課題を解決していく伴走型の支援を大切にしています。単に分析レポートをお渡しするのではなく、SNS運用のパートナーとして企画や運用方針から一緒に考え、進めていくイメージです。また、SNSはトレンドやアルゴリズムの変化が早い世界なので、必要な情報をすぐに提供することは重要です。いただいたご要望にスピード感をもって対応できるような体制を整えることは特に意識的におこなっている部分でもあります。
企画提案だけでなく、アカウント運用や分析、レポーティングまで一気通貫で支援できることも強みです。SNSを熟知したプランナーの知見と、独自ソリューション「∞AI Social」によるデータ分析を組み合わせながら、戦略立案から運用まで幅広くサポートしています。
SNS運用を支える独自AIソリューション「∞AI Social」とは
――「∞AI Social」とは、どのようなソリューションなのでしょうか?
矢部:一言で言うと、SNSデータを集約し、誰もが簡単に活用できるようにした、電通デジタル独自の「SNSデータの民主化」を実現するツールです。電通デジタルのメンバーであれば誰でも使えます。
主な機能は「検索」と「生成」の2つあります。まず検索では、SNS上の多様なバズに関するデータを、大規模かつ網羅的に収集しています。Xの標準検索では追いきれない過去の事例も、AIによるカテゴリー分類によって、見たい事例を一瞬で細かい粒度まで絞り込めます。 生成機能では、テーマとなる情報やキャンペーンの概要など必要情報を入力することで、過去投稿の中から類似の投稿を参照し、エンゲージメントが高い投稿の共通点を踏まえた投稿案を生成できます。
――特にどのような点が特長ですか?
矢部:「∞AI Social」の特長は、大きく3つあります。①圧倒的なデータ量、②高度な分析力、③インサイト発掘力です。単にAIで投稿を分析するのではなく、電通デジタルが蓄積してきたデータ、AIソリューション開発の知見、SNSプランナーの知見を掛け合わせていることが、私たちならではの強みです。
1つ目の圧倒的なデータ量については、一定以上のエンゲージメントを獲得した投稿を、毎日数千件規模で継続的に収集している点が特長です。また規模の大きさに加えて、ネットミームやあるある、感動エピソードなど、SNS上で反応が生まれやすい多様な文脈を含んでいるため、世の中でどのような投稿が反応を得ているのかを幅広く捉えることができます。
2つ目の高度な分析力については、投稿文だけでなく画像の中身まで分析対象にできる点が特長です。例えば画面イメージのように、ある飲料メーカーの商品を飲んでいるユーザーの投稿を、画像内の情報を基に検索できます。さらに、投稿文と画像を合わせて分析することで、ユーザーの気持ちや背景・インサイト、その投稿がなぜ他の人にも「いいね」されたのかといった考察まで行えます。これは、電通デジタルがAIソリューション開発で培ってきた、AIを活用したデータ分析の知見があるからこそ実現できる分析です。
3つ目のインサイト発掘力については、SNS上の話題化を数多く分析してきた当社プランナーの知見を基に、「72種の熱量分類」を設計している点が特長です。「共感しやすい」「ツッコミたくなる」「心がきゅんとする」など、投稿を見た受け手の感情や反応を示す「バズラベル」を投稿データに付与することで、何が投稿されているかだけでなく、なぜ人の反応を生みやすいのかまで読み解けるようにしています。
この3つの特長をそろえた「∞AI Social」は、一般的なAIを用いただけでは実現できない、電通デジタルならではの高度なSNSコンサルティングの実行を支える強力なソリューションとなっています。
成功事例を瞬時に引き出し、次の一手につなげる「∞AI Social」
――現場でどのように「∞AI Social」を活用されているのでしょうか?
三宅:例えば私が担当しているラグジュアリーブランドの場合、公式アカウントでの発信は、イベントの告知や新商品の紹介などの投稿が中心になります。そうした種類の投稿は、通常はそれほど反応が多くないのですが、他社の中には、非常にエンゲージメントの高い投稿を見かける場合もあります。
そこで「∞AI Social」を使い、競合ブランドのどんな投稿が盛り上がっているのかを検索します。そうして抽出した具体的な事例を基に、「最近は、このような投稿がユーザーに響いているようですよ」と、次の施策のアイデアとしてクライアントへご提案しています。
――提案した内容に関して、クライアントからフィードバックをもらうこともあるのでしょうか?
三宅:はい。最近は、SNSのアルゴリズムが頻繁に変わるため、クライアントも「今、どういう投稿がユーザーに届きやすいのか」という適応に難しさを感じていらっしゃいます。そうした変化に対していち早く「∞AI Social」で最新の成功事例をデータとしてお出しできるので、「あのタイミングであの事例を共有してもらえて本当に助かりました」といった、ありがたいお言葉をよくいただいています。
――実際に活用した案件ではどんな成果につながりましたか?
三宅:あるクライアントではエイプリルフール企画で活用しました。エイプリルフールはどの企業も知恵を絞ってユニークな投稿を行うため、他社の投稿に埋もれずに話題化するにはどうすればよいかが大きな課題でした。
そこで当時SNSで流行していたネタに着目し、「∞AI Social」を使って関連する投稿やユーザーの反応を分析しました。その上で、どのような見せ方なら興味を持ってもらえるかを検討し、画像や表現を何度もブラッシュアップして投稿を制作しました。
結果として、2万~3万件規模のエンゲージメントを獲得し、エイプリルフール関連のトレンドにもランクインしました。さらに複数のニュースサイトでも取り上げられ、「∞AI Social」を活用して成果につなげることができました。
AI時代に重要となるSNSプランナーの感覚と知見
――「∞AI Social」を活用して、投稿のエンゲージメントを高めるために、どのようなことを心がけていますか?
三宅:「∞AI Social」があるからといって、すべてを自動化できるわけではありません。データや事例を効率的に集められるようになりましたが、それをどう活用するかは人が考える必要があります。
特にSNSでは、企業側が最初から正解を提示しすぎないことが大切です。完璧に作り込まれた投稿よりも、少し突っ込みどころや余白がある投稿のほうが、ユーザーが反応したり会話に参加したりしやすいです。そうした感覚は、データだけでは導き出せない部分です。
――その感覚は、どのように培っているのでしょうか?
三宅:普段からXをよく見ています。アカウントによって表示されるトレンドやタイムラインが大きく異なるので、リアルな友人向け、趣味用、ニュース収集用など、5〜6個のアカウントを使い分けながら、さまざまなコミュニティで何が話題になっているのかを日常的にチェックしています。
そうして蓄積した感覚や経験と、「∞AI Social」が持つデータや分析機能を組み合わせることで、より反応を得やすい企画や投稿づくりにつなげています。
矢部:「∞AI Social」は、人の能力を置き換えるためのツールではありません。データ収集や事例調査にかかる時間を短縮し、人にしかできない企画や発想により多くの時間を使うためのツールです。新しいアイデアのヒントや着想のきっかけを提供することで、プランナーの発想力を後押しする存在になれればと考えています。
AIと人の共創で進化するSNSマーケティングの未来
――今後、「∞AI Social」はどのようなアップデートを予定していますか?
矢部:現在構想しているのは、SNSにおける企画づくりそのものを、当社ならではのデータとAIで進化させる仕組みです。
過去に大きな反響を得た投稿などのデータを基に、AIがバズの要素やアイデアの種を抽出し、新しい投稿案やクリエイティブ案を100案規模で生成。さらに、仮想ペルソナによる事前評価を組み合わせることで、企画の幅と精度を高めていきます。
重要なのは、AIを使うこと自体ではなく、どのようなデータを掛け合わせ、誰が活用するかです。蓄積されたSNSマーケティングの知見と、経験豊富なプランナーの判断を組み合わせることで、人力だけでも、汎用的なAIだけでも生み出せない、より実効性の高いクリエイティブ開発を目指しています。
――今後、「∞AI Social」を通じて、企業のソーシャルマーケティングにどのように貢献していきたいですか?
三宅:SNSのアルゴリズムアップデートは目まぐるしく、「今までどおりの投稿をしていいのか」「新しい方向性にした方がいいのか」と迷われる担当者の方も多いと思います。∞AI Socialには各SNSのアルゴリズムに対する知見も数多く溜まっていますので、迷われることがあればぜひ私たちを頼っていただきたいですし、スピード感をもって対応させていただきます。
∞AI Socialを通じて様々な事例を迅速にキャッチアップすることで、プラットフォームのアルゴリズムやユーザーの興味関心変動に沿った対応が可能になりますし、それによって継続的なバズ創出やSNS経由での売上に貢献していきたいと考えています。
※本分析は個々のユーザーを特定するものではなく、投稿全体の傾向を統計的に把握することを目的としています。データの収集・分析は、各プラットフォームの規約および適用される法令に準拠して行っています。
関連サービス
∞AI Social
SNSデータの収集・分析から投稿生成まで、AIが一貫して支援する「∞AI Social」。プランナーの知見を掛け合わせ、エンゲージメントを高める投稿づくりを加速します。
PROFILE
プロフィール
三宅 秀香
パーソナルジム事業や英会話事業のマーケターを経験した後、2021年に電通デジタルへ入社。XやInstagramをはじめとするSNSアカウントのコンサルティングに従事。現在は飲料、ラグジュアリーブランドなど、幅広い業界のクライアントSNSアカウント運用支援を担当。戦略提案から日々の運用、レポート分析まで一貫して手がけている。
矢部 みのり
ネットセキュリティ会社にてSNSの炎上監視やソーシャルリスニングを経験し、2022年に電通デジタルへ入社。大規模なソーシャルデータの解析やインサイト抽出を担当。特にTribe Driven Marketingを用いた分析に豊富な経験を持つ。また現在は、ソーシャルデータを活用したマーケティングツールの開発にも取り組んでいる。
この記事・サービスに関するお問い合わせはこちらから