2024.05.09

2030年を予測する電通未来曼荼羅2024とWeb3未来曼荼羅、未来曼荼羅 ニューリテール編それぞれの目的と使い方を担当者に聞いた

2024年3月、電通デジタルを含む国内電通グループ6社は共同で、中期未来予測ツール「電通未来曼荼羅2024」の提供を開始しました。電通デジタルでは並行して、Web3時代における価値創造の兆しを探る「Web3未来曼荼羅」、リテール領域に特化した「未来曼荼羅 ニューリテール編」を提供しています。3つある「未来曼荼羅」の概要、特徴、活用してほしい企業とユースケースを担当者に聞きました。

2030年までに起こり得るトレンドをまとめた「電通未来曼荼羅2024」

――「電通未来曼荼羅2024」の概要を教えてください。

高橋朱実:「電通未来曼荼羅2024」は、2010年に電通グループが提供を開始した中期未来予想ツール「電通未来曼荼羅」の最新版です。

「電通未来曼荼羅」は、「人口・世帯」「社会・経済」「科学・技術」「まち・自然」の4つのカテゴリーに、72の「トレンドテーマ」を分類し、各トレンドの概要、データ、関連トピック、未来にもたらす変化や重要な視点を1枚のシートにまとめています。これまでにも何度かアップデートを行っており多くのクライアントの経営戦略立案や事業シナリオの策定、商品・サービス開発などに活用されてきました。

最新版である「電通未来曼荼羅2024」は、72のトレンドテーマのうち22のテーマを、時代の変化に合わせて前年度版(電通未来曼荼羅2023)から刷新しました。同時にそれ以外の50のトレンドテーマに関しても、現在の状況に合わせてバージョンアップを施しています。

電通未来曼荼羅2024

――「電通未来曼荼羅2024」の改訂ポイントは何ですか?

高橋:「電通未来曼荼羅2024」では、2030年までの6年間に起こると考えられる社会事象に対する「未来トレンド」を予測しました。

新たに採用したトレンドテーマの1つが、「多死社会」です。2030年に向けて年間死亡者数は増加傾向にあります。死と向き合う機会が増え、死生観や死への向き合い方を捉え直す動きが活発化する中で、デジタルも活用した終末デザインビジネスが拡大する可能性があります。

「新しい嗜好品」も新たなトレンドテーマの1つです。ニコチン、アルコール、カフェインの過剰摂取が社会問題化する中で、それに代わる新たな嗜好品は、今後の大きな産業、オポチュニティーだと考えました。 

爆発的に顧客体験が刷新される可能性を秘めているトレンドテーマとして、「電池のイノベーション」を加えました。電池が進化すれば様々なデバイス、プロダクト、サービスの形が変わります。それはすなわち、人々の生活の中に入り込んでいる全ての顧客体験の前提を覆す発明であると思います。

高橋朱実(トランスフォーメーション部門 新規事業開発ユニット)

――「電通未来曼荼羅」を活用した電通デジタルの新規事業/サービス開発支援のアプローチには、どのような特徴がありますか?

近藤昌太郎:一番の特徴は、バックキャスティング思考のアプローチです。一般的に新規事業/サービス開発を検討する際は、現状分析からスタートし、そこからの積み上げで未来のニーズやサービスを考えます。しかし、「電通未来曼荼羅」を活用する場合は、先に未来のあり方を予測し、その未来でありたき姿になるには現在何をすべきか構想するという流れで取り組んでいます。

また、新規事業を検討する際、クライアントの現在のケイパビリティから考えるのが定石ですが、電通デジタルでは、そのケイパビリティは生活者にとってどのような価値があるのかという視点、すなわち「生活者視点」から考えることが多いのも、大きな特徴だと思います。

近藤昌太郎(トランスフォーメーション部門 クリエイティブユニット)

高橋:電通デジタルを含めた電通グループ全体としての強みは、クリエイティブ人材とコンサルティング人材の両方が多数在籍している点です。

企業活動を活性化し、永続させていくためには、既存事業を強化すると同時に、少し先の未来を見据えながら新規事業開発に挑戦し続けなくてはいけません。そのために必要なのが、切り口の新規性や多様な視点です。その点でも、多様性のある人材を擁する電通グループには、大きな優位性があると思っています。

――「電通未来曼荼羅2024」をご活用いただきたい企業とユースケースを教えてください。

高橋:新規事業/サービスを企画しても、既存の商品やビジネスの延長から抜け出せないことにお悩みの企業には、ぜひご活用いただきたいです。また、企画を実行に移せない企業、事業やサービスの体験設計に課題感をお持ちの企業にも、「電通未来曼荼羅2024」を用いたコンサルティング手法がマッチングするのではないかと思います。

「電通未来曼荼羅2024」は、単なる調査資料や未来予測レポートではなく、関係者全員で一緒に新しい事業/サービスを構想するためのキックオフツールです。「電通未来曼荼羅」という外部の視点を導入することで、現在に固着しがちな視座を引き上げ、視野を広げ、柔軟な発想を促します。これにより新規事業/サービス開発に求心力と推進力が生まれます。

「電通未来曼荼羅」を活用した新規事業構想の進め方とはどのようなものなのか、体験していただくワークショップも随時開催していますので、まずはぜひ体験してみてください。


Web3時代における価値創造の兆しを探る「Web3未来曼荼羅」

――電通デジタルは昨年、新たに「Web3未来曼荼羅」の提供を開始しましたが、その背景と目的は何ですか?

Khan Shaheem(カーン シャヒーム):一昨年ぐらいから企業でもWeb3への関心が高まってきて、多くのクライアント企業からご相談をいただく機会が増えました。

「Web3とは何なのか」「Web3は自社の事業領域にどのようなインパクトを与えるのか」「Web1、Web2で積み重ねてきた資産やビジネスモデルに、大きな影響があるのではないか」といった質問が多く寄せられたことから、Web3が脅威として捉えられていると感じました。

そうした誤解を解きつつ、基本的な理解を深めていただき、Web3の導入した事業/サービスを具体的に構想しやすい形で伝えていくことが必要だと思いました。未来曼荼羅という形式を採用したのは、Web3が導入され、一般化した社会や生活者がどのように変化するかを網羅的に示せると考えたからです。

カーン シャヒーム(トランスフォーメーション部門 新規事業開発ユニット/マネージャー)

――「Web3未来曼荼羅」の概要を教えてください。

シャヒーム:「Web3未来曼荼羅」は、COMPANY・CITIZEN・SOCIETYの3つのカテゴリーを起点に、Web3時代に重要となる9つの視点「顧客接点」「売り方」「働き方」「暮らし」「売買」「娯楽」「法律」「環境」「行政」で分類し、そこから未来に起こり得る45個の「兆し」を網羅的にまとめています。それぞれの「兆し」に事例紹介ページを用意し、定性的なトピックと定量データに加え、「生活者」「社会」「ビジネス」の変化予測をまとめています。

Web3未来曼荼羅

――「Web3未来曼荼羅」を特に活用してほしい企業とユースケースを教えてください。

シャヒーム:Web3を使った新規事業の立ち上げをミッションとするご担当者様には、お役立ていただけるはずです。「Web3未来曼荼羅」を活用するからといって、新規事業の形がWeb3であることに囚われる必要はありません。 

そこから発想した結果、現時点の最適解として最終的に立ち上がった新事業がWeb2をベースとしたものでも良いと思っていますし、それをWeb2.5と名づけても良いと思っています(笑)。大事なのは新しいテクノロジーを正しく理解すること、新しいテクノロジーを使って事業/サービスを構想するプロセスを体験することで、自社らしい新規事業の探索や既存事業の深化を考える上で自社の提供できる新しい価値を知ることが「Web3未来曼荼羅」を活用する大きな価値です。

「Web3未来曼荼羅」を用いたコンサルティングサービスも行っていますので、生活者の心を動かす新規サービス創造やWeb3サービス開発をお考えの際は、ぜひご相談ください。


リテール領域に特化した「未来曼荼羅 ニューリテール編」

――昨年、電通デジタルは「未来曼荼羅 ニューリテール編」の提供も開始しました。その背景と目的は何ですか?

岡本静華:リテール業界やOMOを主軸とするクライアント企業と向き合う機会が多い中で、「電通未来曼荼羅」のトレンドテーマは俯瞰的で包含的である一方で、いざ業界に落とし込もうとするとがなかなか難しい、というご相談を受けることがたびたびあったため業界特化版を作ろうと考えました。

岡本静華(トランスフォーメーション部門 DXコンサルティングユニット/マネージャー)

――「未来曼荼羅 ニューリテール編」の概要を教えてください。

岡本:「電通未来曼荼羅」をリテールに特化して制作したのが「未来曼荼羅 ニューリテール編」です。リテール業界の変化の激しさに対応するため、想定している未来は「電通未来曼荼羅」より少し短めの3~5年先です。

「人とつながり」「空間・場」「サービス」「テクノロジー」の4つのカテゴリーについて、全部で12の視点を設定し、33個の未来トレンドを網羅的にまとめています。未来トレンドには、未来の事業・サービスアイデアにつながる「ヒント・視点」も掲載していますので、新しい体験・サービスを構想・構築するにあたって、非常に役立つものとなっています。

未来曼荼羅 ニューリテール編

――「未来曼荼羅 ニューリテール編」を特に活用してほしい企業とユースケースを教えてください。

岡本:私たちは、リテール領域を一般的な定義よりも少し広く捉えていて、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアといった狭義のリテール(小売業)だけではなく、自動車ディーラー、銀行の店舗、通信キャリアのショップなど、リアル店舗を持つ企業をすべてリテールに含めています。これらの企業において、デジタル技術を活用したDXを推進し、オンラインとオフラインを統合して生活者の顧客体験を向上させたいと考えている企業にとって、役に立つツールだと考えています。


未来曼荼羅を使って、生活者基点で新しい事業やサービスを創出する

――今後、電通デジタルとして、3つの未来曼荼羅を活用したコンサルティングサービスをどのように進めていきますか?

高橋:電通デジタルにはコンサルティングからシステムやテクノロジーに詳しい人間など、多様な人材が揃っており、構想を実際のサービスや施策にまで落とし込めることが一番のアピールポイントです。3つの未来曼荼羅を使って生活者基点で新しい事業やサービスを創出し、クライアント企業の事業を成功させるところまで伴走支援します。

近藤:未来曼荼羅は、2010年から続く取り組みです。長く取り組んできたからこそ、深めるポイントを見極めて、「Web3未来曼荼羅」と「未来曼荼羅 ニューリテール編」を展開できたのだと思います。今後も長くクライアントの新規事業/サービス構想に活用していただけるツールとなるように、バージョンアップにも取り組んでいきたいと思っています。

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