2025.12.11
「BeRealらしさ」で広告成果を最大化!インフルエンサー×ありのままでZ世代に刺さるマーケティング戦略
ありのままの日常を見せるプラットフォーム
――BeRealとはどのような特徴を持った媒体なのでしょうか?
電通デジタル・土屋:私は現在、電通デジタルのソーシャルプラットフォーム部でBeRealを担当しています。BeRealは一言で表すと、Z世代を中心に人気を集めているSNSアプリです。最大の特徴は、撮影した「今この瞬間」の写真を無加工で投稿するという点にあります。さらに、自分が投稿しなければ他の人の投稿を見ることができない仕組みになっており、いわゆる「見る専(閲覧だけのユーザー)」が生まれにくい設計です。BeRealの特徴については、こちらの記事にまとめましたので、ぜひご覧ください。
リアルを共有する新しいコミュニティメディア「BeReal. 」とは?
BeReal・笹川氏:私自身は「ありのままの日常を見せるプラットフォーム」という表現が最もしっくりきます。他のSNSでは、撮影した写真を加工してから投稿することが一般的ですが、BeRealでは過去の写真を使うことも、撮り直すこともできません。たとえるなら使い捨てカメラのように、一度撮ったらそのまま投稿するしかない。この制約によって、「加工のないリアルな瞬間」こそが価値になる世界観が生まれています。
――広告事業において、電通デジタルと取り組むことになった経緯を教えてください。
BeReal・笹川: 2024年6月に、BeRealはフランスのゲーム会社Voodooに買収されました。これを機に広告事業がスタートし、同年10月には、世界で3番目にユーザー数が多い国である日本に拠点を開設しました。電通デジタルとは、そのタイミングからご一緒しています。
私自身、これまでGoogle、Pinterestなど複数のメディア企業に在籍してきましたが、その経験から、「電通グループと連携すれば、媒体ビジネスが大きく成長する」という実感がありました。BeRealでも、同じように強力なパートナーシップを築けると考えています。
――BeRealを活用した日本でのSNSマーケティングの現状はどのような状況でしょうか?
土屋:広告に関しては、電通グループでも2024年12月に提供を開始して以来、数多くの広告主の皆様にご活用いただいています。日本では2023年初頭からアーリーアダプター層を中心に利用が進んでいますが、現在でもユーザー数は伸び続けており、もはやマーケティング活用においても不可欠なプラットフォームにまで成長したと考えています。特に若年層をターゲットにしているサービスや商品を展開する広告主においては、積極的にご活用いただいている状況です。
電通デジタル・進藤:私は電通デジタルに今年新設されたインフルエンサー施策を専門に扱うインフルエンサー部に所属しています。BeReal広告と同時に注目を集めてきたのが、BeReal上のインフルエンサーです。
BeRealでは現在、媒体の承認制で公式アカウントを提供しており、2024年後半頃から多くの著名人やクリエイターが活用しています。SNSマーケティング市場においても、広告と並ぶ非常に大きな市場規模を誇るインフルエンサーマーケティングにおいて企業の関心が急速に高まっていました。インフルエンサー部ではキャスティングを行う様々なパートナー企業と連携しており、BeReal上でのインフルエンサー活用に強みを持つTORIHADA社とも様々な協業を進めてきました。
TORIHADA・鈴江氏:進藤さんがおっしゃる通り、BeRealを多く活用するZ世代は、購買行動においてインフルエンサー発信に影響を受けやすいとも言われており、まさに相性が良いプラットフォームであると考えていました。そのため、他社に先駆け、BeReal社との独自パッケージの開発や、子会社でクリエイター事務所を運営するPPP STUDIOに所属するZ世代に人気のクリエイターによる公式アカウントの開設などを積極的に行ってきました。
進藤: BeReal上でのマーケティングにおいてインフルエンサー活用を研究する中で、広告主の皆様をご支援するにあたり、検討しておくべきポイントが1つありました。それは、BeRealの魅力でもある「撮影した今この瞬間の写真を無加工で投稿する」という仕様です。
通常のインフルエンサーマーケティング支援では、投稿前に広告主・広告会社・クリエイターなど関係者間で投稿内容に認識の齟齬がないか確認する手順を踏みます。しかし、BeRealの仕様上、オーガニック投稿では事前の投稿確認が難しい場合があります。そのため、事前入稿が可能なBeReal広告とインフルエンサー施策を組み合わせることで、オペレーションリスクを抑えた形で実施できると考えました。
電通デジタル・角田:このようにBeRealを活用したSNSマーケティングにおいては、広告領域とオーガニック領域の組み合わせが重要になると考えました。電通デジタルでは、SNSマーケティング領域における「広告×オーガニック」のソリューション開発を担当する私たちソーシャルコネクトグループを中心に、BeReal社と連携するソーシャルプラットフォーム部、そしてインフルエンサー部の3組織が連携し、BeRealにおけるSNSマーケティング支援ソリューションの開発を本格化させました。
広告領域では「BeRealにおいてどのようなクリエイティブコミュニケーションが広告効果を最大化させられるのか」といった情報連携を、BeReal社および土屋が所属するソーシャルプラットフォーム部が担当。オーガニック領域においては「インフルエンサー活用においてどのようなコミュニケーション設計・実施オペレーションが適切か」といった部分を、進藤が所属するインフルエンサー部とTORIHADA社が担当することで、「広告×オーガニック」の両専門家がサポートできる体制を構築しました。
BeRealらしさを生かしたSNSマーケティング戦略とは
――BeRealにおいて、広告パフォーマンスを最大化させるポイントはどこにあるとお考えですか?
BeReal・笹川:BeRealは「ありのまま」に価値を置いているプラットフォームです。広告でも、この空気感をどう見せるかが非常に重要だと考えています。私たちはそれを「BeRealらしさ」と呼んでいますが、ポイントは日常の中で商品をどう自然に見せるかという点にあります。
たとえば、ファストフードの広告を例にすると、友人同士が食事を楽しみながら笑い合うような、「商品をきっかけに生まれる日常の関係性」を切り取ったクリエイティブのほうが効果的です。ユーザーが自分の生活に重ねて想像できるリアルな瞬間を見せることが、広告パフォーマンスを高める鍵になると思います。
土屋:BeRealは広告媒体としてはまだ新しく、正解が定まっていない段階です。私たちが様々な広告支援を通じて見えてきたのは、既存の広告手法にとらわれず、BeRealの世界観に合わせた自然体のクリエイティブのほうが成果が良いということです。笹川さんがおっしゃる通り、「広告体験」においても、どれだけ「日常の一コマ」を演出できるかが大きなポイントだと考えています。
TORIHADA・鈴江:BeRealは、インカメラとアウトカメラで同時に撮影し、インカメラの写真は左上の小窓に、アウトカメラの写真は大きなメイン画面に表示されます。通常投稿では小窓をタップすると表示が入れ替わりますが、広告では小窓をタップすると広告主が指定したリンク先に遷移する仕組みになっています。そのため、この小窓をタップしたくなるような構成や演出を設計することが、BeReal広告を成功させるうえでの重要なポイントになります。
たとえば、「この子、知り合いかも?」と思わせるような自然体のマイクロインフルエンサーを起用する手法がありますし、逆にすでに知名度のあるインフルエンサーを登場させて、「憧れの人の日常をのぞいてみたい」と思わせる形も効果的です。いずれの場合も、「リアルで親しみのある存在」としてユーザーの関心を引き出すことが重要です。
狙いは的中。「BeReal広告×インフルエンサー」活用で広告パフォーマンスは3倍に
――BeReal広告におけるインフルエンサーマーケティング支援サービスとして実施された、LINEヤフー様の「Yahoo!ショッピング」販促キャンペーンについて教えてください。
角田:今回のソリューション提供にあたっては、LINEヤフー様の「Yahoo!ショッピング」で2025年7月に行われた大型販促キャンペーン「超PayPay祭」に合わせて、プロモーションを実施させていただきました。
ご支援にあたって重視したのは「実施までの流れ」です。「BeReal広告×インフルエンサー」の成功の秘訣は、BeRealという媒体を理解し、どのようなクリエイターを活用して、どのようなクリエイティブコミュニケーションを行っていくかを、LINEヤフー様、電通デジタル、TORIHADA社、BeReal社の4社で共通認識を持つことでした。
以下の4ステップで実施しました。
- BeRealのクリエイター公式アカウントを保有し、BeRealらしさを表現できるクリエイターのキャスティング
- 4社によるワークショップの実施
- ワークショップの方向性に基づいた2種類のクリエイティブ作成
- 作成したクリエイティブをLINEヤフー様の公式アカウントから配信
――具体的にどういった点を注意してクリエイティブ作成を行ったのでしょうか?
進藤:ポイントは②の「ワークショップ」です。①のクリエイターキャスティングでしなこさんにお願いすることは決まっていたので、
- BeRealという媒体がどういうプラットフォームであるか、ユーザーが好むコミュニケーションとは何かという媒体側視点
- しなこさんにとってのBeRealらしさとは何かというインフルエンサー視点
- LINEヤフー様が求める「超PayPay祭」のプロモーション訴求という広告主視点
これらをどう融合するかについて、4社で様々な議論を行いました。
結果的に今回は、Z世代にも人気が高い韓国食材(インスタントラーメンや炭酸飲料)を活用しながら、「しなこさんの日常の1コマ」をテーマにクリエイティブを作成しました。
角田:結果的には、BeReal広告の平均と比較して約3倍のクリック率を記録し、「BeReal広告×インフルエンサー」施策の有効性を実証することができました。
BeRealマーケティングにおける今後の成功のカギとは?
――最後に今回の結果を踏まえ、今後の BeRealを活用した成功のカギについて皆様のお考えを教えてください。
BeReal笹川:Z世代へのアプローチは、あらゆる企業にとって大きなテーマです。BeRealのユーザーの約87%がZ世代(14〜27歳)で、毎日投稿するユーザーは全体の80%、23歳以下に限れば90%に達しています。SNSを通じてZ世代と関係を築きたいと考える企業にとって、BeRealは有効な選択肢の一つだと思います。BeReal広告はもちろん、クリエイターの活用も非常に重要だと考えていますので、こういった支援を電通デジタルさん、TORIHADAさんと一緒に広げていきたいですね。
土屋:BeReal広告では、プラットフォーム特有の「世界観」や「マナー」をどこまで理解できるかが非常に重要です。今回はクライアントともその点を共有し、「BeRealではこういうコミュニケーションが適切です」という前提をしっかり確認した上で制作を進めました。従来型の広告手法に慣れていると、BeRealの世界観や魅力をすぐに理解するのは難しいかもしれません。
しかし、BeRealにはZ世代のユーザーが多く、彼らは幼い頃からデジタルやSNSに触れてきた分、広告的な演出や意図を敏感に察知します。だからこそ、このプラットフォームでは「BeRealらしい自然体のコミュニケーション」が重要であり、その文脈に沿ったクリエイティブこそがユーザーに響きます。BeRealにはまだ伝えきれていない魅力が数多くあります。新しいプラットフォームですが、ぜひ一度トライしていただき、BeRealの良さを実感してもらえればと思います。私たちも引き続き、この可能性を広げるために全力で取り組んでいきます。
進藤:今後もBeRealで公式アカウントを開設するインフルエンサーが増え、「BeReal×広告活用」がもっと当たり前になっていくと考えています。どのようなインフルエンサーコミュニケーションがBeRealに適しているのか、今後もより多くの広告主の皆様への支援を通じて、パートナー企業の皆様と連携しながら研究を重ねていきたいです。
TORIHADA・鈴江:今回の取り組みで、BeRealにおける広告成功のひとつの型が見えてきました。今後はこの成果を横展開し、さらにZ世代に寄り添ったプランニングを電通デジタルの皆さんと磨いていければと思います。
角田:電通デジタルでは、プラットフォーム企業との強固な連携を生かした広告ノウハウの蓄積・協業連携はもちろん、インフルエンサーマーケティング支援実績やパートナー連携、そしてSNSマーケティングを統合的に活用するソーシャルコネクトグループなど、様々な専門家が在籍しています。今回はまさにそういった専門家・そしてパートナーの皆様との連携が成果に結びつきました。 今後もBeRealを含めて、SNSを軸とした様々なマーケティング施策で広告主の皆様の事業成長に伴走していきたいと考えています。
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