【第3回】良質な顧客体験を実現するにあたってのハードル

企業と顧客とのタッチポイントは、Webサイト、SNS、モバイルアプリなど多様化しています。更に、高まるパーソナライゼーションニーズに対応し良質な顧客体験を実現するためには、コンテンツを充実させる必要があります（「昨今の顧客体験トレンドを踏まえた会員サイトにおける良質な顧客体験とは」参照）。

コンテンツの充実とは、個々人の趣味嗜好や属性に合わせたコンテンツを用意することです。例えばあるチャネル用に制作したコンテンツをもとに他のチャネル用のコンテンツを制作したり、パーソナライズ用に部分的に訴求を変えたコンテンツを複数用意したりすることによって、次第にコンテンツが充実していきますが、それに比例して管理が大変になっていくという声をよく耳にします。

パーソナライズ実施におけるハードルのひとつが、このように増えていく画像、動画、テキストなどのデータ、すなわちデジタルアセットの管理です。

膨大になったアセットを管理するには、例えば次の課題があります。

• アセットが様々な部署に分散していて一元管理されておらず、活用しづらい
• ブランドイメージを統一しにくい
• メンバー間でアセットを共有しづらい
• 1つのアセットに大量のバージョンが存在し、アセットが膨大になる
• 1点ごとに著作権、利用期間、機密情報の管理を行うのが難しい

より良質な顧客体験を提供するためには、これらの課題を解決する必要があります。

こうした課題を解決するソリューションがDAM（デジタルアセットマジメント）です。写真、動画、テキストなどのデジタルアセットを一元管理するための技術を指します。DAMには、次のようなメリットがあります。

アセットを管理しやすい

DAMを活用すると、アセットに属性情報やタグを付与できますし、アセットを種別で分けて整理できますので、誰でも短時間で目的のアセットを見つけることができます。アセットの検索に時間がかかったり、発見できずに制作し直したりすることがありません。また、組織ごと、マーケティングエリアごとに素材制作を重複させない運用も可能となります。

ブランドイメージを統一し、一貫性を持ったメッセージを発信できる

効果的なブランディングには、ブランドの一貫性が必要です。DAMを使うことで、ガイダンスに沿ってアセットを一元管理できるため、アセット使用に統一感を持たせ、制作するコンテンツの品質とブランドイメージを担保することができます。複数のチャネルで統一感のあるコンテンツを発信することで、一貫性のある企業のブランドメッセージを伝えられます。

メンバー間で共有しやすい

全ての関係者がいつでも最新のデータにアクセスできるため、一元管理されたアセットを編集加工したり、活用したりできます。入稿や共有のためにクラウドの準備、メールを送信する手間は不要となりますし、セキュアに共有できます。

レンディションを生成・使用できる

DAM上では、複数のレンディション（ファイル形式やサイズなどのバリエーション）の生成が可能です。1つのアセットをもとに、配信チャネルの仕様に合わせたサイズやファイル形式のファイルを制作できます。チャネルごとにアセットを作り変えて用意する必要がありません。

著作権や使用許諾情報などを管理できる

アセットの中には、著作権がある場合や利用可能期間が決まっているものがあります。DAMのワークフロー機能を活用すれば、アナログな方法や属人的な運用に頼らず、使用期限切れになったアセットを自動的に非公開にするなど、機械的に権利情報を管理することが可能です。

DAMによりアセット管理が効率化されることで、コンテンツ制作やパーソナライズ設計に時間を充てることが可能になります。また、一貫性のある企業のブランドメッセージをより強く伝えられるため、統一感のあるブランディングを行うことができます。そしてアセットの著作権・利用期間は正しく守られ、企業の信頼と信用の保持にもつながります。DAMを活用することによって、顧客体験の質を向上させることができるのです。

アセット管理のためのソリューションであるDAMは、CMSと連携させるのが理想です。

HeartCoreはDAMとCMSを連携しており、アセット管理、コンテンツ制作、配信のシームレスな実装が可能です。例えば、使用したいアセットをDAMから検索して、目的のメディアをCMSにコピーするだけで使用できます。また、CMSへはアセットの属性情報も一緒に登録されますので、属性情報を利用した配信管理も可能です。

更に、ヘッドレス機能を利用すると、DAMを活用して制作したコンテンツを、タッチポイントであるWebサイト、モバイルアプリ、サイネージ、IoTデバイスへAPIを介して配信できるため、マルチチャネルへ配信するコンテンツを一元管理でき効率的です。

なお、HeartCore DAM単体での提供もしているため、HeartCore CMSを導入していない企業でもデジタルアセット管理の効率化が可能です。

<HeartCore DAMで管理するメリット>

• 全ての関係者がいつでも最新のデータや情報を共有できる
• コンテンツ制作の効率性・生産性を向上させる
• 組織ごと、マーケティングエリアごとに素材制作が重複しない
• 企業のコンプライアンスを強化し、ブランドを守る

電通デジタルはHeartCoreの戦略パートナーであり、これまでに多数の構築実績があります。HeartCore DAMの導入やアセット管理方法の整備、HeartCore CMSの導入やパーソナライズを検討しているご担当者の方は、ぜひ電通デジタルへお問い合わせください。