2000万再生突破!デジタルネイティブ世代の本音を捉えた明治安田×電通デジタルの挑戦
明治安田生命保険相互会社
明治安田生命保険相互会社
明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田)は、電通デジタルとの共同プロジェクトチーム「わからぼ」を通じて、若年層との関係構築に取り組んでいます。少子高齢化の進行や、マス施策が通用しにくいデジタルネイティブ世代の台頭など、保険業界を取り巻く環境が大きく変化する中で、「わからぼ」は、次のお客様であるデジタルネイティブ世代に、どのように向き合おうとしているのでしょうか。明治安田と電通デジタルの担当者に話を聞きました。
※2026年3月付け時点の所属・役職です。
水野有香氏(明治安田):一般的に、若年層は保険に対して積極的な関心を持ちにくい傾向があります。加えて、コロナ禍を経て在宅勤務が普及し、個人情報保護の意識も一層高まったことで、かつてのようにお客さまの職場に直接訪問して、対面で接点を持つといった従来のアプローチが極めて困難になっています。
将来の顧客基盤となる若年層との接点づくりは不可欠であり、SNSでの情報発信や地域イベントの開催などにも注力してきました。しかし、これまでの延長線上にはない、全く新たなアプローチの必要性を強く感じ、模索を続けていたところです。
福島拓己氏(明治安田):従来の保険広告は、「手厚い補償」といったメリットを一方的に訴求するものが中心でした。しかし、そうした情報は若年層にとって価値が実感しづらく、「自分ごと」として捉えにくい内容が多いのではないかと、課題意識を持っていました。
水野:「わからぼ」は、デジタルネイティブ世代をはじめとした若年層の価値観や行動を、施策を通じて実践的に理解することを目的とした共創型プロジェクトです。机上の調査・分析にとどまらず、仮説検証のプロセスを電通デジタルと同じ目線で中長期的に回していく取り組みだと捉えています。
通常のプロジェクトでは「受発注」の関係になりがちですが、今回はデジタルネイティブ世代への深い洞察を得るため、電通デジタル様の知見を吸収しながら文字通り「一緒に考え、取り組む」体制を重視し、共同プロジェクトという形をとりました。
高橋朱実(電通デジタル):「わからぼ」は、顧客理解を起点としたマーケティング変革プロジェクトとして、まずは「何がわかっていないのか」を明確にすることから始め、一つずつ我々としての納得解を導き出していくスタンスで設計しました。
具体的には、デジタルネイティブ世代と上の世代の比較調査を行い、その差異をメンバー全員で徹底的に議論します。そこから課題を抽出し、企画・実行・検証を経て、再び議論に立ち返る。このサイクルを明治安田様と一体となって回し、単なるPDCAではなく「なぜそうなったのかを考え抜くこと」を何より重視しています。
鎌田夏生(電通デジタル):戦略構想から実装までを一気通貫でクライアントと協働できる点が、私たちの強みだと認識しています。「わからぼ」でもその強みを生かし、皆様と考え抜き導き出してきた「若年層への深い理解」に基づきながら、特に今回の施策においては、ブランディングと商品訴求を一体化させ、デジタルネイティブ世代に受け入れられ、惹きつけるかたちを設計。具体的にSNS施策を企画・制作・実施する役割まで、電通デジタルとして担いました。
工藤萌(電通デジタル):まず「なぜ若年層は保険に入らないのか」をテーマに仮説を立てることから始めました。ただし、あえて「若年層の保険の捉え方」というような保険そのものではなく、「社会の変化」「情報収集のあり方」「家族・友人関係」など、周辺環境に関する問いを広く設定したのが特徴です。それらをベースに構築した仮説を定量・定性調査で検証することで、思い込みではない、立体的でリアルなデジタルネイティブ世代像を捉えられたと感じています。
水野:若年層が「企業からの発信」を非常にシビアに見ている点は印象的でした。「商売っ気が透けると引いてしまう」という声もあり、これまでのマーケティングとの違いを痛感しました。
福島:私自身もデジタルネイティブ世代ですが、これまでは自分たちの特徴をうまく言語化できていませんでした。「わからぼ」を通じてそれが明確になったのは大きな収穫です。また、意外だったのは「変わらない点」です。検討のきっかけは「身近な人の勧め」が今も昔も多く、対人の影響力という普遍的な価値を再認識しました。
高橋:既存のラベルを剥がせたことも成果です。例えば、デジタルネイティブ世代はよく「失敗したくない世代」と言われますが、議論を深めると、その本質は「確実に共感したい」という欲求にあることが分かりました。この微差が、施策の成否を分けるカギになります。
工藤:顧客理解を施策に落とし込むうえでは、まず若年層が日常的に関心を持ちやすいテーマから逆算して体験を設計しました。特にInstagramでは、金融知識を一方的に伝えるのではなく、「自分だったらどうするだろう」と自然に考えたくなる入口づくりを重視しています。
その中で工夫したのが、「30万円」という金額設定です。デジタルネイティブ世代にお金の大切さを感じてもらうために、手が届かないわけではないけれど少し高く、なおかつ何かを始めるには十分なこの金額を想定して、Instagramで「30万円で人生は変わるのか。」というドキュメンタリー企画を展開しました。
単なる商品訴求ではなく、出演者がその30万円をどう使い、どんな挑戦や選択をするのかという共感を軸に設計しています。旅行や趣味、自己投資など、視聴者自身も具体的な使い道を想像できるテーマにすることで、「自分ならどう使うか」「どんな未来につながるか」を自然に考えられる内容を意識しました。
また、企業側が価値観を押し付けるのではなく、ユーザーが参加したり共感したりできるコミュニケーション設計を徹底しました。Instagram上で普段接しているコンテンツと自然に馴染む表現を意識することで、お金や将来について前向きに考えるきっかけづくりにつなげています。
工藤:リール動画が最大約600万再生、累計で2000万再生を超えました。特筆すべきは、いいねやリポストといった能動的な反応が非常に多かった点です。
水野:想定以上の反響に驚いています。自社単独では到達できなかった規模であり、コメント欄からも若年層の熱量の高さが伺えました。
福島:同年代の職員からも「保険を感じさせないのが良い」といった声があり、定性的にも良い評価を得ています。
水野:「小さく試し、学びを蓄積する」サイクルをさらに回していきます。今後は社内全体へもこの知見を波及させ、「わからぼ」を若年層向け施策の実験場として進化させたいと考えています。
福島:ライフステージが進めば、彼らの価値観もまた変わります。認知・共感の先にある「加入」という課題にも向き合い、時代が変わっても自然に選ばれる存在を目指していきたいです。
水野:これまで十分に把握できていなかったデジタルネイティブ世代の価値観や行動原理を、深いレベルで理解できたことは大きな収穫でした。また、電通デジタルと同じ目線で試行錯誤を重ね、パートナーとして共に歩めたプロセスそのものに、大きな価値があったと感じています。
福島:一般的なプロジェクトでは、パートナー企業からの提案を事業会社が評価するという構図になりがちですが、「わからぼ」は全く違いました。特に初年度は、週1回4時間にわたり膝詰めで議論するなど、極めて密度の高い時間を共有しました。この「一緒に考え抜く」プロセスがあったからこそ、表面的な流行に流されない、デジタルネイティブ世代の核心に響く施策が生まれたのだと確信しています。
鎌田:約1年半にわたり「わからぼ」に携わってきましたが、明治安田様にとっても、こうした共創型プロジェクトは前例のない挑戦であり、社内調整を含め多大なご尽力をいただきました。テクノロジーや社会の変化も踏まえながら、今後も保険の次期中核層のデジタルネイティブ世代にどのように企業からメッセージを発信し関係値を築いていくか、一緒に探求していきたいと考えております。
高橋:かつてのようにテレビCMを通じて「幸せを守るために保険が必要だ」と一律に伝える手法は、若年層には通用しづらくなっています。だからこそ、次世代にとっての「本当の価値」を問い直すことが、かつてないほど重要です。
金融商品はコモディティ化しやすく、最終的にはスペック競争になりがちですが、だからこそ「次世代に選ばれるマーケティング」が最大の差別化要因になります。私たちも唯一の正解を持っているわけではありませんが、答えを導き出すための知見や人材は揃っています。クライアント自らが自社にとっての正解を見つけ出していく、その挑戦を全力で支援することが電通デジタルの存在意義だと考えています。
若年層インサイトを起点に、戦略構想から施策実装まで伴走し、マーケティング変革を推進します。
SNS活用で若年層の共感を捉え、エンゲージメント戦略で参加と拡散を生む関係構築を支援します。
プロフィール
2016年電通イーマーケティングワン (現電通デジタル) 入社。クリエイティブディレクションからキャリアを開始し、UIUXコンサルタント、サービスデザイナーと一貫して顧客視点からビジネスをドライブするプロジェクトに携わる。青山学院大学学校教育法履修証明プログラム ワークショップデザイナー修了。
2020年電通デジタル入社。顧客データ分析に基づく戦略立案から、施策実行に至る一気通貫のCRM支援を主導。Web計測設計・解析、各種調査や制作のディレクションなど、デジタルマーケティングにおける豊富な実績を持つ。ビジネスゴールを見据えた統合的なプロデュースおよびプロジェクト推進を得意とする。
2023年電通デジタル入社。入社後は、日用品メーカーの効果測定調査、保険業界の若年層インサイト調査〜顧客体験構想、化粧品業界の未来の顧客体験構想など幅広い案件を支援。顧客体験設計、ビジョン策定、WS設計/実施などリサーチャーやプランナー業務を担当。グラフィックレコーディング等を用いて、WSやアイディアのビジュアライズも行う。
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