2025.12.11
BeReal×電通デジタル対談 リアルを共有する新しいコミュニティメディア「BeReal. 」とは?
SNSの世界は、これまでの「演出」から「信頼」へと価値軸を移しつつあります。その象徴といえるのが、フランス発のSNS「BeReal.(ビーリアル)」です。拡散やバズを目的とせず、ありのままの自分を共有し、等身大の共感を生むことを重視した新しいタイプのメディアである「BeReal.」。本記事では、 BeReal 日本事業責任者の笹川 明人氏と、プラットフォーム部門ソーシャルプラットフォーム部の土屋 美空が、BeRealの仕組みや特徴を整理し、企業がマーケティングに活用する際のポイントを解説します。
フランスで生まれた、新しいリアルの共有文化
電通デジタル・土屋:まずは、 BeRealとはどのようなSNSなのか教えてください。
BeReal・笹川氏:BeRealは、2020年にフランスで生まれたSNSです。他のSNSと同様に写真や動画を投稿するプラットフォームですが、その発想はまったく異なります。
これまでのSNSは、「どう見せるか」「どれだけ注目を集めるか」という演出や拡散を軸に進化してきました。そこでは、誰もがある種の「理想の自分」を演じるようになりました。
一方で、コロナ禍を経て、人々のライフスタイルが変化し、従来の日常の価値が再評価されるようになりました。 世界中の若者の間には「もっと素のままでつながりたい」「見栄を張るより、日常を共有したい」という感情が広がっていきました。その潮流の中で登場したのがBeRealです。名前のとおり、「Be Real=本当の自分であれ」という思想が中心にあります。
「リアル」であることが最大の価値
土屋: BeRealはどのような点が特徴的なのでしょうか?
笹川:BeRealの最大の特徴は、その名のとおり「リアルであること」です。ユーザーは1日1回、「BeRealタイム」と呼ばれるランダムな時間に通知を受け取ります。通知後、2分以内にユーザーは、スマートフォンのフロントカメラとバックカメラで同時に写真を撮影し、投稿を行うことで、全ユーザーが「同じ瞬間」を共有します。
通知のタイミングは、地域ごとに分かれています。具体的には以下のような4つの地域区分で、たとえば東アジア地域のユーザー全員が同じ時間に投稿する仕組みです。
- Americas(アメリカ大陸)
- Europe(ヨーロッパ)
- East Asia(東アジア)
- West Asia(西アジア)
投稿にはフィルターや加工機能がなく、過去写真のアップロードも不可。まさに「その時・その場所」で撮った1枚だけが投稿できる仕様です。この構造が「同じ時間を、違う場所で共有する」という新しいソーシャル体験を生み、従来のSNSにはない、素の生活の共感を促しています。
ユーザー参加を促すコミットメント設計
土屋:ユーザーが投稿したくなる仕掛けを巧みに設計している点も特徴的ですよね。
笹川:そうですね。BeRealでは、自分が投稿しなければ他人の投稿がモザイクになって見られません。また、通知から2分以内に投稿すると「ボーナスショット」として追加撮影することができ、計6枚投稿可能になるなど、投稿を促す仕掛けが多く存在します。この設計により、「見る専(閲覧のみ)ユーザー」が存在しにくく、アクティブユーザー率(MAU)が高く、全ユーザーの約80%が毎日投稿しているとも言われています。
さらに、毎日投稿を続けるとプロフィールに連続投稿日数が表示されるため、ユーザーの継続利用を自然に促すゲーミフィケーションも成立しています。つまりBeRealは、「参加せざるを得ないSNS」としての構造を持っており、投稿率・関与率が圧倒的に高いのです。
土屋:この高い投稿率は、ブランドの発信設計において、広告的な露出よりも日常への浸透を狙う際に大きな武器になると考えます。たとえば、食品・飲料・日用品など、ユーザーのリアルな生活空間に自然と溶け込むような商品は、BeRealの文脈と親和性が高いと言えます。別の記事でも紹介しましたが日常の一コマを切り取ったような自然体の瞬間は、そのままクリエイティブとして成立しやすいのがBeRealの特徴です。生活の延長線上にある表現だからこそ、ユーザーに心地よく届くのだと思います。
バズを目的としない、クローズドコミュニティ
土屋: BeReal は閲覧方法も特徴的ですよね。
笹川:そうなんです。BeReal は承認し合った友達の投稿しか閲覧できません。ユーザーの平均友達数は約30人前後で、拡散やバズを狙うメディアではなく、「本当に親しい人たちとの共感」を重視したプライベートなネットワークです。
土屋:投稿も、旅行に行ったときや、友達と遊んでいる写真、見栄えがする写真など、「人生のハイライト的な瞬間」ではなく、通知に合わせて撮影される「日常の断片」が中心です。1日1回必ず通知が来ますし、フィルターなしでその時に撮るので、自己演出性が低く、親密度が高いコミュニケーションが行われているのだと思います。
そのため、ブランドがBeRealを活用する際には「広く拡散させる」よりも「深く共感される」コミュニケーション設計が求められるのだと考えます。
笹川:ほかの機能として、友達の過去投稿はさかのぼって見ることはできませんが、自分の投稿は日付ごとにグリッドで一覧表示され、これまでの記録を振り返ることができます。ブランドにとっては、ユーザーの日常時間軸に寄り添った文脈で登場できるという意味で、「生活密着型のタッチポイント」を形成できる可能性があります。
BeRealにおけるインフルエンサー活用の考え方
土屋:最後に、BeRealにおけるインフルエンサー施策についても触れたいと思います。
従来のインフルエンサー活用は「フォロワー数=リーチ力」に重きを置いていましたが、BeRealではフォロワー数よりも「親密度」や「ロイヤルティの高さ」が重要になります。つまり、フォロワーの熱量が高いマイクロインフルエンサーを複数起用し、各コミュニティの中で自然な推奨として機能させることがポイントです。
BeRealは、「リアルタイム性」「クローズド性」「日常性」という3つの要素が重なり合い、ユーザー同士の信頼ベースの共感空間を形成しています。そのため、企業やブランドがBeRealを活用する際には、
- 日常のリアルな文脈に自然に入り込む
- ユーザーの共感をベースにしたブランド体験を設計する
- 拡散ではなく、ロイヤルティ形成を目的とする
といった施策設計が求められます。BeRealは、「ブランドのありのままを見せる」時代の、新しいマーケティングの実験場になりつつあるのではないでしょうか。
BeRealを活用した広告施策やインフルエンサーマーケティングを検討されている企業は、ぜひ電通デジタルまでご相談ください。プラットフォームの特性を生かした最適な戦略設計と、共感を生むクリエイティブをご提案します。
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