「SIXPAD」の戦略の壁を突破した、「AI For Growth Canvas」がもたらすマーケティング変革
株式会社MTG
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株式会社MTGが展開するウェルネスブランド「SIXPAD」。圧倒的な知名度を誇る一方、製品拡大に伴うターゲット設定やカスタマージャーニー構築のコストに課題を抱えていました。こうした状況を打破すべく、同社が導入したのがAIエージェントプラットフォーム「AI For Growth Canvas」です。リサーチコスト削減や現場での活用法まで、AIと人間が高度に共創するマーケティングの未来像について聞きました。
石谷 桂子氏(MTG):ブランド誕生から11年目を迎えた「SIXPAD」は、EMS機器分野で圧倒的な存在感を築いてきました。しかし、さらなる成長に向けてターゲットの裾野を広げていく中で、新たな課題に直面していました。
座ったまま足の筋肉を鍛えられる「SIXPAD Foot Fit」のヒットにより、高齢者層という新たな市場を切り拓いた一方、従来のアスリート向けイメージとのギャップを生み、「誰に何を伝えるべきか」というブランドアイデンティティのバランス調整が必要となっていたのです。
「SIXPAD」は用途や効果がパッと見で伝わりにくい高額商品だからこそ、製品が拡充するにつれ、認知から購買へスムーズに導くカスタマージャーニーの設計が欠かせません。ターゲット設定とコミュニケーション設計というマーケティングの原点に立ち返り、戦略を再構築する必要性を強く感じていました。
石谷:以前よりお付き合いがあった中で、マーケティングの新しいアプローチとしてこのツールを紹介いただいたのがきっかけです。当時はAIに少し懐疑的でしたが、マーケティング施策の叩き台作成やアイデアの壁打ち相手として使うデモを見せてもらい、その圧倒的なスピードに驚愕しました。既存業務の効率化や、アイデアの幅を広げるツールとして直感的に「これは使える」と確信し、3カ月のトライアルをお願いしました。
岡村 祐太(電通デジタル):フロントとして伴走させていただく中で、MTG様の組織としてのマーケティングリテラシーの高さを強く実感していました。既に明確な戦略思想をお持ちでしたので、ツールに求められたのは、ゼロからイチを生み出すことではなく、マーケターの皆さまが構築された仮説に対する「精度の高い壁打ち」でした。いかに実務で有効活用していただくか、初期段階から極めて具体的かつ熱量の高いディスカッションを重ねながら導入を進めていきました。
石谷:最大の期待は、戦略策定におけるスピードと生産性の向上です。本来、精度の高いカスタマージャーニーの構築やペルソナの深掘りには、リサーチを含めて数週間から1カ月もの膨大な時間が必要です。これをAIによって一瞬で形にできれば、組織として大きなアドバンテージになります。
さらに、属人的な経験や知識に依存した画一的なアイデアから脱却するという狙いもありました。AIを思考のパートナーとして壁打ちを重ねることで、メンバー個々の発想の枠を広げ、アウトプットの質を多角的に高められると期待していました。
宮島 健人(電通デジタル):まずは新しいツールへの心理的ハードルを下げ、日常業務に定着させることを最優先にサポートしました。基礎的な操作からスタートし、徐々にステップアップしていくレクチャーを意識しました。
ツール内には、電通および電通デジタルのマーケティングナレッジを搭載したエージェントが現在約10種類実装されています。また、今後も新たなエージェントの追加や、リリース済みエージェントの継続的なアップデートを予定しています。
そのため、最初から使い方を限定せず、まずは全体像を網羅的にご説明しました。その上で、MTG様の実際の業務プロセスに当てはめながら、「この業務にはこのエージェントが活用できます」といった形で、実務に寄り添った具体的なフォローアップを徹底しました。
山藤 柚季氏(MTG):実務において最大の効果を発揮したのは、カスタマージャーニー構築のプロセスです。従来のアンケートや市場調査では、データの収集からインサイトの抽出までに多大な時間とリサーチコストがかかっていました。それが本ツールでは、「1億人規模の仮想ペルソナ」という土台の上でセグメントごとにラベリングされた状態からスタートできるため、必要なインサイトへダイレクトにアプローチする「逆引きの深掘り」が可能になりました。
一般的な生成AIにありがちな抽象的なペルソナとは異なり、具体的な生活習慣や趣味嗜好といった「ストーリー」が担保されているため、アウトプットの解像度が極めて高い点も特徴です。検証の的がシャープに絞れるため、実在するお客様へのN=1インタビューの設計や仮説検証の質そのものが大きく引き上げられました。
石谷:私は搭載されているAIエージェントの中でも特に「AI戦略プランナー」を活用しました。新製品のポートフォリオや、競合との差別化ベネフィットを一瞬で比較・把握できる点が素晴らしいです。また、驚いたのは画像生成のプロンプトを教えてくれたことです。「画像は作れないが、生成用のプロンプトなら提供できる」と返答してきたので、それを他のAIに入力してイメージ画像を企画書に活用しました。
宮島:石谷さんが「AI戦略プランナー」から画像生成用のプロンプトを引き出し、別の画像生成AIに連携させていたお話は大変勉強になりました。AIの機能や特性をハックして実務に生かされている姿勢は、先駆的な素晴らしい活用事例であり、開発側としても大きな学びです。
お二人の高度なアプローチは、まさに「1を10にする」という本ツールの提供価値を最大限に引き出していただいている理想的な事例です。ご要望をいただいた画像生成機能についても実装に向けて開発を進めていますが、このようにクライアント自らがプロダクトの枠組みを超え、クリエイティブな思考を拡張させていくプロセスに伴走できたことは、チームにとっても極めて有意義な経験となりました。
石谷:決して安価な投資ではないため、経営視点から確実な投資対効果を見極めることが必須でした。マネジメント側の判断として、誰もが均一に使いこなせるわけではないという前提に立ち、十分なマーケティングリテラシーを持ち、自律的な意思決定ができるブランド担当の課長職や商品企画メンバーに限定してアカウントを付与しました。
この厳選したメンバーたちが、実務において確かな手応えと価値を感じられたことが年間契約の決定打です。定量的にも、全国的な市場調査の実施頻度そのものを最適化でき、リサーチ費用や集計工数を劇的に圧縮するという具体的な成果に繋がっています。
岡村:マーケティングリテラシーを持つメンバーに絞ってアカウントを付与された点は、素晴らしい判断だったと思います。期待値のコントロールが正確で、導入当初から実務ベースでの具体的な活用法や機能追加の議論ができたため、価値を感じていただきやすかったのだと感じています。
山藤:現在はジャーニー構築に留まらず、新規プロダクトにおけるメディアミックス(媒体の最適配分)の投資最適化にも活用しています。
新商品において認知獲得は不可欠ですが、多様なチャネルが存在する中で予算配分の最適解を導き出すことには難しさがありました。その点、「AI For Growth Canvas」は、「SNSとテレビではターゲットのメッセージの受容性がどう異なるか」をふまえ、各媒体への具体的な投資アプローチを生活者インサイト起点で提示してくれます。おかげで、次期の投資ポートフォリオを構築する際の、精度の高いフレームワークとして非常に機能しています。
石谷:企画立案における社内コミュニケーションのあり方も大きく変わりました。他部署への新製品提案において、「カスタマージャーニー構築のために数週間の猶予を」と要望する必要がなくなり、「来週にはプランをセットで提示する」という圧倒的なリードタイムの短縮を実現しています。
この機動性は、リサーチコストを十分に割けない小規模なプロダクトの開発において特に真価を発揮します。初期段階でネーミングやコンセプトのアイデアを50案ほど瞬時にリストアップし、そこから取捨選択をかけるといったプロセスが組めるため、投資の大小に関わらず網羅的な戦略構築が可能になりました。
宮島:AIを「高度な能力を持つが、業務経験のない新人」と捉えるのがポイントです。プロンプトを記述する際は、難解な構文を意識するのではなく、新入社員に業務オリエンテーションを行う感覚です。「商品特性や背景をインプットし、思考プロセスを順序立てて伝え、出力フォーマットを指定する」。この的確なディレクションがあって初めて、AIは精緻なパフォーマンスを返してくれます。
岡村:やはり、使う人間側に「マーケティングの軸」があることが大前提です。Who(誰に)とWhat(何を)を置き去りにしてHow(施策)だけを求めても、AIが出した点の施策に溺れてしまいます。出力されたデータに対して「このターゲットならこれは違うのではないか」と、ロジカルにジャッジできるリテラシーこそが、AIの効果を最大化する条件だと思います。
山藤:「AI For Growth Canvas」は、多くの新商品を扱い、常にリサーチの時間不足に悩むマーケターにとって、心強い優秀な部下のような存在です。生活者の深いインサイトをストーリー仕立てで掘り下げられるツールは他にないので、ぜひ一度体感してほしいと思います。
石谷:今の時代、AIを使わない選択肢はありませんが、「AI For Growth Canvas」はマーケティング思考に特化している点が大きな強みです。認知から購買までの導線が長く、生活者の心理を何度も往復しながら説得・啓蒙していく必要がある商品を扱う企業や、少人数のマーケティング組織で効率を劇的に上げたい企業には強力な武器になります。
ただし、AIが出した結論をジャッジし、最終的なクオリティを担保するのは、ツールを使う「人間の質」です。マーケティング人材をきちんと育ててきた企業ほど、その真価を発揮できると思いますね。
AIエージェントの活用基盤となるデータ戦略の設計から、分析・実装・運用まで一貫して支援。ビジネスに本質的な変革をもたらすAI活用を推進します。
プロフィール
2021年に電通グループへ入社し、AI開発を強みとするデータアーティストにてPMとしてキャリアをスタート。社会インフラ系企業での保守・運用経験、およびシステムの機能設計から得た知見を活かしつつエンジニアリングスキルを習得し、2023年より電通デジタルにてAIエンジニアとして従事。現在はエンジニアリングスキルを活かしながら顧客満足度の向上を意識したクライアントデリバリー業務を中心に担当し、現場で得たフィードバックをプロダクトへ還元することで、より良いプロダクトへの成長を支援している。
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