顧客を360度ビューで見る――スヴェンソンが挑んだ組織横断のデータ統合プロジェクト
株式会社スヴェンソン
パナソニック コネクト株式会社
DCX(デジタルカスタマーエクスペリエンス)ビジョンに基づいて顧客接点を最適化し、顧客価値を基点とするマーケティングに取り組むパナソニック コネクト。電通デジタルは、あるべき顧客体験の実現を支えるグローバルPIM(商品情報管理)の構築を支援しています。グローバルPIM構築の背景と目指す姿について、パナソニック コネクトと電通デジタルに話を聞きました。
パナソニック コネクト・関口昭如氏:当社の事業領域は広範にわたり、事業ごとに顧客の捉え方が異なります。特にB to Bでは顧客の対象が複雑で、担当者に加えて組織の意向という視点が入ってきます。顧客情報を活用してこれらをきちんと捉えた上で、企業の資材調達、製品設計、製品開発など、さまざまな部署の方たちに向けて、顧客体験(従業員体験)をあるべき姿に最適化したいと考えています。
従来、B to Bマーケティングでは営業が唯一の顧客接点という時代が長らく続きましたが、デジタル化が進んだ現在、顧客企業においても、自分で調べられる情報は自分の好きなタイミングで、納得するまで調べたいという担当者の方が非常に増えています。そうした顧客体験を向上させるための核となるのが、製品情報です。正しく、スピーディに探したい情報にたどり着ける状況を提供することは非常に重要と考えて、顧客体験改善と顧客価値を基点としたマーケティングを進めています。
関口:従来は、地域ごとに製品情報データを管理していたため、最新の製品情報が反映されにくい、ある地域の拠点にしか情報が届いていないといった事態が発生することがありました。そうした課題を克服するために導入したのが、グローバルPIM(Product Information Management)という、グローバルのすべての地域において製品情報を一括管理するシステムです。
製品情報は当社が所有している以外にも、たとえばパートナー企業が独自に情報を加工して顧客に提供している情報もあり、相当数のバリエーションが存在します。理想は、散在している製品情報をすべてグローバルPIMで管理し、我々のオウンドメディアだけでなく、パートナー企業が持つメディア情報も含めて、いかにタイムリーにアップデートしていくかが、全体的なビジョンとしてあります。
関口:Contentserv※の実装支援をされていること、かつグローバルでの対応が可能なところです。私とグローバルPIM構築を担当する斉藤も、PIMに20年近く取り組んでいて、管理システムのスクラッチ開発もパッケージソリューションも経験がありますが、Contentservは当社の環境に合致し、PIMとして満足できるソリューションでしたので、Contentservを利用し、グローバルでのグローバルPIM構築と運用のサポートをいただけることが、大きな決め手となりました。
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パナソニック コネクト・斉藤寛公氏(デザイン&マーケティング本部 デジタルカスタマーエクスペリエンス統括部 DCX&WEB課/オンラインにて取材参加 ):あともう一つ、今回の案件以前にパナソニック コネクトの国内パートナー向けポータルサイトでContentservを導入した際、電通デジタルにサポートしていただいた実績があったということも理由です。Webサイト構築と並行して、製品情報とタグを連携するための仕組みとして、Contentservを導入していただきました。
電通デジタル・鈴木大介:国内パートナー向けポータルサイトのプロジェクトでの知見を踏まえて、プロトタイピング型プロジェクトマネジメントを提案しました。また、社内ではグローバルプロジェクトに対応できるメンバーをアサインし、盤石なプロジェクト体制を敷きました。
鈴木:プロトタイピング型は名前のとおり、プロトタイピングのフェーズにおいて、Contentservの環境を活用しながら、要件の確認や試験的な環境構築を行い、クライアント企業にローンチ後の運用イメージを見ていただきながら要件定義を進めていただく点が特長です。
プロトタイピング型のメリットは3つあります。1つ目は、要件齟齬のリスク低減です。構築フェーズ以降での要件齟齬の発生によるプロジェクト遅延、コスト増大などのリスクを抑えることができます。2つ目は、運用イメージがつきやすいこと。3つ目は、スモールスタートが可能であること。たとえば、特定の部署や地域で限定的に導入し、運用の評価・検証を行ったうえで全体導入を進めることが可能です。
関口:プロトタイピング型での導入は今回が初めてだったのですが、早くに実物が見られるので、安心感がありました。
斉藤:体感的には従来の導入までの期間の1/2程度で実施していただいた感覚があり、プロトタイピング型の導入は全体スケジュールの短縮にもかなり貢献していると思っています。
鈴木:グローバルで対応できる点、技術力とプロジェクトマネジメント力が高い点は、大きな強みだと思います。グローバルのプロジェクトは、それぞれの地域の実情や文化を尊重しつつも、重要なことはしっかりと主張しなければなりませんので、バイリンガルであるだけではなく、技術的なこともわかり、きちんとお客様とお話ができる素養を兼ね備えたメンバーをアサインしています。そうしたことに関して我々は多くの知見を持っており、安心して対応を任せていただけたのではないかと思っています。
関口:システム構築中の段階なので、明確な成果はまだ上がっていないのですが、製品情報管理において、基本はグローバルで共通、地域ごとに必要な部分だけリージョナライズされる形になるので、各地域の製品情報管理工数は大きく減っていくと思います。今回のプロジェクトによって、必要な情報を必要な人に届けることが可能になります。次の段階として顧客体験の改善を進めていきたいと考えています。
関口:電通デジタルの強みであるデジタルマーケティングの知見を活かしていただきたいです。今後、当社がグローバル事業領域において、No.1エクスペリエンスカンパニーになるためのさまざまな支援をいただけることを非常に期待しております。
斉藤:今はグローバルPIMという製品情報関連領域でご支援いただいていますが、マーケティングに加えてカスタマーサクセスなどの領域や、引き続きグローバルでの活動もサポートいただきたいです。
鈴木:グローバルPIM稼働後、たとえばWebサイトに展開する、MAと接続する、AIと接続するといったマーケティング活用の世界においても、ぜひお力添えしたいと思っています。DCXを進めるための基盤としてのグローバルPIM、そしてそれを支えるContentservを活用してDCXを最適化し、関連する事業を成長させるために何をすれば良いのか、グローバルはもちろん国内においても、引き続き伴走支援をしていきたいです。
鈴木:グローバルでのマーケティング活動を効率化したいとお考えの企業は非常に多いと思います。フロントエンドだけでなく、マーケティング、業務プロセスのデータの基盤を整えることは大事ですし、そこを整えることで、初めて顧客体験の改善に工数や時間、予算を割く余力が生まれてきます。
これから先、AIを本格的に活用するためにはデータの整備が必要不可欠です。顧客データ、製品データの双方を等しく意識し、データ基盤の構築からデータ活用までをお考えの際は、ぜひ電通デジタルにお声がけください。
プロフィール
前職では、大手カタログ通販会社のEC部門でのシステムエンジニア、またECを得意とするシステム会社でのECサイトの立ち上げから保守運用まで担当。プロジェクトをリードするだけではなく、顧客との関係を構築しながら、顧客のビジネスを意識した提案を得意とする。直近では、グローバルブランドのeコマースや国内大手スポーツ用品販売eコマースの刷新プロジェクトをテクニカルディレクターとして従事。
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