2022.07.19
DE&I活動の一環として「東京レインボープライド2022」に参加 LGBTQへの理解促進を目指す
2022年4月22~24日、3年ぶりのオフラインイベントとして「東京レインボープライド2022(以下、TRP)」[1]が開催され、電通デジタルは今回初めてDJN(電通ジャパンネットワーク)として、「プライドフェスティバル」にブース出展で参加しました[2]。
「プライドフェスティバル」は、「LGBTQをはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め、「『”性”と”生”の多様性』を祝福する」という、TRPの理念に賛同する団体/企業によるイベントや展示の会場です。
イベント当日は、グループ各社から約40人の社員がボランティアで参加。電通デジタルからは3人が参加しました。本記事では、電通デジタルがDE&I活動の一環として行っているLGBTQ支援を紹介するとともに、TRPに参加した2人にイベントの様子や感想を聞きました。
ブースの展示を楽しみながら、しっかり受け止めてくれる方が多かった
DJNブースでは、「Rainbow Gallery of Word(言葉のレインボーギャラリー)」をテーマに、「うップンすっきりペーパー」「言葉の天秤」「レインボー名言」という、3つの展示物を掲載しました[3]。
これらは、広告において言葉を扱う会社であることから、LGBTQにまつわる言葉にフォーカスし、異なる角度から見ることで、それぞれの語に秘められた希望や夢、偏見や差別があることに気づいてもらおうという狙いのもと、電通の若手クリエイターが制作したものです。
TRPには会期中66,949人が来場。DJNの展示ブースには3日間で約2,200人が訪問し、これらの展示物を楽しんでいかれました。ブースにボランティアとして参加した、金城茜さん、山本葵さんに当日の様子や参加した感想などを聞きました。
――DJNのブースの様子はどのような感じでしたか?
金城 ブースに来た方々に展示物の説明をしたり、通りがかる方にお声がけをしたりしていたのですが、3つの展示の中では、「うップンすっきりペーパー」に多くの方が反応していました。「言葉の天秤」には、長い時間立ち止まって考えている方が多かったことが印象に残っています。言葉の意味を質問してくれる方もいて、展示の内容をしっかり受け止めながら楽しんでくれる方ばかりで、正直少し驚きました。
山本 会場が広く、ブースもとても多いのですが、DJNのブースには想像以上に多くの方がいらして、立ち止まって、しっかり見てくださいました。「なんとなく来てみた」というよりは、DJNが何を、どのように発信しているのかを、積極的に知ろうとしているという印象を受けました。
――ボランティアに参加してみた感想は?
金城 さまざまな気づきや学びを得られました。特に役に立ったのは、事前に社内で行われたボランティアの説明会です。LGBTQの方と会話するときに気をつけるべきポイントを学習できたことが、とても勉強になりました。自分は普段から気をつけている方だし、問題はないだろうと思っていたのですが、意外と学ぶことが多くて、気持ちが引き締まりました。
実際のブースでは、展示の説明をして、ちょっとした会話をする程度でしたが、それでもいろいろな方とお話ができたのは、とてもよい経験になりました。
――今回の TRP 出展をはじめ、自社がLGBTQの課題解決に取り組んでいることに関しては、どのように捉えていますか?
山本 企業活動も、その根底にあるのは人と人との関わりなので、企業としてどういうことを考え、取り組んでいるのかという日常の姿は、今回のような機会を含め、積極的に発信してほしいです。
金城 私も、会社としてこうした問題にきちんと取り組んでいることを積極的に発信していくことは、好意的に捉えています。組織が多様性を担保するというのは正直なところ当たり前だという感覚が自分にはあって、そうでないことをネガティブに感じてしまうので、やはり発信していくことに意義はあると感じています。
――会社に望む取り組みはありますか?
金城 もう少し理解を深めるための学習の場を設けてほしいと思います。学生時代に、外資系のアパレル企業でアルバイトをしていたのですが、その企業は多様性を成長のキーワードにしていて、アルバイトに対しても定期的な学習の場を設けていました。
全世界共通のビデオを見た後に、マネージャーと対話して理解を深めていくのですが、そうした経験を積み重ねていくことで、すべてを認め合うからこそ、個性が強まるというブランドメッセージを学べました。
ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンに関して、概念ではなくリアルなものとして捉えるための理解も深まって、とてもためになったので、そういう仕組みは参考になると思います。
山本 多様性やLGBTQの話題は、昨今マスコミに取り上げられる機会も多いので、なんとなく理解しているという方は多いと思いますが、実際の日常や業務上での会話や行動を踏まえて、具体的に理解できている方は少ないかもしれません。日常の具体的な場面をイメージできる実践的な内容の講習や研修があると、もっとたくさんの方が、解像度高くイメージできるようになるのかなと思います。
電通デジタルのLGBTQに関する活動
電通デジタルでは、多様な人材が自分らしく、いきいきと働ける環境を目指し、「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」を推進しています。また、その一環としてLGBTQに関する周知理解の推進や、関連規則の導入も積極的に行っています[4]。
2019年12月には、Slackの社内向けワークスペースに「LGBTQアライチャンネル」を設立。その運用と並行して、さまざまな研修・啓発メニューを導入し、社内の理解浸透に努めてきました。
▼電通デジタルにおけるLGBTQ関連規則導入のあゆみ
年月 | 内容 |
2019年12月 | Slack にて「LGBTQアライチャンネル」設立・運用開始 |
2020年6月 | LGBTQ相談窓口設置 パワハラ防止法の施行に合わせてSOGI(ソジ)ハラ啓発ページ掲示[5] |
2020年8月 | アンコンシャスバイアス研修を全社員必聴研修として導入[6] |
2020年11月 | LGBTQ動画研修がスタート LGBTQアライステッカーを動画視聴および希望者に配付 |
2020年12月 | 世界人権デーのイベントにて、川上宗一社長とゲイ・アクティビスト松中ゴン氏のトークショーをZOOM生中継で開催 |
2021年1月 | LGBTQ関連規則施行 |
2021年6月 | 民間パートナーシップ証明書Famiee導入 初めてwork with PRIDEに申請(2021年度はブロンズ) |
2022年4月 | 東京レインボープライド2022にDJN(電通ジャパンネットワーク)の一員として参加 |
2022年6月 | セプテーニグループ、電通PRコンサルティングとともに、オンラインイベント「Online PRIDE 2022」を開催 |
2021年1月にはLGBTQの関連規則を改定し、配偶者を同性パートナーにも適用。慶弔金を含む休暇・休業制度、およびベネフィット・ステーション(福利厚生サービス)[7]の利用が可能です。休暇・休業制度に関しては、育児休業、介護休業のほか、結婚休暇、配偶者の出産休暇、服喪休暇、赴任休暇、介護休暇、子の看護休暇など、すべての制度が利用可能になっています。
こうした各種制度を申請する際には、本来は所属部署や個々の担当部署に申請する必要がありますが、アウティング[8]防止のため、LGBTQ相談窓口で一次請けする仕組みとしています。また、アウティング防止策の一環として、2021年6月には、一般社団法人Famiee(ファミー)が発行する、民間かつオンラインで入手可能で、住んでいる自治体に関わらず取得・利用できる家族関係証明書の第一弾「同性パートナーシップ証明書Famiee(ファミー)を導入。このように電通デジタルでは、自治体が発行する公的なパートナーシップ証明書以外の証明書を利用することもできます。
同2021年には、work with Pride(wwP)[9]が策定する、LGBTQ+に関する評価指標である「PRIDE指標」に、初めて申請。2021年度はブロンズ認定を受けています。
2022年6月は「ストーンウォールの反乱」[10]にちなんで「プライド月間(PRIDE Month)」と呼ばれており、世界各地でLGBTQの権利獲得を啓発するイベントが行われる月です。
電通デジタルでは、2022年6月28日、29日の2日間にわたり、セプテーニグループ、電通PRコンサルティングとともに3社共同でオンラインイベント「Online PRIDE 2022」を開催しました。この3社は、DJNの中でもDE&I、とりわけLGBTQに関する取り組みに力を入れており、PRIDE指標を獲得している、社内にLGBTQアライコミュニティを持っている、などの共通点があります。
「Online PRIDE 2022」では、1日目は「知る・共有する」、2日目は「学ぶ・考える」をテーマに、LGBTQの現状理解と、その課題解決について考えるセッションを行い、グループ横断でのべ380名が参加しました。
電通デジタルでは、今後もこうした機会を積極的に作ることで、社内のアライシップの浸透、およびDE&I活動を推進していきます。
脚注
1. ^ 東京レインボープライド2022(外部サイト)
2. ^ オフライン/オンライン両方に出展しており、電通グループのオンラインブースは、以下のWebサイトにて2022年9月まで閲覧可能。"電通グループ". 東京レインボープライド2022(外部サイト)
3. ^ "2022年度の東京レインボープライドに電通グループとして3年ぶりに出展". ウェブ電通報.(2022年5月18日)2022年6月21日閲覧。
4. ^ "DE&Iの取り組み". 電通デジタル. 2022年6月21日閲覧。
5. ^ 「SO」はSexual Orientation の略で、性的指向、好きになる相手の性という意味。「GI」はGender Identity で、性自認、心の性という意味。この2つを並べることで、すべての人が持っている、性的指向に関するアイデンティティ を指す。それを抑圧したり迫害する行為を「SOGIハラスメント」という。
6. ^ 「無意識な偏り」「自分でも意識できていない偏見」。自分自身が気づいていないものの見方や捉え方のゆがみ・偏りのこと。
7. ^ Benefit Station(外部サイト)
8. ^ LGBTQに関して、本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない性的指向などの秘密を暴露する言動。
9. ^ work with Pride(外部サイト)
10. ^ 1969年6月28日、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」に警察が踏み込み捜査を行い、客や従業員を逮捕。その場に居合わせた客などが警察に立ち向かい、暴動に発展した事件のこと。この事件は、LGBTQ当事者による権利獲得運動の重要な契機となった。
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