2021年04月20日

コラム

「リアルな世界が、私たちを強くする」 ――パフォーマンスを最大化するオフィスへ

※所属・役職は記事公開当時のものです

電通グループは環境変化に合わせた構造改革の一環として、「オフィス環境の進化」を推進しています。電通デジタルではいち早くこれを実行し、2021年2月にそれまで電通本社ビルと住友不動産 汐留浜離宮ビル(浜離宮ビル)の2か所に分かれていたオフィスを本社ビルに集約。さらに組織のパフォーマンスを最大化できる場を得ました。慣れ親しんだ浜離宮ビルを離れるにあたり、社員に向けたオンラインイベント「最初で最後!ハマフェス!浜離宮感謝祭(以下、ハマフェス!)」が開催され、浜離宮ビルへの別れとともに、次に進むための新たな決意の場にもなりました。

また年内には、目指すワークスタイル「Performance Based Working」の実現を加速するものとして、電通デジタル本社オフィスのリニューアルが予定されています。そこで、「ハマフェス!」開催の舞台裏や新しいオフィスのコンセプトなどについて、事業戦略室部門長 大松正人と総務部部長 飯野将志に話を聞きました。

浜離宮ビルに別れを告げ、新しい働き方へとつながるイベントを開催したい

――「Performance Based Working」という目指すワークスタイルを掲げた中で、「ハマフェス」を企画した狙いは何でしょうか?

大松コロナ禍前までは、社員にとってオフィスは仕事をするうえで切っても切り離せない存在でした。それがコロナ禍で少しずつあり方が変わっていった。出社率やコスト面を考えれば、浜離宮ビルとの別れは社員も納得できるものだったと思います。

しかし理屈のうえでは理解できても、愛着と誇りがあったオフィスが、リモート勤務化の中でケジメをつけずにすっとなくなっていく「気持ちの落しどころがない」ことが、一番解決したい課題でした。それで、次に向かって前向きにスタートが切れるようなイベントを開催しようと思ったんです。

オンラインで開催された「ハマフェス!」の様子。司会の大松正人(左)と飯野将志

オンラインで開催された「ハマフェス!」の様子。司会の大松正人(左)と飯野将志

――「ハマフェス!」は、浜離宮ビルにまつわるエピソードを語るところから始まり、備品抽選会、CSRチームからのお知らせ、電通本社ビルでの新しい働き方について語り合う内容でしたね。

大松イベントは社員が気軽に楽しめる内容にしていますが、イベントを通して感じてもらいたいストーリーを組み込みました。最初に社員から集めた浜離宮ビルへの感謝エピソードなどを取り上げ、備品抽選会やCSRの話を織り込みながら、最後に、自分たちにとってオフィスはどういう存在なのかを語り合うものにしたいと思いました。どんな目的やマインドで、何のメリットを得るためにオフィスに行くのかを考えたときに、あるべきオフィスとはどういうものなのかなと。

過去、現在、未来といった構成を意識して、「次に進むぞ」というところにつながるように設計した企画だったので、多くの人に参加してもらえて、やってみて良かったですね。

キラーコンテンツになった備品抽選会

――中でも盛り上がったコンテンツは何でしょうか?

飯野特に「備品抽選会」は盛り上がっていました。浜離宮ビルで使っていた家具や電化製品は、退去に際して中古買取業者に売却処分する予定になっていたのですが、社員も購入できることにしたんです。全社員約1500人の44.4%にあたる665人の社員から応募がありました。応募備品数は2622点で、平均倍率2.73倍でした。

大松 備品抽選会は、まさに「ハマフェス!」にマッチした企画でした。社員にメリット還元するシンプルな意義もありますが、社員間で話題になりやすい強力なインナーコミュニケーションでもあり、ハイグレードな椅子やモニターなどを社員の自宅に届けてリモートワーク環境をパワーアップさせるといった、副次的な目的がありました。また、抽選にして当日発表するというコンテンツにしたことで、社員の「ハマフェス!」に対する関心度が上がり、繁忙期のランチタイムにもかかわらず全社員の3分の1以上が視聴する結果となりました。

社員に還元した浜離宮オフィス内の備品

社員に還元した浜離宮オフィス内の備品

大松備品抽選会は「目玉商品の説明」と「抽選」とで2回に分けて、その間に、ぜひ聞いてほしいCSRチームのSDGsへの取り組みなどの話を入れました。SDGs、サステナビリティなどは社員にも知ってほしい大切なテーマですが、関心を得るのがなかなか難しいものです。キラーコンテンツの間に挟み込むことで、聞いてもらえる状況を作ることができました。

SDGsの取り組みを表舞台に出し、気運を高める

――CSRチームからは、サステナビリティ、SDGsをキーワードに、「今後はクライアントの課題解決とともに、その先の社会課題解決まで見つめられる戦略が大事になる」と話されていました。また、浜離宮ビルを退去する前に、「まだ使えそうBOX」を設置してリユースを促進した取り組みについても紹介されていましたね。

飯野オフィスの統合にあたっては、環境に配慮したゴミの分別など、いろいろな取り組みがありました。「まだ使えそうBOX」もその1つです。退去の際には捨てるものがたくさん出ますが、その中でまだ使えそうなものをこのBOXに入れてもらって、欲しい社員に配布したり、寄贈したりするんです。

こうした取り組みは、大切なことなのに、ひっそりとやるだけだと気運が高まりませんから、会社が大事にしている考え方やSDGsを「ハマフェス!」で注目してもらえる仕掛けができて良かったです。

各フロアーに設置された啓発ポスターと「まだ使えそうBOX」

各フロアーに設置された啓発ポスターと「まだ使えそうBOX」

とりあえず行くオフィスから、目的をもって行くオフィスへ

――「ハマフェス!」では、電通デジタルが目指すワークスタイル「Performance Based Working」の考え方とオフィスについて、飯野さんが話されていました。働く場所の1つであるオフィスを本社ビルに集約された今、期待する効果を教えてください。

飯野組織のパフォーマンスを高める意味においては、物理的距離がなくなったのは1つのメリットだと思います。ただコロナ禍ではあるので、即効的に新しいシナジーが生まれるのは難しいでしょう。アフターコロナにおいて、しっかり推進していくことになると思います。

単純にオフィスを一か所にすれば良いという状況ではなくなりましたから、さらにオフィスも変えていかなくてはいけないと考えています。「とりあえず行くオフィス」ではなく、これからは「目的をもって行くオフィス」になるので、その目的のための空間がないと行く意味がありません。目的をもって出社した人たちのコミュニケーションが生まれ、物理的距離を感じさせないオフィスに仕上げる必要があります。

――「ハマフェス!」では、社員の皆さんから何をやる時に汐留に行きたいか、メッセージを集めて紹介されていましたね。

飯野「人と会いたい」「話したい」が一番多く、次いで「気分転換」「集中」でした。そして、オフィスに欲しいものとしては「ホワイトボード」「スタジオ」があげられていました。

私は皆さんの声を聞いて、これまで考えてきたことは間違っていなかったんだと思いました。実は、オフィスに実装する機能として、「合宿(ハックルーム)」「観察(チームホーム)」「体験共有(スモールラウンジ)」「雑談(グループラウンジ)」などを想定していました。

電通デジタルでは以前から新しいワークスタイルに基づいた取り組みを行っています。その中で、会社が社員に「どのような振る舞いをしてほしいのか」を議論して、オフィスで行ったほうがより高まるもの、オフィスでなくてもできることを図にした「ワークプレイス エクスペリエンス」を作成しました。そしてこれに基づいて、オフィスに実装する機能を構想しています。

社員に求める振る舞いを分類した「ワークプレイス エクスペリエンス」

社員に求める振る舞いを分類した「ワークプレイス エクスペリエンス」

リアルな世界が、私たちを強くする

――最後に、現在構想中の新オフィスのコンセプトを教えてください。

飯野コロナ禍でリモートワークを1年間行ってきて、リアルなコミュニケーションの希少性や「リアルだからできること」を知ることができました。「リアルってなんだろう?」と考えると、声が聞こえる、笑顔が見える、相手の勢いやエネルギーが感じ取れるなど、いろいろあります。

それがわかった今、私たちはオフィスコンセプトを「REAL empowers us. ~リアルな世界が、私たちを強くする~」としました。

リアルだからこそ強くしてくれる何かのために、「私は今日、オフィスへ行く」、そう思えるオフィスにしていきたいと思います。なお、業務目的だけがオフィスに行く目的だとは思っていません。気持ちを高めるだけではなく、気持ちを切り替えることもオフィスが果せる機能だと考えています。

大松私は会社のオフィスが大好きで、リアルで人と会う必要がなくても出社するタイプです。逆に「ずっと自宅でやってくれ」と言われたら、パフォーマンスが下がると思います。こんなふうに、「オフィスにいったほうが仕事がしやすい」と思う感性もあれば、そうではない人もいる。出社するもしないのも、自由に選択できるのが理想的な環境だと思っています。

出社することが絶対的に正しいわけではなくて、成果に向けて何がベストなのかを、なるべく多様な選択肢の中から、社員一人ひとりが自由に選択できる状況が目指すべき姿ではないでしょうか。合宿ルームや雑談ルームといった選択の幅を増やすことを構想中ですが、それぞれのスタイルよって選択できれば良いですね。

飯野アンケートなど、社員の皆さんの声を聞きながらあらゆる可能性を追求しています。電通本社ビル内の新オフィスは年内完成予定です。楽しみにしていてください。