2022.10.18

「転職して以来、フルリモート」でも組織に馴染むには?電通デジタルに聞く「中途入社の壁」を打ち破る方法

写真左から、事業戦略室 育成企画部で中途採用者の支援を担当している安田祐太氏と、2021年に入社した安河内 遥氏(アカウントイノベーション部門 アカウントマネジメント部)、神田一樹氏(事業戦略室 マーケティング企画部)、川崎真奈里氏(ビジネストランスフォーメーション部門 カスタマーサクセス第2事業部)

転職は一般的になったのに、新しい仕事に、チームに、会社に馴染むことの難度は上がっている。リモートワークが増え、「入社直後から自宅でひとり勤務」となることさえ珍しくないからだ。中途採用に積極的な企業にとっても、ニューカマーをどのように迎え、どのように活躍してもらうかは、ますます大きな課題となっている。その解決に取り組んで成果を出している電通デジタルと、同社への中途入社者に、経験談を語ってもらった。

※この記事は2022年6月20日にBusiness Insider Japanに掲載された記事を転載しています。

※所属・役職は記事公開当時のものです

電通デジタル
事業戦略室
育成企画部

安田 祐太

電通デジタル
アカウントイノベーション部門
アカウントマネジメント部

安河内 遥

電通デジタル
事業戦略室
マーケティング企画部

神田 一樹

電通デジタル
ビジネストランスフォーメーション部門
カスタマーサクセス第2事業部

川崎 真奈里

入社する側、迎える側の双方の思い込みが「壁」になる

──まず、みなさんが電通デジタルに転職するまでの経歴と、入社後のお仕事を教えてください。

神田一樹氏(事業戦略室 マーケティング企画部:以下、神田) : 2011年に新卒で人材関連企業に入社し、そこからグループ内異動のような形でウェブ広告畑に移りました。電通デジタルには2021年7月の入社で、今はウェビナーの運営や広告出稿のディレクションなどを担当しています。

安河内 遥氏(アカウントイノベーション部門 アカウントマネジメント部:以下、安河内) : 私は電通デジタルが3社目で、新卒で総合営業職として大手証券会社に入り、2社目は外資系コンサルティング会社でした。前職では海外案件に特化したチームに入ってITやリスク管理などの分野を担当しました。3社目でやっと念願の電通デジタルに入社しまして(笑)。これが2021年の5月で、今は統合マーケティングのプランナーをしています。

川崎真奈里氏(ビジネストランスフォーメーション部門 カスタマーサクセス第2事業部:以下、川崎) : 私、学歴が少し変わっていて、大学を卒業した後に栄養士の資格を取るために専門学校に通ったんです。前職は食品系の通信販売会社で、そこで3年間マーケティングや商品企画、事業企画、事業部の立ち上げ、それから人事もちょっと担当しました。2021年9月に電通デジタルに入り、現在はデジタルマーケティングに関するコンサルティングやマーケティング戦略などを手掛けています。

安田祐太氏(事業戦略室 育成企画部:以下、安田) : 私は電通デジタルでみなさんを迎えた側ですが、私自身も転職組です。新卒でデジタル広告の代理店に入社しましたが、2年目で転職して、電通デジタルの前身の1社であるネクステッジ電通に入りました。そこからデジタル広告のコンサルティングと運用をやってきたんですが、2018年から人材育成の領域にキャリアチェンジし、今は新入社員や中途入社者の支援を手掛けています。

事業戦略室 育成企画部の安田 祐太氏(やすだ・ゆうた)。新卒でデジタル広告の代理店入社。2014年に電通デジタルの前身であるネクステッジ電通に転職してデジタル広告のコンサルティングや運用を手掛けた後、2018年から人材育成を担当している。

──安田さんは、電通デジタルが年間400人規模という中途採用を進めているなかで、中途入社の方々が仕事や組織に馴染んでいけるように注力されています。中途採用者を迎え入れる企業側として、どういう考え方が必要なのでしょうか。

安田 : ここにいるみなさんも体験されたと思いますが、中途入社の場合、受け入れる側は「経験者が来る」「即戦力だ」と期待しているし、入る側もその期待に応えたくて「すぐにパフォーマンスを出さなくては」「分からないことを聞くのは恥ずかしい」というプレッシャーを抱えている。中途採用者が入社して最初に戸惑うのは、そうしたケースがほとんどなのですが、どれもだいたい「思い込み」なんです。会社には形になっていない文化や暗黙知がたくさんあって、外から来た人には分かりにくいのが当たり前だと気づいていない。

神田 : よく分かります。

安田 : 大事なのは、双方の歩み寄りです。入る側は、分からないことは「教えてください」と聞く。受け入れる側は「たとえ経験者採用でも入社当初は会社のことは分からないことだらけ」というのを前提とする。これができれば「思い込み」による中途入社の壁はほとんどなくなると思います。

──「中途入社の壁」をなくすために電通デジタルでは具体的にどのような取り組みをしていますか。

安田 : 入社する人に「新しく入ってきた人はこういうことで困ることが多い」という事柄をチェックリストにして共有したり、トレーナーを必ずアサインしたりといった仕組みを、全社に広げています。かつては部署ごとの取り組みでしたが、今は会社全体でそれを当たり前にしようと。

上司やトレーナー担当の社員はもちろん、入社する人も、チェックリストにアクセスしたり、僕たち人材育成担当者からリマインドを受けたりして、相手や自分がどこでどういう壁にぶつかりそうになっているのかに双方が気づいて歩み寄れるようになっています。入社する側も受け入れる側も、仕事だけでも忙しいわけですから、組織に馴染んだり人脈をつくったりという点については後回し、下手をすれば放ったままになりかねません。そうならないように仕組みをつくって積極的に利用するように促していこうというのが、今、進めている取り組みです。


「分からなくて当然」だからこそ手厚いケアとフォローを

アカウントイノベーション部門 アカウントマネジメント部の安河内 遥氏(やすこうち・はるか)。証券会社、コンサルティング会社を経て2021年に入社。

──2021年に入社した3人の場合、転職後の会社の対応をどう受け止めましたか。

安河内 : 私の場合、業界未経験者だったため、半年間もトレーナーがついてくれました。しかも、トレーナーの方が部門の中で非常に優秀な方だったため、入社直後から最高のものを見せてもらえた。それがとてもありがたくて。そのおかげで自分が目指すレベルも高くなったし、見える世界もかなり広がったなと思っています。

神田 : それって逆にハードルにはなりませんでした?

安河内 : さきほどの安田さんの話のように「早く即戦力にならなきゃ」といったプレッシャーはありましたが、いきなりその人と同じにはなれないので、自分が達成できそうなレベルの具体的な目標を設定して、トレーナーと相談していくことで、少しずつステップアップできたと思います。トレーナーがとても懇切丁寧に教えてくれたので、本当に「ありがたい」の一言でした。

神田 : なるほど。僕の場合、同じ部門で2人も付いてくれたんです。

安河内 : すごい!

事業戦略室 マーケティング企画部の神田 一樹氏(かんだ・かずき)。新卒で入社した人材関連企業を経て、2021年7月に電通デジタルに入社した。

神田 : 2人とも、年齢が比較的僕に近い人で、「この人はどういう役割を担っている方ですか?」といった担当業務についての質問をずいぶんしました。私がいる部署ではウェビナーを開催したり、オウンドメディアの記事を作ったりするので、そこに登場してもらう社内のいろいろな分野のスペシャリストを把握している必要があるんです。誰が何に詳しいのか、自分が困ったときに誰に質問すればいいのか、それがいちばん最初に知りたいと思ったことでした。そういった細かい質問に対してまでも丁寧に教えてもらいました。

また、トレーナーには3カ月くらいの間、週に1回、30分から1時間ほどの1on1の時間を取っていただき、困っていることからプライベートな話までさせてもらいました。

川崎 : いいなぁ、私もトレーナーさん、付いてほしかった(笑)

安田 : 川崎さんは、トレーナーが全社で必ず付くようになる直前の入社だったんですね。それまでは部門ごとなどの判断になっていたので。

川崎 : 私は「トレーナー」がいなかったことで困ることがあったわけではありません。入社したときには人事から「何か困っていることはないですか」とリマインダーがありましたし、部署内でも2カ月ほどは毎日同じプロジェクトの人たちとすぐに話ができるよう繋いでもらっていました。その後も1on1の面談が2週間に1回、今でもあります。


オンラインとマスクで顔・名前・職種が一致しなくても

ビジネストランスフォーメーション部門 カスタマーサクセス第2事業部の川崎 真奈里氏(かわさき・まなり)。食品通販会社を経て2021年9月に電通デジタル入社。

──入社したらまず一緒に仕事をする人たちについて知ることがとても重要で、でも、リモートワークではそれがすごく難しいですよね。転職者のみなさんはどのように対処しましたか。

安田 : コロナ禍以降の中途採用者は、オンラインでは面識があったとしても、リアルでは初対面というケースがほとんどです。

神田 : オンラインミーティングだと参加していても画面に顔を出さない方もいますし、顔と名前とスキルがなかなか一致しない。だから、入社して1カ月ぐらいはオンラインの社員名簿を名前で検索して「あ、こういう人なんだな」とか、「こういう肩書の人にはこれを聞こう」とか、試行錯誤していました。

川崎 : 顔と名前の一致は、難しいですよね。正直なところ、今でも2回ぐらいしか会ったことのない方だと、名前や部署が出てこなくて困ることがあります。

神田 : しかも、顔が見えてもマスクをしている(笑)。

安河内 : そうですよね。ありがたかったのが、部門長とグループ長が「安河内さんに近そうな人がいるから紹介する」とつないでくれたことです。部門別の推奨出社日というのがあり、出社した際に日頃接点がない人達が呼び集められて「何だろう?」って思っていたら、「同時期ぐらいに入社した同期だから、仲よくしてね」と。そこから本当に仲よくなったり、新卒で入った人とも「年齢が近いから」とマッチングしてもらったりで、横のつながりができました。

安田 : トレーナーや上司というのは縦の関係で、一方、同期とか同年代というのは横の関係ですよね。僕たちのように中途で入ると「同期」という関係をつくるのは簡単ではありません。縦でも横でもない斜めの関係というのもある。そういう縦ではない人間関係というのはとても重要で、でも、リモートワークではつくりづらい関係性でもありますから、その構築をどう支援していくかも僕たち人材育成担当の課題です。

──電通デジタルは2016年に700人でスタートして、それが今はもう2,000人超。さらに遠からず4,000人体制を目指されているそう。年間400人というペースで中途採用を続ける中で、人材を迎え入れるための体制づくりはますます重要になりますね。

安田 : 新しい仕事、新しい職場ですから、分からなくて困るというのは当然で、恥ずかしいことでもなんでもありません。分からなくて困っている人をいかに減らすかが重要だと考えています。もともと中途入社者が多く助け合う文化が根付いている電通デジタルではありますが、トレーナーのアサインをはじめ、制度としてもさまざまな場面でサポートできる取り組みを進めています。これは中途採用での入社を考えている方に、ぜひ知っていただきたいポイントですね。

※この記事は2022年6月20日にBusiness Insider Japanに掲載された記事を転載しています。

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