2023.12.04

メタバース空間でカローラシリーズを若年層にアピール。 SNSと組み合わせたコミュニケーション設計を実現

トヨタ・コニック・プロ株式会社

トヨタ自動車のマーケティング施策を担うトヨタ・コニック・プロ株式会社。トヨタ自動車の主要車種として長い歴史を持つ「カローラシリーズ」を若年層に向けてリブランディングするべく、2022年10月、メタバース空間でのプロモーションを展開しました。どのような施策を実現したのか、プロジェクトメンバーである電通デジタルの木地山和樹、齋藤舞に話を聞きました。

  • カローラシリーズを若年層にも認知してもらいたい
  • メタバース空間で新しいプロモーションにチャレンジしたい

  • メタバースでブランドイメージの世界観を構築
  • SNSと組み合わせ、メタバースに閉じないコミュニケーション設計を実現

  • 32万人が参加したメタバースイベントでブランドイメージを訴求
  • カローラへの関心度が「上がった」と答えた人が72%

若年層をターゲットにカローラシリーズのリブランディングを図る

――今回のプロジェクトでは、トヨタ自動車「カローラシリーズ」のブランドイメージをメタバース空間で表現しました。元々トヨタ・コニック・プロ様は、どのような課題感を持っていたのでしょうか。

木地山:カローラシリーズは、トヨタの中でも主要車種として長い歴史のあるブランドです。ただ、所有者としては50代、60代を中心としたアッパーマス層が多いという状況でした。そこで数年前から若年層をターゲットに定め、リブランディング戦略を進められていたのです。

実際、カローラシリーズのイメージを若者にアンケートで聞いてみたところ、特に中高年男性向けの車という印象があるわけではなく、フラットな結果が出ました。

電通で制作したテレビCMが、メタバース空間をモチーフにした企画となっていたこともあり、若者と親和性の高いメタバースでのプロモーションにチャレンジしたいというクライアント企業の意向により、今回の施策に繋がりました。若年層の車離れが多く語られる中で、まずはブランドに接点を持ってもらうための施策として企画されました。

木地山和樹(電通デジタル 戦略アカウントプランニング部門 プランニング第2事業部 プロデュースグループ)

――今回は、クラスター社の渋谷区公認メタバースプラットフォーム「バーチャル渋谷」のハロウィーンイベントに参加する形で実施しています。この経緯を教えてください。

齋藤:最初は、自分たちでオリジナルのメタバース空間を作って、車の色を変えられるなど、車好きの人がカスタマイズして楽しめるものにしようと提案していました。ただ、トヨタ・コニック・プロ様と協議を重ねる中で、人が集まるイベントに出展した方が良いという話になり、バーチャル渋谷のハロウィーンイベントが合致したのです。

また、単純に広告を出すだけではなく、ユーザーが自主的にSNSで拡げていってほしいという強い意向もあり、その前提で企画をまとめていきました。

齋藤舞(電通デジタル エクスペリエンスプロデュース部門 ビジネスリード第1事業部 第2グループ)

記念撮影からSNSへ投稿、ブランドへの関心度が上昇する施策

――具体的にはどのようなキャンペーン施策だったのでしょうか。

齋藤:メタバースプラットフォーム上にカローラ特設ワールドを制作しました。特設ワールドへの入り口は、ハロウィーン仕様にデコレーションされた渋谷の街に設置した「カローラ スポーツ」の3Dモデルです。ここで我々がこだわったのは、道の大きさに対して等身大のサイズ感にするということです。ネオンなどの写り込みも精緻に計算して再現し、リアル感のあるかっこいい車体が設置できたと思います。

特設ワールドの中に入ると、5つのフォトパネルがあり、そこで自分のアバターと記念写真を撮れるようにしました。ここで意識したのは、アバターとパネルが、きちんとその世界観に溶け込んで見えるようにすることです。床面にもフォトパネルのデザインを延長させるなどの工夫をしました。

日替わりで、ドラキュラやフランケンシュタイン、魔女のキャラクターと一緒に写真を撮れるようにしたところ、多くの人がSNSに投稿してくれていましたね。また、SNS上では自分のSNSアイコンが、キャラクターの顔に自動合成されるジェネレーターを用意し、壁紙プレゼント企画も同時実施。SNSに投稿するモチベーションを喚起する仕組みとして、とても有効だったと思います。

Zoom

――参加者の反応はいかがでしたか?

木地山:後日、参加者へのアンケートを取ったところ、コンテンツの満足度に対しては、74%の方が「満足した」と回答、カローラシリーズへの関心度も72%の方が「上がった」と回答してくれました。

また、イベント前後で比較すると、マイナスイメージの指標が下がり、「若者向け」「自分たち向け」などプラスイメージの指標が上がったという結果も出ました。

1週間のイベント期間中に、カローラシリーズの特設ワールドに入った人数は8000人ほどで、今回出展した企業の中で、単独アトラクションでは一番多かったようで、多くのユーザーに興味関心を持ってもらえたと思います。

――今回のプロジェクトの成果をどのように見ていますか?

齋藤:バーチャル渋谷のハロウィーンイベントには32万人と多くの人が参加しました。この場所に、カローラシリーズを設置できたのは、若者との接点作りに大きく貢献できたと思っています。

大変だったことは、すでに渋谷の街として出来上がっているメタバースプラットフォームだったこともあり、特設ワールドで作れるコンテンツが限られている中、いかに多くの人に接点を持ってもらえるような場にするのか、何度も企画案を練り直ししなければなりませんでした。そうした中でも、メタバース空間にとどまらず、SNSとの連動などデジタル空間全体を巻き込む形でコミュニケーションを設計できたのは、電通デジタルならではの強みであると思います。

テクノロジーは一つの手段。コミュニケーション全体の設計が成功の鍵

――今後は、トヨタ・コニック・プロ様とどのような施策を進める予定でしょうか。

木地山:メディアの広告だけでは、若年層にはなかなか響かない時代になってきています。自分の興味がある情報だけに接しがちな若年層に対して、共感してもらえるポイントを拡げて、自分ごと化してもらうことが重要です。KOL(Key Opinion Leader)やインフルエンサーの方と組んで、SNSを中心とした接点作りを今後もしていきたいですね。

齋藤:トヨタ自動車は今、「全方位戦略」として、EV(電気自動車)に限らず、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、水素を使った燃料電池車まで、国や地域に根付いた最適な車を、全方向で開発されていると伺っています。そうした多様なトヨタ自動車の技術を、しっかりと発信していけるようなお手伝いもできたらと思っています。

――最後に、今回のメタバースなどのデジタル施策に対する電通デジタルの強みや今後の目指す方向性を踏まえ、読者の皆さまにメッセージをお願いいたします。

齋藤:メタバースという言葉が出てきて数年が経ちましたが、こうしたテクノロジーは一つの手段でしかなく、どのような新しいテクノロジーが出てきても変わらず大事なのは、その中で何をやるかです。技術をどう組み合わせ、全体のコミュニケーションをどう設計するかで、施策が成功するか失敗するかは大きく左右されてしまうと思っています。

今回のプロジェクトを通じて、メタバースの可能性は無限にあると思いながらも、しっかりとした企画提案の重要性を改めて感じました。メタバースに限らず、Web3など新たな分野での提案もできる部署が電通デジタル内にも立ち上がっています。とはいえ、トレンドを追えば、必ず成功するとは限らないので、技術に踊らされることなく、総合的に設計された施策を求めている企業様は、ぜひお声がけいただければと思います。

木地山:若者の車離れやカーボンニュートラルなど、自動車業界を取り巻く環境は大きく変化してきています。こうした状況を踏まえたマーケティングやブランド構築など、電通グループ全体で支援できる環境が整っているので、ぜひご相談いただければと思います。

EXPERTS

エキスパート

戦略アカウントプランニング部門 プランニング第2事業部 プロデュースグループ

木地山 和樹

エクスペリエンスプロデュース部門 ビジネスリード第1事業部 第2グループ

齋藤 舞

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