2021年09月21日

デジタルトランスフォーメーション

コラム

自社が向き合うべき

※所属は記事公開当時のものです。

社会的不満が多様化する現代において、"いかに社会的不満を解決し、社会を豊かにする顧客体験を創造できるか?"が、企業に強く求められる時代となりました。自社・生活者・社会の"三方良し"とする顧客体験創造のために、向き合うべき"社会不満"の方角を見つけることを支援する「Social Pain Compass」チームが、今注目しておきたい社会課題をご紹介してきました。


※ 上記はサンプル画像のため、具体的な"Social Pain Keyword"を、伏せて掲載しております。

最終回である今回は、「地球・自然」に関する"Social Pain"にフォーカスを当てていきます。

「地球・自然」の方角では、「環境」「災害」「動物・ペット」の3つの"Social Pain"探査テーマごとに、"Social Pain"と"Social Pain Keyword"をご紹介します。

テーマ「環境」での注目の"Social Pain":無自覚な環境負荷加担

「環境」の"Social Pain"探査テーマには、「環境問題意識の遅れ」「ごみ汚染」「食による環境破壊」「気候変動」「森林破壊」などに関する社会不満が見えてきました。その中から、「無自覚な環境負荷加担」に関する"Social Pain Keyword"を紹介します。

Keyword No.008「大量消費・大量廃棄社会」

環境問題はメディアでもよく取り上げられ、多くの方が課題意識をもっていることと思います。しかしながら、当たり前で快適な生活の中で、知らず知らずのうちに環境破壊に加担してしまっているケースが多々あります。

例えば「食品ロス」。深刻な飢餓状況にある後進国や途上国が存在する一方で、先進国では消費されずに廃棄となる食品が多く、問題視されています。

日本では、近年、恵方巻やクリスマスケーキの廃棄問題がニュースなどで頻繁に取り上げられるようになって、食品廃棄は社会の関心を集めつつありますが、今なお年間約600万トンの食品を廃棄しています。これは、大型トラック(10トン車)に換算すると、毎日約1,640台分の食品を捨てていることになります[1]

さらには、食品だけではなく、ファストファッションが普及し、手軽に新しい服を購入できるようになった半面、まだ十分に着られる衣服も大量に廃棄されています。環境省が2021年6月に発表した「SUSTAINABLE FASHION」によると、日本の1人あたりの衣服の年間消費・利用状況は、購入枚数が18枚に対して、手放す服は12枚。1年間に1度も袖を通さない服が25枚もあります[2]

いずれも、個人の無駄遣いのレベルにはとどまらない、流通等の事情により事業者側で大量に廃棄せざるを得ない背景があり、政府、企業、消費者が一体となり社会全体で早急に取り組んでいくことが求められています。

そんな中、デジタルプラットフォームなどを活用して、廃棄されそうな食品を安く購入できる「フードシェアリングサービス」や、必要とする人に共有したり譲ったりできる「ファッションのシェアリングサービス」など、廃棄を減らす取り組みが始まっています。さらに、アパレルの再販システムや廃棄服のアップサイクルなど、廃棄しないで済む新しい選択肢も登場しています。

 

手入れ等によりモノがごみになるまでの期間を延ばす支援、不要になったモノの形を変えて新しい価値を提供する支援、そして、捨ててしまうモノを必要な人へ届ける、または、シェアし合うコミュニティづくりなど、サポートは様々です。

安くて便利だけど環境負荷の大きい大量消費・大量廃棄社会から、お財布にも地球にも優しい循環型社会へ変わっていくことが期待されます。

テーマ「災害」で注目の"Social Pain":避難所後進国

「災害」の"Social Pain"探査テーマでは、「進まない災害復興」「新災害脅威」「抜け目多き災害大国」などに関する社会不満が見えてきました。その中から、考え方や行動様式が多様化した現代において課題視されるようになった「避難所後進国」に関する"Social Pain Keyword"を紹介します。

Keyword No.023「ユニバーサルでない避難所食」

外国人労働者の増加や海外旅行がしやすくなったこと、食物アレルギーや生活習慣病などにより、近年、食の多様化やグローバル化が進んでいます。

一方で、災害時に避難所で提供される食事は、保存性能や確保可能性が優先されがちなため、宗教上の理由により食べられる食材が限定されている人、アレルギー保持者、特定疾病患者などのマイノリティに対する配慮が行き届かないことも課題視されています[3]

避難所食のユニバーサル化が停滞することで、災害時の食を起点とする身体的被害やその拡大、ストレスなどの精神的苦痛等のリスクの高まりも懸念されます。

そんな中、避難所という緊急事態の現場においても、食の分野で幅広い価値観、人種、年齢などを尊重できるよう、非常食と避難所の両面を整備する動きもあります。

例えば、アレルギー物質28品目対応食、ハラル対応食、野菜が取れる非常食や、避難所において避難者のIDカードを配布することで人流や食料分配を円滑にする、デジタルを活用した「支援物資配給システム」などが開発され始めています。

 

コロナ禍において、災害発生時に衛生面・物資調達面から、避難所での食事の種類はより制限されることも予想されます。災害が多い日本において、近年、異常気象や地震発生時など防災への機運が高まる中、避難という緊急事態下の環境においても幅広い価値観、人種、年齢などを尊重できる社会になっていくことが求められています。

テーマ「動物・ペット」で注目の"Social Pain":飼い主のモラル低下

「動物・ペット」の"Social Pain"探査テーマでは、「アニマルライツの侵害」「終生飼育の壁」「社会と飼い主の意識ギャップ」などに関する"Social Pain"が見えてきました。その中から、知識不足のまま飼い主になることなどが原因で課題視されるようになってきた「飼い主のモラル低下」に関する"Social Pain Keyword"を紹介します。

Keyword No.038「ペットの健康の無責任管理」

コロナ禍における不安もあいまって、ペットに関する不安や健康管理意識が高まっています。しかし、ワクチン接種や定期的な健康診断が必要だと感じているにも関わらず、定期的に健康診断をさせている飼い主は4割にすぎず、1度も健康診断をさせたことのない飼い主が今なお2割もいるなど[4]、行動に結びつけられていない飼い主も多いのが現状です。

理由として、約半数が費用負担をあげていますが、「今はペットが健康だから必要ない」「健診に行く時間がない」という回答がともに10%あり、ペットの健康に対して無責任な考え方を持つ人がいるのも事実です。

また、ペットにかかる費用の1ヵ月あたり平均額は、犬9,360円、猫6,673円[5]。さらに、一番支出額が大きいと感じるものは、犬飼育者、猫飼育者ともに「病気やケガの診療費」であり、次いで「ワクチン・健康診断などの予防費用」「フード、おやつ」が挙がりました[6]。手術など大きな支出でなくとも、日々コストがかさんでいることがうかがえます。

そんな中、直接的なコスト面でのサポート、健康診断のハードル低減として、獣医療のDX化を促進し、待ち時間や通院負担を軽減する「獣医師往診サービス」が提供され始めています。

また、デジタルプラットフォームなどを活用して、飼育の記録やペットの様子を可視化することで、ペットと飼い主のコミュニケーションを活性化するサービスが登場しています。他にも、ペット飼育初心者はもちろん、飼育に不安を抱える飼い主向けの学び直しの機会として、健康情報や専門家が読み解くペットの気持ちなどを、オンライン講義形式で配信する取り組みも始まっています。

まずは、飼い主に商品やサービスの使いやすさを感じてもらう。それを起点に、自然と飼育リテラシーを向上させることが重要です。

結果として、夫婦や家族を超えた多様な飼育スタイルやコミュニティの普及を支援することに繋がります。ペットの健康管理に関する知識と飼育リテラシーを高め、ただ飼うのではなく、"健やかに飼う"が通底する社会となるよう、意識向上と手段の整備、両方が必要です。

自社・生活者・社会の" 三方良し"なDX・CX変革を起こしていく

今までの連載では「暮らし」「人生」「社会」に関連する"Social Pain"を取り上げ、最終回である今回は「地球・自然」に関する3つの"Social Pain Keyword"について簡単に紹介しました。

連載では紹介しきれなかったものも含めると、200個を超える"Social Pain Keyword"を抽出し、"Social Pain Keyword Book"にて"Social Pain"の実態を詳細にまとめています。

さらに、15個の"Social Pain"探査テーマごとに、"社会的不満"のカテゴリーを分類・整理した【1】Social Pain Category Mapシート、各カテゴリーに含まれる社会的不満キーワードを示す【2】Social Pain Keyword Mapシート、各キーワードに関連するワードの総ツイート数をランキング化した【3】Social Pain Rankingシートも"用意しており、これらの情報シートを用いながら、スピード感を持って、企業の業種やターゲット層と関連性の高い"社会的不満"の探索を支援しています。

「Social Pain Compass」を活用したサービスの詳細情報はこちら

「Social Pain Compass」の紹介資料DLお申し込み

「Social Pain Compass」の紹介資料です。
ダウンロードご希望の方は、こちらからご登録ください。

生活者、そして社会に真に望まれる変革を起こすためには、「その変革によって、自社がどんな社会課題を解決し、社会に対してどのような存在意義(パーパス)を発揮できるのか?」を考えることこそが重要だとFu-man insight lab®は考え、企業が、自社・生活者・社会の「三方良し」なDX/CX変革を起こしていくための支援をさらに強化していきます。

「Social Pain Compass」に関する、より詳細な情報については下記までお問い合わせください。
お問い合わせ先:social_pain_compass@group.dentsu.co.jp

関連リンク

脚注

出典

1. ^ もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう". 政府広報オンライン.(2021年5月19日)2021年9月1日閲覧。
2. ^ 環境省_サステナブルファッション". 2021年9月6日閲覧。
3. ^ 大きなおにぎり、甘いパンの日々...不満言えない避難所生活者". 西日本新聞.(2020年4月1日)2021年8月16日閲覧。
4. ^ コロナ禍で、ペットに関連して不安を感じる人は7割。ペットとの暮らしの満足感が増した方は4割も!". Team HOPE.(2021年2月17日)2021年9月1日閲覧。
5. ^ ペットにかかる費用の1か月あたり平均額は?". 楽天インサイト.(2021年2月15日)2021年9月1日閲覧。
6. ^ ペットの支出に関する調査". アイペット損害保険.(2020年5月19日)2021年9月1日閲覧。