2021.08.24

自社が向き合うべき"Social Pain"の方角を見つけよう!

第2回:家庭/老後/ウェルネス/教育に関する“Social Pain”

社会的不満が多様化する現代において、"いかに社会的不満を解決し、社会を豊かにする顧客体験を創造できるか?"が、企業に強く求められる時代となりました。自社・生活者・社会の "三方良し" とする顧客体験創造のために、向き合うべき"社会不満"の方角を見つけることを支援する「Social Pain Compass」チームが、今注目しておきたい社会課題を4回の連載にわたりご紹介していきます。

※ 上記はサンプル画像のため、具体的な"Social Pain Keyword"を、伏せて掲載しております。

第2回目の今回は、「人生」に関する"Social Pain"にフォーカスを当てていきます。

「人生」の方角では、「家庭」「老後」「ウェルネス」「教育」の4つの"Social Pain"探査テーマごとに、"Social Pain"と"Social Pain Keyword"をご紹介します。

※所属・役職は記事公開当時のものです

CX戦略プランニング事業部
事業部長

田川 絵理

CX戦略プランニング事業部

廣田 明子

CX戦略プランニング事業部

毛利 天美

CX戦略プランニング事業部

奥田 成美

CX戦略プランニング事業部

木倉 由佳梨

テーマ「家庭」で注目の"Social Pain":産み育て不安の拡大

「家庭」の"Social Pain"探査テーマには「なくならない家庭内ジェンダー不平等」「ひとり親家庭の苦悩」「機能不全家族」などに関する"Social Pain"が見えてきました。その中から、コロナ禍で深刻化・表面化した「産み育て不安の拡大」に関する"Social Pain Keyword"を紹介します。

Keyword No.108「高まるマタニティ期不安」

約9割の妊婦が新型コロナウイルスの影響で、妊娠出産に対して不安を抱えています[1]。平時でも妊娠・出産や子育てには不安がつきものですが、コロナ禍でその不安はいっそう増しました。母親学級や両親学級の中止が相次ぎ、約6割の妊婦が情報不足を感じているように[1]、出産後のコロナ禍育児においても不安は膨らむばかりです。

新型コロナウイルスの影響は、妊婦自身やその家族の感染に対して一般家庭よりもセンシティブになっているだけではなく、通院への支障やコロナ病床の増大によって転院を余儀なくされたり、出産時の立ち会い・面会が希望どおり行えなくなったりと、出産イベント自体にも大きな影響が出ています。

加えて、コロナ禍とは関係ないところでも、マタニティ不安が広がっています。

近年は、「マタニティマーク」をつけた妊婦に意図的にぶつかったり、暴言を浴びせたりするといった事件の報道も見られます。本来は、妊婦へのやさしい環境づくりのためのマークであるにもかかわらず、こうした報道を受けて、マークを身に着けること自体に不安を感じ、敢えて控える人も存在します[2]

そういった妊婦の不安に対応すべく、IoTを活用した「オンライン妊婦健診」やスマートフォンでの「リモート立ち会い」「オンライン両親学級」といった、"Social Pain"解消に向けた動きも見られます。コロナ禍のDXにより、フェムテックやベビーテックの領域の進化が加速し、これらはアフターコロナの世界でも、妊婦やその家族が抱えるペイン解消に一役買うことでしょう。

そして不安解消にとどまらず、マタニティ期を、より快適に過ごすための新しいサービスも急ピッチで増えていくはずです。これまで、リアルに依拠することが多かったマタニティ期の様々なTODOがDX化することによって、コロナ禍で高まる不安の解消はもちろん、マタニティ期に新たな"カイ(解・快)"の形が増える社会になっていくことを期待します。


テーマ「老後」で注目の"Social Pain":シニア目線置いてけぼり社会

「老後」の"Social Pain"探査テーマでは「加速する高齢者の孤立化」「人生100年時代の新リスク」などに関する社会不満が見えてきました。その中から、デジタルデバイス/サービスの急速な普及により散見されるようになった「シニア目線置いてけぼり社会」に関する"Social Pain Keyword"を紹介します。

Keyword No.119「デジモノ苦手シニア」

近年、デジタル派のシニアは、オンラインイベントへの参加などの娯楽目的に加え、情報収集など生活基盤を整える用途でも、スマートフォンなどのデジタルデバイスを積極的に活用しており、大きくデジタルシフトが進んでいます。

その一方、若い人との接点がないシニアは、新しい仕組みに触れる機会がないなどの理由からこの流れに取り残されている兆候もあり、シニアの間で「デジタル格差」が広がっています[3]

デジタル化社会において、「デジモノ苦手シニア」は社会と積極的に関わりにくくなり、すでに問題となっている高齢者の孤立や孤独を増大させてしまうことが懸念されています。

そんな課題感に対して、まずは苦手意識を払拭するために、デジタルとは何なのか、という基本に立ち返った「シニア世代向けデジタル活用のための書籍」や、シニア世代にもなじみやすい音声操作サービスのほか、サービス活用に向けたeラーニング動画の配信など、情報提供の面でも、"Social Pain"解消に向けて支援が進みつつあります。

デジタルを敬遠しがちなシニア世代に対して、基礎から分かりやすく解説し、デジタルの良さを啓蒙することや、家族間コミュニケーションに積極的にデジタルツールを活用することもひとつの手です。また、デジタルサービスにおいても、シニアユーザーの存在を無視しないコンテンツづくりが求められています。すべての高齢者がデジタル化の波に乗り、新しい技術やサービスのメリットを享受できる社会の実現が求められています。


テーマ「ウェルネス」で注目の"Social Pain":子どもたちの新・健康リスク

「ウェルネス」の"Social Pain"探査テーマでは「医療弱者・健康弱者」「新ライフスタイル病」「揺らぐ現代メンタルヘルス」「脅かされる健康プライバシー」などに関する"Social Pain"が見えてきました。その中から、コロナ禍においてテレワークが普及したことで見えてきた「子どもたちの新・健康リスク」に関する"Social Pain Keyword"を紹介します。

Keyword No.132「子どもの夜型化」

日本人の睡眠時間は1日あたり平均442分(約7.4時間)と言われ[4]、OECD各国と比較しても極めて低い傾向です。実は日本は、約5人に1人が不眠に悩んでいるとも言われる「不眠大国」で[5]、その傾向は年々強まっています。

また、近年では、生活が夜型化した子どもも増加しており[6]、子どもの不眠も懸念されています。

「子どもの夜型化」の原因には、塾通いやスマホ遊びの長時間化が挙げられますが、コロナ禍に伴う休校や、オンライン学習の増加、運動機会の減少、日光を浴びる機会の減少などによって、今後さらに「子どもの夜型化」が加速すると考えられます。

夜型化による生活の乱れは、不登校の原因にもなりかねません。また、心身の不調を引き起こし、人間関係の悪化や学力・運動能力の低下など、様々な成長に悪影響を及ぼします。

子どもが夜型化し始める時期が早まっている点も問題視されており、早急に取り組まなければならない課題の一つです。

睡眠の質を改善する「スリープテック」は急速に発展しており、音や光、香りなどを用いて快適な睡眠環境の整備をサポートするIoTに、自身の睡眠状態を正しく知り、適切な睡眠習慣の構築をサポートするサービスなどが続々と登場しています。

こういった最新のテクノロジーを味方につけることで、テックの力を"補助輪"に、子ども自身がセルフマネージメント力を身につけやすい社会になっていくのではないでしょうか。


テーマ「教育」で注目の"Social Pain":生涯学習マインドの遅れ

「教育」の"Social Pain"探査テーマでは「増える教育弱者」「"生きる力"の学習機会不足」「教育ハラスメント」「学生生活の消失」などに関する社会不満が見えてきました。その中から、人生100年時代に必要とされる「生涯学習マインドの遅れ」に関する"Social Pain Keyword"を紹介します。

Keyword No.150「学ばない日本の大人」

人生100年時代を生き抜くべく、人生・キャリアのプラン設計の仕方も変えざるを得ない昨今、"大人の学び直し" の重要度が高まっています。

しかし、日本人就業者が、学習/自己啓発のために充てる時間は1日約6分という調査もあるように[7]、日本では、社会人になってからの学びに対する意識が低いという実態があります。

「60歳で定年を迎えてリタイア」という人生プランはすでに過去のものであり、さらにAIやロボットなどデジタル技術の進歩により、働く環境の変化のサイクルが短期化しているこの時代において、大学卒業以降、スキルの更新機会を得られない大人たちが、今後の社会から取り残されることが懸念されています。

忙しい社会人のスケジュールに合わせた学びの機会創出が求められる中、遠隔地からも受講できるオンライン講座など、Edtech(エドテック)関連サービスの台頭や、現在の職とは異なる職を体験することで新たな価値観を得られる「大人のインターンシップ」の提供といった、ペイン解消に向けた動きが見られます。また、福利厚生サービスとして、研修機会や助成金を提供するなど、従業員へのキャリアアップの支援を進める企業も増えています。

これからは、社会人の実情に合わせた、場所や時間を選ばない学習機会の創出支援、さらには職業選択を自由にする、知識だけでない「広義での学び」提案を行うことで、学びを取り入れたい個人と企業とをサポートすることの重要性がいっそう高まるはずです。"学びの適齢期"意識が取り払われ、いくつになっても自分のために学び続けることがスタンダードとなる社会の実現が、強く望まれています。


自社・生活者・社会の" 三方良し"なDX・CX変革を起こしていく

生活者、そして社会に真に望まれる変革を起こすためには「その変革によって、自社がどんな社会課題を解決し、社会に対してどのような存在意義(パーパス)を発揮できるのか?」を考えることこそが重要だと Fu-man insight lab®は考え、企業が、自社・生活者・社会の「三方良し」なDX/CX変革を起こしていくための支援をさらに強化していきます。

今回は「人生」に関する4つの"Social Pain Keyword"について簡単に紹介しましたが、それ以外の"Social Pain Keyword"も含めて編集された情報ツール"Social Pain Keyword Book"では、"Social Pain Keyword"ごとに「ペインの概況」と「ペイン解消に向けた動き」について、"Social Pain"の実態を詳細にまとめています。

さらに、15個の"Social Pain"探査テーマごとに、"社会的不満"のカテゴリーを分類・整理した【1】Social Pain Category Mapシート、各カテゴリーに含まれる社会的不満キーワードを示す【2】Social Pain Keyword Mapシート、各キーワードに関連するワードの総ツイート数をランキング化した【3】Social Pain Rankingシートも用意しています。

これらの情報シートを用いながら、スピード感を持って、企業の業種やターゲット層と関連性の高い"社会的不満"の探索を支援いたします。

「Social Pain Compass」を活用したサービスの詳細情報はこちら


「Social Pain Compass」の紹介資料DLお申し込み

「Social Pain Compass」の紹介資料です。
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「Social Pain Compass」に関する、より詳細な情報については下記までお問い合わせください。
お問い合わせ先:social_pain_compass@group.dentsu.co.jp


関連リンク


脚注

出典

1. ^ "【2月4日「妊娠の日」妊婦の意識調査】約9割の妊婦が新型コロナウイルスの影響で、妊娠出産に対して不安". 株式会社ステムセル研究所のプレスリリース.(2021年2月3日)2021年7月21日閲覧。
2. ^ "マタニティマークを正しく理解し使用することで目指す、"ポジティブなマタニティライフ" マタニティマークをつける理由において、妊婦さんと一般の方の間に認識のズレが約50%存在".ピジョン株式会社のプレスリリース.(2020年6月11日)2021年7月21日閲覧。
3. ^ "シニアの間で「デジタル格差」広がる?".ニュースイッチ.(2020年07月15日)2021年7月21日閲覧。
4. ^ "Gender data portal 2021". OECD.2021年7月21日閲覧。
5. ^ "不眠症". e-ヘルスネット(厚生労働省). 2021年7月21日閲覧。
6. ^ "夜型生活はトラブルのもと 子どもの学習能力を引き出す睡眠改善テクニック". 朝日新聞.(2020年1月14日)2021年7月21日閲覧。
7. ^ "平成28年社会生活基本調査". 総務省統計局.(2017年7月14日)2021年7月21日閲覧。

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