2020年07月07日

エクスペリエンス

コラム

コンテンツマーケティングの5W1H

※所属・役職は記事公開当時のものです。

コンテンツマーケティングを成功させるには、全体設計をしっかり作り込んでおく必要があります。今回は、オウンドメディアを利用したコンテンツマーケティング施策の全体設計について、例を挙げながら説明します。

5W1Hの設計とは

オウンドメディアを立ち上げて、バズりそうな記事を配信し、PVを稼ぐ。それだけでは、前章で触れた、コンテンツマーケティングの真の目的である「質の高いユーザーを集める」という目的を達成することは難しいはずです。

「正しく」コンテンツマーケティングを実施するためには、オウンドメディアを含めたマーケティング全体の設計を考える必要があります。そのために重要なのが、「5W1Hの設計」です。

「5W1H」は、文章を書くときの基本です。現在ではビジネスのフレームワークとも言われているようです。コンテンツマーケティングの全体設計を考えるうえでも、この視点はとても役に立ちます。

Who(だれが) ターゲットセグメンテーションの設定
When(いつ) メディアへの接触タイミング
Where(どこで) ユーザーの接触チャネル
What(何を) 接触コンテンツ/対象商材
Why(なぜ) 態度変容が起こる理由
How(どのように) 接触方法

前回、コンテンツマーケティングにおいて、ユーザーの動きに合わせて「入口」「中継」「出口」に分けてKPIを設定することが大切だと説明しました。まず、それをベースにしたコンテンツ設計とコンテンツ制作を行います。同時に、コンテンツの評価を企画・制作側にフィードバックできる仕組みも構築し、PDCAを実行します。

具体例1:A社

ここからは、実際に担当した2つの案件を例に、コンテンツごとの指標の設定方法をご紹介していきます。いずれも、比較的高額な製品・サービスであり、長期にわたるリードナーチャリングが求められるものです。こういった、製品・サービスにおいては、オウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングが有効です。

A社のコンテンツマーケティングの最終目的は、オウンドメディアを介して潜在的な優良顧客を集客・育成し、成約につなげることです。ターゲットユーザーを、「一般層」「潜在層」「顕在層」に分けて、それぞれの状況に見合ったオウンドメディアを運営しています。

A社のオウンドメディアは2つ。主に「一般層」~「潜在層」をターゲットにしたライトな読み物サイトと、「潜在層」~「顕在層」をターゲットにした疑問解消を主目的としたサイトです。

この2つのサイトを通じて、3年後、5年後、さらにもっと先の顧客予備軍と接触し、商品認知、商品情報の理解を踏まえて、購入意欲を向上させる――すなわちマーケティングファネルを進めてもらう施策を実施していきます。

読み物から疑問解消、そして商品情報へ。ユーザーのマーケティングファネルがどれぐらい進んだのか、目に見えるかたちで理解していただくための指標として、サイト間の遷移ユーザー数をKPIにしています。

クロスデバイス/クロスブラウザでの名寄せは行わず、のべ数で集計しています。ログインさせて動線を追うということもしていません。デバイスやブラウザで重複が出るのはやむなしと割り切って、指標を変えずに同じKPIを見続けることで見えてくる総量の変化をチェックしています。

理由は全体のコストです。MAを導入したり、ログイン機能を追加したりすれば、厳密にナーチャリング効果を測定できますが、そのためにはシステムの導入、維持管理のためのコストと、開発のための時間がかかってきます。このプロジェクトの場合は、そこにコストをかけるよりも、より良質なコンテンツの制作と、PDCAのスピードを上げることを選んだかたちです。

コンテンツはつねに飽和状態にあり、どのサイトもユーザーの時間を奪い合っています。オウンドメディアを利用したコンテンツマーケティングにおいて、エッジの効いたコンテンツを作ることは大切ですが、上層部から見れば、重要なのは費用対効果と事業貢献価値です。

継続的に成果を上げ、予算を獲得するには、全体設計を見直し、KPIを定め、成果を説明しやすい仕組みを整える必要があります。そのために、ぜひわれわれのノウハウを活用していただきたいと思っています。

具体例2:B社

B社の案件の最終目標も、お客さまに自社の商品・サービスを利用してもらうことですが、A社よりもさらに商品寿命の長い製品・サービスであることから、長期にわたるリードナーチャリングが求められます。そのためには、より詳細なファネル分けを行い、多チャネルも含めた全体設計の中で、オウンドメディアが果たすべき役割は何か、オウンドメディアを介して顧客をどのように動かすかを、徹底的に明確にしておく必要があります。

本案件では、「潜在」から「成約」まで、ファネルの段階を7つに分けています。各段階にターゲットをあてはめ、それぞれにリーチチャネルと回遊と動線を設計し、あわせてKPIも設定、コンテンツ施策を実施する際の成果指標とします。全体を設計したうえで、オウンドメディアのコンテンツ設計をしていきます。

オウンドメディアが担うべき部分を、「潜在」から「相談予約」までとして、集客した潜在層ユーザーを回遊させながら、製品・サービスへの理解を深め、少しでも多くのユーザーが「相談予約」のファネルまで進むように育てるのが、オウンドメディアに課せられたミッションです。

目的を達成するために、コンテンツの内容から投稿タイミングまで、詳細にスケジュールを立てていきます。コンテンツの内容は、ターゲットごとにカテゴリを設定。段階を踏んで自然と商品の必要性を認識していくような構成にし、実際の商品ページへの移動へと促していきます。また、全体のナーチャリングは、オウンドメディアだけでなく、店舗で配布するパンフレット、メルマガ、他のデジタル施策も含めてシナリオ構築しています。

ここまで綿密に定めることで、上層部も施策への理解が深まり必要性を感じ、安定的に施策を継続することが可能になります。

全体設計とモニタリングに注力する

コンテンツマーケティングの実施に際して、われわれ電通デジタルの役割は、全体設計と効果測定です。コンテンツの企画、進行管理、制作、編集、校閲といった、実際のコンテンツ制作は、信頼できる外部の会社にお願いするケースが多いです。

コンテンツマーケティングを手がける会社はたくさんあります。われわれのような広告会社だけでなく、Web制作会社やアドテクノロジー系の会社など、多くの企業が自社のコアビジネスを強みに参入しています。そうした中で、われわれ電通デジタルの強みは、コンテンツマーケティングを統合マーケティングとして、ワンストップで実施できることです。

プランニングだけで、あとはおまかせ、ではなく、オウンドメディアを核にした戦略を設計し、施策に落とし込む。PDCAを回して、継続して施策を遂行する。最初から最後まで、一気通貫で携わらせていただくことが、一番の強みだと思っています。それを可能にするのが、電通デジタルに在籍する、幅広い分野の豊富な人材です。

私が所属するエクスペリエンス部門には、オウンドメディアやSEO、CROのプロフェッショナルが集結し、他部門には、運用型広告のプロフェッショナルや、統合プランニングの専門が在籍しています。

コンテンツマーケティングを実施するためには、つまるところ、戦略に基づいたコンテンツ設計、制作、リーチチャネルの開発、ナーチャリングシナリオ、PDCAを、シームレスに行えるチーム作りが何よりも大事です。他部門のプロフェッショナルとも緊密に連携し、統合的なコンテンツマーケティングソリューションを提供することで、継続的に施策を実行し、クライアントのビジネスに寄与したいと考えています。