2020.02.12

電通クリエーティブエクスチェンジプログラムレポート

2019年9月10日~19日の2週にわたって、Facebookシンガポールオフィスにて、電通グループと、Facebook社によるInstagramクリエーティブ開発プログラム「DENTSU CREATIVE EXCHANGE PROGRAM(以下、「電通クリエーティブエクスチェンジプログラム」)」が行われました。本稿では、このプログラムに参加したプラットフォーム部門 Facebookグループの小﨑勉によるレポートをお届けします。

「電通クリエーティブエクスチェンジプログラム」は、電通グループとFacebook社のコラボレーションで2週にわたって行われたクリエーティブ開発プログラムです。

電通側からは、電通デジタル、電通のほか、電通イージス・ネットワーク社(以下、DAN)からも、APAC各国(インドネシア、インド、ベトナム、タイなど)のクリエーターが数名ずつ、総勢30名ほどが参加。Facebookシンガポールオフィス(APACヘッドクオーターオフィス)にて、Facebook社のスペシャリストから、クリエーティブに関する最新事例や具体的なTipsなどを体系立てたかたちで受講し、その成果物を実際に制作するところまで行いました。

また、フェイスブック ジャパンからも、エージェンシーパートナーのほか、クリエーティブショップ、クリエーティブエージェンシーパートナーなどが同行、共にプログラムを受講しました。電通デジタルからは、アドバンストクリエーティブセンター(以下、ACRC)エグゼクティブクリエーティブディレクター川名宏昌、ACRCクリエーティブディレクター山田恭子、プラットフォーム部門Facebookグループ グループマネージャー香川佳広、そして小﨑の4名が参加しました。

※所属・役職は記事公開当時のものです。

プラットフォーム部門
Facebookグループ

小﨑 勉

電通デジタル・電通とFacebook社、3社の思いが合致して実現した先進的な試み

電通デジタルでは、様々なパートナー企業様と連携を図りビジネスを推進していますが、本プログラムの実現には、電通デジタル・電通とFacebook社の思いが一致して実現しました。デジタル広告費が増大する昨今、電通デジタル・電通では、モバイルに最適化したクリエーティブを作ることのできるクリエーターの育成に力を注いでいます。その一方でFacebook社では、Facebook / Instagramプロモーターともいうべき人材を数多く業界に浸透させ、さまざまな場面で自社のプラットフォームを最大限に活用してほしいという希望を持っています。
本プログラムでは、互いの知見を集約し人材育成を兼ねたクリエーティブ開発に3社で取り組もうというもので、Facebook社と広告会社が共同で実施するという、グローバルでも稀な試みであります。また、本プログラムはアメリカ本社からではなく、APACから発信されていますが、これもまた従来とは異なる取り組みです。

本プログラムは、2週にわたって行われました。1週目は、Facebook / Instagramのスペシャリストからレクチャーを受け、最後にグループに分かれて、クリエーティブ制作を行いました。2週目は、さらに実践的なTipsを教わりつつ、実際にクライアントから提示されたクリエーティブ・ブリーフ(以下、ブリーフ)に取り組みました。帰国後、この時制作した作品をブラッシュアップし、「電通クリエーティブエクスチェンジプログラム」から得た最新の知見を活かしたクリエーティブとして、クライアントへの提案活動も行っています。


1週目のプログラム概要

1週目のプログラムの中でも、特に力を入れて行われたのが、「DENTSU CREATIVE PROCESS」、「MOBILISING PRODUCT」、「MOBILE ANATOMY」、「TEAM PRESENTATION」の4つです。以下順番に、その概要を紹介します。

DENTSU CREATIVE PROCESS

今回のプログラムに参加したACRCのメンバー、DANのAPAC各国メンバーがそれぞれ、Facebook / Instagramにおいてどういったクリエーティブソリューションを展開しているか、また普段のクリエーティブ制作においてどういった課題を抱えているかといったことをプレゼンテーション形式で発表し、全員で共有するプログラムです。

ACRCからは、川名宏昌エグゼクティブクリエーティブディレクターが発表を行い、Instagramに最適なエグゼキューションアイデアと広告動画を半日で作り上げるプログラム「DD IG SUMMIT」、気象情報とTwitterのツイート情報を常時観測し、デジタル広告へ反映するシステム「Multi Impact Switcher™」の紹介のほか、第2回MOBILE CREATIVE AWARD でInstagram Sprint賞を受賞した、b-monster様のクリエーティブを披露しました。

    小﨑勉(左)、川名宏昌(右)

    MOBILISING PRODUCT

    モバイルファーストクリエーティブを理解するためのプログラムです。モバイルファーストクリエーティブに必要な要素を含んだクリエーティブは、TVCMの素材からでも簡単に作り変えられるということで、手順を追ってレクチャーしていただきました。

    現在は、人間の情報処理のスピードが非常に上がっているとのことで、冒頭の1秒に強いインパクトを置き、なおかつ6~15秒の間にきちんとストーリーを伝えられる構成力が重要。とにかく、最初の1秒の大切さは繰り返し強調されており、映画の冒頭シーンは非常に参考になるとも仰っていました。

    MOBILE ANATOMY

    モバイルファーストクリエーティブを実践するための、具体的な手法を学ぶプログラムです。短尺でユーザーの気持ちをつかむためにFacebook社で数値などの裏付けに基づいた体系化された効果的な手法、フレームワーク、撮影方法、編集方法のレクチャーがありました。

    ここでレクチャーされた手法は、普段からデジタルクリエーティブに接するクリエーターだけでなく、フェイスブック ジャパンの方も初見だったというものが多かったそうです。国内であまり知られていない手法を学ぶことができたのは、大きな意義がありました。

    TEAM PRESENTATION

    1チーム4、5名に分かれて、与えられたスクリプト(台本)を基に、これまで学んだ知識を活かして短尺(15秒)の縦長動画を作る、実践的なプログラムです。個人的には、DANのクリエーターたちと一緒に、案出しから、撮影、編集までを共同作業できたことは、非常に貴重な経験でした。


    2週目のプログラム概要

    2週目は、より具体的な方法論を教わりつつ、最後は、クライアントからのブリーフに沿って実際にクリエーティブを制作するという、より実践的な内容に移りました。提示されたブリーフが、Instagramストーリーズに関わるものだったので、講義内容もInstagramストーリーズに特化したものになりました。主な講義は、「Video & Stories」「IG + Commerce」「PITCH, PLAY, PLUNGE」「Hack for Briefs」の4つになります。以下、概略を紹介します。

    Video & Stories

    Instagramストーリーズに特化したTipsを学ぶためのプログラムです。Instagramストーリーズのクリエーティブ開発には、Instagramストーリーズ特有の機能をどれだけ活用しているかで、「Walk」「Run」「Sprint」「Fly」の4つのステップがあるというフレームワークがFacebook社より紹介されました。

    「Fly」まで到達すれば、Instagramストーリーズ広告の第一人者ともいうべき存在になれますが、そのためには、縦長の動画を制作するだけではなく、Instagramストーリーズの性質を理解し、テレビを含めた全体キャンペーンの中で最適化する必要があるとのことでした。

    IG + Commerce

    Instagramの「ショッピング機能」の広告化(フィード広告として配信可能になる)に関するプログラムです。本プログラム中は、その機能のローンチ前だったため、詳細な解説が行われました。

    PITCH, PLAY, PLUNGE

    「PITCH, PLAY, PLUNGE」とは、Facebook社が提唱する、Facebook・Instagramを使ったキャンペーンを構築するクリエーティブのためのフレームワークです。「PITCH」は一瞬で見た人の心をつかむクリエーティブ、「PLAY」は見た人にインタラクティブに楽しんでもらうクリエーティブ、「PLUNGE」は見た人の心に大きな印象を残し、世の中を変えていくようなメッセージ性のあるクリエーティブを指しています。この3つを揃えることで、質の高いクリエーティブの開発、ひいては効果的なキャンペーンを実施することができるとしています。

    こうしたフレームワークは無意識に実施できているケースもありますが、Facebook社が提唱する方法論としてまとめられたかたちで提示されたのは、本プログラムが初めてです。1つのクリエーティブにこの3つの要素を盛り込むのではなく、1つ1つのクリエーティブに個別に要素を持たせ、それらを有機的に結び付けてキャンペーン全体を構築することを推奨しています。

    Hack for Briefs

    クライアントから提示された3つのブリーフを4つのチームに割り振り、それぞれ「PITCH, PLAY, PLUNGE」のフレームワークを使ってクリエーティブを制作し、プレゼンテーションを行う、実践的なプログラムです。

    本プログラムに参加するにあたって、ただ単にFacebook / Instagramの最新情報に触れるだけではなく、学んだことをすぐに実際の案件でかたちにするというところが、最大の目的でもありました。そのため、通常業務でもACRCと協業している制作会社の監督とディレクターに来ていただき、かつ、日本でもACRCのスタッフを中心にバックアップ体制を構築し、随時必要な情報やデータをやり取りしながら作り上げました。

    (前列左から)川名宏昌、山田恭子、小﨑勉

    制作したクリエーティブは、本プログラムで学んださまざまなフレームワークを盛り込み、さらにFacebook社から具体的なアドバイスをいただきながら制作しました。そのほとんどが、他の日本の広告会社は持っていない知見であり、そういった意味でも価値あるプログラムだったと思います。


    得た知見を帰国後に社内で共有

    私の普段の業務はFacebook・Instagramの媒体担当で、クリエーティブ領域の業務にはこれまであまり経験がなく、広告クリエーティブをプランニングし、実際に形にしていく過程の作業は非常に大変で、難しかったです。

    ただ、以前に広告運用を担当していた経験から、運用視点からアドバイスをすることができ、クリエーティブ開発において、多少なりとも貢献できたのではないかと思っています。

    もちろん、普段なら携わることのない業務を経験できるのは興味深かったですし、DANの海外スタッフと交流しながら制作することも、良い経験となりました。

    Facebookの媒体担当ということで、普段からさまざまなFacebook・Instagram広告のクリエーティブを見ていますが、最新のデータや事例というのは、なかなか見せていただけないものです。今回のプログラムでは、普段見ることができないデータも見せていただけて、実際の業務にも大きなプラスになりました。

    今回のプログラムに参加して、何よりもプラスだと感じたのは、学んだFacebook・Instagramのクリエーティブに関する知識を自社に持ち帰れたことです。その知識を、社内の他のメンバーやACRCのクリエーターに伝えられたのは、すごく誇らしく、責任感も感じました。習得した知見は、すぐにクライアントにも活かせる実践的なフレームワークなので、それをきちんと社内で共有、活用することで、Facebook・Instagram広告におけるさらなるビジネスチャンスの拡大が期待できると思っています。

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