「電通デジタル設立記念セミナー」公式ダイジェスト

7/8(金)に行われた「株式会社電通デジタル設立記念セミナー」におきましては、多くの方にご来場いただき誠にありがとうございました。本記事では当日の各プレゼンテーションの内容をダイジェストでお届けいたします。

株式会社電通デジタル

「顧客のマーケティングを革新し、さらに、マーケティングそのものを革新する。
これが私たちのミッションです」
-株式会社電通デジタル 代表取締役社長COO 丸岡 吉人

丸岡 吉人

この50年間、マーケティングは進化したのか?

第一部の「設立発表会」パートにおいては、電通代表取締役社長執行役員の石井直からのご挨拶の後、電通デジタル代表取締役社長COO 丸岡吉人から「マーケティングはもっと進化できる」と題し、デジタルマーケティングにおける現状の課題と、電通デジタルのケイパビリティについてご説明させていただきました。
丸岡は冒頭に、「50年」という時間軸における「社会の進化」と「マーケティングの進化」について言及しました。国鉄初の在来特急「こだま」、1964年の東京五輪の年にお目見えした東海道新幹線など、この50年における鉄道網の飛躍的な進化を例に挙げる一方で、「テレビ放送とテレビ広告が始まり、マスマーケティングの手法が確立されたのも約50年前のことです。しかし、マーケティングは新幹線と同様の進化を遂げてきたでしょうか?」と疑問を呈しました。そして「私の実感はまだまだ在来線の改良にとどまっている、在来線の延長線にあると感じています」と、マーケティングの"今"に対する見解を提示しました。

なぜ、マーケティング分野で「新幹線」が走っていないのか?

実際、この50年でテクノロジー・データ・コンセプトなどさまざまなマーケティングの進化があったにも関わらず、多くのCMO・マーケティングご担当者が「顧客体験を革新するアイデアはあったが、システム開発と連動できていない」「マーケティングシステムを導入したが、使いこなせていない」「顧客獲得を最適化したが、CRMに投資されず成長が鈍化している」といった悩みをお持ちの現状を指摘し、そのような問題が起こっている背景として、デジタルマーケティングが従来のマスマーケティングの構造と異なり、「顧客体験」「コンタクトポイント」「システム」「データベース」「マネジメント」各レイヤーが相互連携する"システム"であるという見解を述べ、電通デジタルが考える「デジタルマーケティングの全体像」を提示しました。

デジタルマーケティングの全体像デジタルマーケティングの全体像

そして、「顧客フロントからバックヤードのシステムやデータ、マネジメントの仕組みまでを連携させなくてはならない」あるいは「顧客のニーズ喚起から、見込み客の発見や育成、コンバージョン、CRMまでカスタマージャーニー全体をデジタルを活用して連携させなければならない」、とデジタルマーケティングにおける相互連携の必要性を強調し、「新幹線が車両や線路などさまざまな個別要素が組み合わさったシステムであるのと同じように、デジタルマーケティングもシステムとして機能しなければならない」という比喩でマーケティングの"今"における課題を整理いたしました。

電通デジタルが提供できるもの

その上で、丸岡は電通デジタルの強みとして、以下の6つを提示しました。

  1. マーケティング活動全体をカバーする幅広いサービスライン
  2. 「コンサルティング」「開発・実装」「運用・実行支援」の各フェーズの必要な部分だけを提供することも、全体をワンストップで提供することも可能
  3. マーケティングのデジタル化の全体構想、実行を推進するノウハウ
  4. 顧客先への出向や駐在などの「チームアプローチ」
  5. プロジェクト全体の責任者「チーフコンサルタント」が直接クライアントに対応
  6. デジタルのノウハウに加えて、アナログのノウハウ、マーケティング全体の知識や経験を兼ね備えた「ハイブリッド人材」

特に丸岡は「多方面のスキルを有する電通デジタルのエキスパートたちは、勇猛なケンタウロスのような"ハイブリッド人材"である」と、代表的なチーフコンサルタント数名の経歴を紹介しながら、電通デジタルの人材の多様性・独自性を強調しました。そして結びに、新幹線が車両の会社、信号の会社、コンピュータの会社、土木会社、レールの会社、食堂運営の会社など各分野の専門家が力をあわせて実現されたことに改めて言及し、「各分野の専門会社様、専門家様。電通デジタルと一緒にマーケテイングの"新幹線システム"をつくりましょう」と約700名の招待客に呼びかけ、プレゼンテーションを締めくくりました。

「電通デジタルには、人口知能の時代における"人間のあり方"を世界に発信してほしい」
MITメディアラボ所長 伊藤 穰一氏

第二部の「デジタルマーケティングセミナー」の基調講演を行っていただいたのは、世界中から注目を集め続けているデジタル領域のパイオニア、MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏です。本記事では講演の中で伊藤氏が提示した「キーワード」を抜粋し、講演を振り返ります。

伊藤 穰一

Anti-Disciplinary

医学、ロボット、人工知能、人の表情分析など多様な専攻分野のメンバーで構成されているMITメディアラボ。2011年から同ラボの所長を務める伊藤氏がまず提示したのは、MITメディアラボの組織づくりのキーワード"Anti-Disciplinary"。普通であれば話をすることもないような異分野の専門家たちを同じスペースに集め、一緒にひとつのものをつくることで、それぞれの分野と分野の「間」にある価値を創造していこうという考え方です。
「例えばPRと広告でも、予算が別々だから混ぜることが難しいけれども、本当は混ぜることですごく有意義なものになる、ということはよくあると思います。私たちは分野と分野の間を混ぜることが得意で、もっと言うと、特定の分野にはまらない"空間"の方が実はたくさんあるんじゃないかという仮説を持っています」という視点を提示しました。

Culture Forks

さらに伊藤氏は現在シリコンバレーで芽生えつつあるトレンドについて紹介します。それは、「遊びとかクリエーティビティも必要だけれども、遊んでるばっかりでもダメ。本当に世の中の役に立つことをやろう」というもので、そのためにはベンチャー企業だけでなく、やはり大企業の力が必要になってくると伊藤氏は強調します。しかしその時に必要な考え方として提示したのが、"Culture Forks"。大企業の文化のままだと「スピード」「(組織の)レイヤー」の問題があってうまく行かないことが多いため、その対策として「大企業と全く違う文化を持つ組織」を別に作って、クリエーティビティと世の中への貢献を両立させた事例を紹介し、「真面目な大企業がベンチャーの気持ちでどんどんクリエーティブにやる文化をつくることが、これからとても重要になってくる」と聴衆に訴えました。

Extended Intelligence

そして講演の最後のトピックスとして挙げたのが、「人工知能」。伊藤氏は人工知能を、それ自体が独立して存在するのではなく、我々をとりまく様々なネットワークの中に位置づけられて、人間の知能を拡張していく"Extended Intelligence"であるという見解を提示しました。しかし、その時に問題となるのは「人工知能にどのように倫理観を教えるか」ということであるとし、そのためにはコンテンツ、文化、心理学など「人間ならではのこと」が重要な役割を果たすと語りました。
結びに、人工知能の時代における人間の役割は「遊び」「エンターテイメント」「クリエーティビティ」であることを改めて強調し、「電通デジタルは、これから到来する人工知能の時代における人間のあり方、存在意義を上手くアピールして、それを日本から世界に輸出してほしい」というエールをいただきました。

革新主体となる「組織」によって課題は異なる。その時の電通デジタルのアプローチとは
-電通デジタル チーフコンサルタント 朝岡崇史・安田裕美子・杉浦友彦

電通デジタルのチーフコンサルタントを務める朝岡崇史、安田裕美子、杉浦友彦3名によるトークセッション「電通デジタルのアプローチはどう違うのか?」では、普段向き合っているクライアントの「組織」が異なる3人が、それぞれの立場からマーケティング革新に向けてのポイントを語りました。

朝岡崇史 安田裕美子 杉浦友彦

朝岡崇史:「なりわいワード」の再定義

経営層にご提案させて頂くことの多い朝岡が挙げたのは「自社の"なりわいワード"の再定義」。 「デジタル化によってすべてのインダストリーはサービス業になる」という仮説のもと、すべての企業が「新しいサービス業」に進化することの必要性を強調した上で、「文字伝達がEメールとなり、井戸端会議がTwitterとなり、ショッピングモールがAmazonとなったように、デジタルが新しいブランド体験を創りだす環境において、これからの自社の"なりわい"を規定するためには、"デジタル時代のお客さまの体験のロードマップ"を描くことが重要」と、エクスペリエンスデザインの専門家の観点から、事業レベルでの変革の必要性を語りました。

安田裕美子:「ゆるぎないゴール」に「少しずつ迫る」

続いて、マーケティング部門と営業部門、コールセンターなどの部門間連携プロジェクトのプロデュースを得意とする安田裕美子が、「デジタルマーケティング施策では否が応でも部門間の連携が必要になってくる。しかし、"誰もやったことがないから、失敗するかもしれない取り組み"と"日本企業特有の、失敗できない組織的な雰囲気"の間に不適合が起こっている」と、自らが日々体感している実務面での課題を指摘。その上で、部門間で連携してデジタルマーケティングを推進するためのポイントを「『ゆるぎないゴール』に、『少しずつ迫る』」と規定し、プロジェクトマネジメントにおいて「What=何をやるのか?」ついては、「真の顧客課題発見」「ありたき姿を描く」「KGI・KPI設計」によって「ゆるぎないゴール設定をすること」、「How=どうやるのか?」については、「ウォーターフォール型ではなく、クイックウィン型」によって「小さな成功を積み重ねること」が重要である、との見解を示し、部門間連携の障壁を解決する足掛かりを示しました。

杉浦友彦:成果を出し続けるための「4つのカギ」

最後に、デジタル運用型広告の専門家であり、宣伝部門やWebマーケティング部門とともに実行フェーズでの業務をメインとする杉浦友彦は、「成果にこだわる」と断言。そのための「4つのカギ」として、「①ダッシュボードを活用して多岐にわたるデータを集約し、リアルタイムで可視化すること」、「②ワークショップによるPDCAの判断ロジックの合意」「③最新テクノロジー、ソリューションに関する知識のアップデート」「④PDCAを回し続けるための人材と組織規模の確保」を挙げ、デジタルマーケティングを成果に結びつけるためにはこのうちのどれか一つでも欠けてはならないと指摘。「テクノロジーの進化によって"手段"は変わってきているが、"お客さまの成果にきちんとコミットして、やり切る"という姿勢は電通グループ不変のDNA」であるとの決意表明でセッションを締めくくりました。

朝岡崇史

朝岡崇史

電通デジタル エグゼクティブ・コンサルティング・ディレクター

エクスペリエンス・デザインを専門とするコンサルタント。1985年、電通入社。クライアント企業さまの経営層と向き合い、電通らしい右脳型のアイデアを武器に事業やブランドのコンサルティングを提供するソリューション型サービスを実践。ブランドコンサルティングを行うコンサルティング室長を経て現職。 日本マーケティング協会のマーケティング・マスターコース・マイスター( 2011年~)。
著書に「エクスペリエンス・ドリブン・マーケティング」(ファーストプレス2014年)、「IoT時代のエクスペリエンス・デザイン」(ファーストプレス2016年)等がある。

安田裕美子

安田裕美子

電通デジタル 統合ソリューション部門 サービスマーケティング 事業部長

1998年電通入社。アカウント部門において、多様な業種のマーケティング戦略構築・実施に従事するほか、自動車のCRMプロジェクト、サービス企業のCRMコンサルティングなどをリード。
現在は、AEとしての豊富な業務経験をバックグラウンドに、プロデューサーとしてマーケティングのイノベーション、組織導入を推進。金融、通信、生命保険、Eコマース企業などでブランドやKPI、デザインなど、企業を成長させるドライバーを埋め込んだデータドリブンマーケティングの実現に尽力している。

杉浦友彦

杉浦友彦

電通デジタル パフォーマンスマーケティング部門 執行役員

慶應義塾大学経済学部卒。1998年電通入社。2008-2009年コロンビア大学ビジネススクール通信情報研究所(CITI)客員研究員。
入社当初より、Webサイト開発、オンライン広告関連業務に従事し、電通フューズ(Webコンサルティング会社)や、電通イーマーケティングワンなどの立ち上げに参画。主に大規模Eコマース、金融、自動車、IT業界向けのeマーケティング支援や、CRM、メディアプランニング最適化システムの開発、及び行動データを中心に扱ったPDCA業務を推進。2013年7月にデジタル・パフォーマンス代理店「ネクステッジ電通」を設立、代表取締役社長に就任。

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