AWA 2019セッションレポート第一弾
「Agency vs Consultant シリーズ。今回はガチバトル・ライブスタイル!」

代表取締役社長 鈴木禎久が、Advertising Week Asia 2019の「Agency vs Consultant シリーズ。今回はガチバトル・ライブスタイル!」に登壇しました。来場者や顧客企業から集めた質問に対してライブ形式でお答えしたセッションのレポートをお届けします。

世界最大級のマーケティング&コミュニケーションのプレミアイベント 「Advertising Week Asia 2019」が、5月27~30日、東京ミッドタウンで開催されました。マーケティング、広告、メディア、テクノロジー、デザインの各分野の第一人者による100以上のセッションやセミナーが催され、この4日間で13,174人が参加しました。
5月28日に行われた「Agency vs Consultant シリーズ」は、2017年以降、毎年好評を博している人気セッションで、日本を代表する広告代理店、コンサルティングファームで陣頭指揮をとる3人による鼎談スタイルのセッションです。

講演者

株式会社博報堂および博報堂DYメディアパートナーズ執行役員
安藤元博氏


アクセンチュア株式会社 アクセンチュア インタラクティブグループ日本統括、株式会社IMJ 取締役社長兼CEO
黒川順一郎氏


株式会社電通デジタル代表取締役社長
鈴木禎久

モデレーター

Advertising Week Asiaエグゼクティブ・プロデューサー、株式会社イグナイト代表取締役社長
笠松良彦氏

今年は「ガチバトル・ライブスタイル!」と題し、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会の会員より寄せられた質問に、3人がそれぞれ事前情報いっさいなしで回答するというスタイルで実施されました。現場から寄せられるさまざまな質問に、業界のトップたちはどのように答えたのか。これまでに負けず劣らず、闊達なやり取りが繰り広げられたその一部をリポートします。

Q:デジタルとマスの統合的な指標・KPIに関する、各社の取り組みや考え方を聞きたい。

「デジタルとマスを統合する絶対的な指標はない」と答えたのは、電通デジタルの鈴木。カテゴリごとに重要な指標は異なるのだから、CPC、CTR、CPA、ROAS、LTVなど、それぞれの状況に応じて一番重要なものを指標とすればいいと回答しました。

ただし、電通グループには「デュアルファネルソリューション」があり、人で捉える考え方もある。このソリューションから得られる結果が、質問にある統合的な指標と見ることもできるとしつつも、「我々としては絶対的な指標として活用するわけではない」と補足しました。

これに対して、アクセンチュアの黒川氏は「デジタルとマスを含むマーケティングの指標は、売上や収益性に紐づくKPIであると考えなければならない」、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズの安藤氏は、「デジタルとマスを統合した指標を成立させるにはいくつかの課題がある」としたうえで、マーケティングに関わる指標は、最終的なKGIに帰結するので、そこにどう寄与していくかを考えることが正道だと語りました。

(左から)鈴木禎久、黒川順一郎氏、安藤元博氏、笠松良彦氏
(左から)鈴木禎久、黒川順一郎氏、安藤元博氏、笠松良彦氏

Q: 国内でデジタルツールを活用してブランディングを行う際に、絶対にやってはいけないこと、クライアントに対して「もっとこうすればいいのに」と思うこと(クライアントに欠けているもの)は何か?

鈴木は、両方に対する回答として「ツールを過信しすぎないこと」とし、その理由を、ツールを使うとさまざまな分析が可能になるが、ビジネスサクセスにおいてはそれだけでは判断できず、本当の意味で反映できるものはないからだと答えました。

さらに「データを使うと、見える部分にばかり目を取られ、見えない部分への想像が及びにくくなる。見えない部分の存在を意識し、想像力を駆使して考えなければならない」と注意を喚起し、「電通デジタル的に言うと、それが『人基点』、つまり『ピープルドリブン』ということ」と語り、データドリブンへの過信に警鐘を鳴らしました。

黒川氏は、「デジタルツールありきでブランディングを考えることは間違い」とし、「体験を積み重ねていくタイプのマーケティングにおいて、デジタルツールは手段でしかないため、ツールを起点に考える姿勢こそがあってはならないこと」と断じました。

これに関して安藤氏は、「ブランディングはある意味経営そのものであり、デジタルツールは重要ではあるがそれのみでは完結しないし、コミュニケーションのみでやるものでもない」と語り、三者三様に、デジタルツールありきでブランディングを考える姿勢に、疑問を呈するかたちとなりました。

Q: 現状の業務において、コミッションとフィーのどちらで仕事をすることが多いか。自社としてはどちらがやりやすいか。
それぞれのメリット/デメリットをどう考えるか。

黒川氏は、「コンサルティングは完全にフィービジネスなので、コミッションという考えはない」と断言。安藤氏は、「博報堂は広告代理店というビジネスモデルから出発しているので、コミッションが大きかったが、最終成果に対して報酬をもらう方向に向かうのは自然なことだと思う」と語りました。

鈴木は「電通デジタルもフィービジネス」「企業は成功の確率の高さを求めるので、成功確率の高い人(クラス)には、高いバリューがある」と答えました。現在は、コミッションとフィーが混ざっている状態であるものの、コンサルと競合になる状況が増えていく中で、徐々にフィービジネスに移行しており、そのためにも、「人に価値を付けたい」とし、社員の成長支援などは欠かせないとの見方を示しました。

Q: 自社のフィー価格の妥当性についてどう考えているか?(高すぎる/安すぎる)
――媒体管理フィーはもっと下げてもいいと思うし、逆に「クリエーティブは無料」などは業界全体として止めるべきだと思うが…

鈴木禎久(電通デジタル)
鈴木禎久(電通デジタル)

この質問は、モデレーターの笠松氏の提案により、付帯コメントにある「クリエーティブを無料とする売り方は止めるべきか」に関して、Yes/Noで答えるかたちに修正されました。

この質問に真っ先に反応した鈴木は、「クリエーティブ無料は冒涜だと思う。アイデア、顧客体験もクリエーティブであり付加価値である。非常に大事であり、クリエーティブを無料にするというスキームは認められない。電通デジタルはそういった売り方はしない」と断言しました。

安藤氏も「自分たちが提供するクリエーティブが付加価値を提供していないと思うから、そういう売り方になってしまうのではないか。私たちはそういうスタンスはとらない」と回答。黒川氏からは「お客様からもらう対価の形式が違うだけではないか?」と疑問が出ましたが、結局、クリエーティブ自体は「なんでもいい」という認識にあることが問題であると、鈴木、安藤両氏から重ねて指摘がありました。

Q: デジタル領域のエージェンシーの選定において、見るべきポイントはどこか?

「クライアント企業に対して、自分たちの会社のここを見てほしい、という気持ちでお答えください」という笠松氏のリクエストに対して、「1つは人。もう1つは会社のケイパビリティ」と口火を切ったのは鈴木でした。

その理由として、「最近のクライアントは特にROIを高めるために、成功確率を強く意識する傾向にある」ことを挙げました。「もはや、プランニングの面白さだけでは通用しない。過去にどのような結果を出してきたのか、本当に頼れるパートナーなのかが問われている」との現状認識を示しました。

黒川氏も「1つは、お客様のビジネスにしっかりコミットできる専門知識があるか。もう1つはスピード感。今まで以上に価値のあるサービスをすばやく開発・提供し、運用していける構造体であるかどうか」と語り、専門性と早さが大事であることを力強く訴えました。

安藤氏は「今やオールデジタルであるという理解をもって、パートナーを選ぶ必要がある」「デジタルマーケティング領域から、マーケティング全体、ブランディング全体につなげていく際に、どういったケイパビリティが必要なのかという目線が、パートナー選定のポイントになるべき」と答えました。

Q: マーケティングのデジタル領域について各社に依頼したほうが良い理由を、30秒でまとめると?

最後に、「各社のPRをしてください」という笠松氏の要請に、三者三様のPRとなりました。

鈴木は、「『ピープル・ドリブン・マーケティング』を掲げているように、デジタルでも『人』が大事。電通デジタルは、人の想い、想像力を理解する人間がたくさんいる会社でありたい」と、自社の強みが人である点を再度強調しました。

黒川氏は「お客様からすると、自社の変革を具体化して、ちゃんと結果を出したいと思ったとき、戦略から実行、運用まですべての総合力が揃っている会社にお願いしたほうがいい。その点で、アクセンチュア インタラクティブに頼むことは自明」と、一貫した支援体制をアピールしました。

安藤氏は、「ひとことで言うと、博報堂は『マーケティング』の会社。マーケティングとは、デジタル領域は当然ですが、戦略も、エグゼキューションも、クリエーティブやイノベーション領域も含みます。必須であり広範なマーケティングの能力を有し、クライアントの成果にパートナーとして向き合えるのが博報堂です」と語り、40分にわたる白熱した討論を締めくくりました。

会場

講演者略歴

安藤元博

株式会社博報堂および博報堂DYメディアパートナーズ執行役員

安藤元博

1988年博報堂入社。ACC(グランプリ)、Asian Marketing Effectiveness(Best Integrated Marketing Campaign)他受賞多数。ACCマーケティング・エフェクティブネス、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(メディア部門)等の審査員を歴任。著書『マーケティング立国ニッポンへ―デジタル時代、再生のカギはCMO機能』(共著)(日経BP社)等。東京大学大学院・学際情報学府修了(社会情報学)。

黒川順一郎

アクセンチュア株式会社 アクセンチュア インタラクティブグループ日本統括、株式会社IMJ 取締役社長兼CEO

黒川順一郎

「顧客体験を起点にした企業変革」を支援するアクセンチュア インタラクティブグループの日本統括を務める。業界を横断して、事業戦略、デジタル戦略、顧客体験/サービスデザインを中心としたコンサルティングサービスに従事。2018年3月より、IMJの取締役社長兼CEOも兼務する。

鈴木禎久

株式会社電通デジタル代表取締役社長

鈴木禎久

1990年株式会社電通入社。マーケティング部門、ビジネスクリエーション部門、BI部門、プロモーション部門を経て、2017年より株式会社電通デジタル、代表取締役社長就任。
企業の持続的な成長をサポートするメソドロジーとして、電通グループが提唱する人基点の統合プラットフォームPeople Driven Marketingを推進中。

笠松良彦

Advertising Week Asiaエグゼクティブ・プロデューサー、株式会社イグナイト代表取締役社長

笠松良彦

NEC、博報堂、電通を経てIGNITE起業。
コミュニケーション戦略統合プロデューサー
クリエーティブやプロモーションとのシナジーを考慮した統合プランニングやAORコンサルティング実績も多数。また事業経験として、電通とリクルートのジョイントベンチャーである(株)Media Shakersで5年間代表取締役社長としてR25事業を推進。コミュニケーションプロデュースだけでなく、事業視点でのインナーコミュニケーション開発も得意。

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