―アジャイルに対応する―テクノロジーでマーケティングをどう変える?
~デジタルトランスフォーメーションを支えるアジャイルアプローチ~

デジタルトランスフォーメーションセミナー:講演レポート③

株式会社電通デジタル
デジタルトランスフォーメーション部門 デジタルコンサルティング事業部 事業部長
高田 晴彦

デジタルトランスフォーメーションの実現には、テクノロジーの戦略的活用が不可欠だ。しかし導入には特有の壁が立ちはだかる。デジタルトランスフォーメーション部門 デジタルコンサルティング事業部 事業部長の高田晴彦が、その壁を乗り越えるアプローチを紹介。マーケティングとテクノロジーを融合する方法論を示した。

テクノロジーが戦略もマーケティングも変える時代

革新的なテクノロジーが台頭する中、デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、企業はテクノロジーをどのように活用していくべきだろうか。
ブロックチェーン、AIなど、新たなテクノロジーは次々に登場する。そのテクノロジーは果たしてイノベーションをもたらすものなのか。それとも単なるバズワードに過ぎないのか。発展を見通すことは容易ではないが、高田は「何に取組むか、どう組込むかを見極めることが企業にとっての生命線となる」と断言する。

なぜそこまでテクノロジーが重要かといえば、今やテクノロジーは単なる手段にとどまらず、戦略やマーケティングまで変える存在だからだ。例えば、コンビニエンスストアはテクノロジーを巧みに活用することで成長を遂げてきた代表的な事例だ。戦略課題である、「機会損失の最小化」を実現するために「単品管理・仮説検証サイクル」というマーケティング手法を整え、それを実践する手段としてPOSや情報分析システムをいち早く取り入れてきた。

ところがいま起きているイノベーションは、必ずしも「手段としてのテクノロジー」がもたらしたものにとどまらない。「Amazon Go」のような無人コンビニの登場は、決して戦略ありきのものとも言い切れず、むしろセンサー・画像解析・行動認識といったテクノロジーの発展と高度化が「リアル小売店のEC化」という事業戦略や「無人リアル店舗による顧客体験」というマーケティング戦略の着想を促したと言うことができるだろう。

別の視点として、「テクノロジーで戦略をサステナブルなものにすることが重要」とも指摘する。どの企業も、最終的に目指すのは売上の拡大。商品・サービスを売るには、生活者の心を動かすアイデアの力と、売れ続ける仕組みの構築が必要だ。アイデアを仕組みに発展させるには、テクノロジーの戦略的活用が不可欠だと整理する。

デジタル全盛の現在、マーケターと生活者との接点はWebサイト、アプリ、SNS、IoTなど、すべてソフトウエアにのみ込まれている。「“ソフトウエアによる破壊”がデジタルトランスフォーメーションの本質。テクノロジーを理解せずにマーケティングをマネジメントすることはできない」と、テクノロジーへの正しく深い理解の重要性を強調する。

“仕組み化”でつまずく企業が多い

電通デジタルに持ち込まれるデジタルトランスフォーメーションの案件は、仕組み化に関する課題や悩みが圧倒的に多いという。なぜ仕組み化でつまずくのか。高田は「プロジェクトの進め方に問題がある」とみる。

従来、プロジェクトを推進する場合には、「戦略目標・目的の設定」「活用施策・業務の設計」「システムの設計・構築」と、段階的にフェーズを進めるウォーターフォールという方法が主流だった。だが、デジタルトランスフォーメーションの場合、「新規領域で全貌や対効果を見極めることが困難」「要求が流動的」「企業内にノウハウが少ない」といった固有の難しさがあり、こうした段階的な進め方はなじまない。

高田は、「デジタルトランスフォーメーションを実現するには“アジャイル”がカギとなる」と説明する。小規模にスタートし、迅速かつ柔軟に改善を繰り返していくアジャイルという方法論ならば、変化への対応もしやすい。

電通デジタルのアジャイルによる取組み事例として、有料会員制ビジネスに参入したある企業のDMP構築を紹介した。競争が激しい市場で後発としてサービスを立ち上げることから、戦況を見て戦略を柔軟に変えなくてはならない。要件の全容が見えない中、迅速にデータ基盤を構築し、意思決定できる体制を整える必要があった。

そこで、アジャイル開発のひとつの手法であるスクラム開発アプローチを採用し、超短納期でDMPを構築するというソリューションを提供した。少人数チームで短期間のうちに設計・実装・テスト・リリースを繰り返すことで、見えなかった新しい要件が明確になる。ユーザーのフィードバックも早期に得られる。活用の範囲、深度は極めて高速に拡大したという。

電通デジタルは、デジタルトランスフォーメーションの仕組み化をアジャイルに推進する「アジャイルトランスフォーメーションサービス」を提供している。ウォーターフォールでは解けない課題の解決を図る、そのポイントをまとめれば、以下のようになる。

  • ・要件が見えない状態から、早期にマーケティング活用可能な武器を開発する
  • ・マーケティングもアジャイルに回し、サービスの拡大とトップラインの伸長を狙う
  • ・テクノロジーとマーケティングの相互フィードバックを進め、改善・進化を図る
  • ・要件が見えない状態から、早期にマーケティング活用可能な武器を開発する
  • ・マーケティングもアジャイルに回し、サービスの拡大とトップラインの伸長を狙う
  • ・テクノロジーとマーケティングの相互フィードバックを進め、改善・進化を図る

デジタルトランスフォーメーションの実現には、テクノロジーとマーケティングの両輪が一体となって回ることが重要だ。アジャイルはその核となる。そして、アジャイルの実践には、専門のスキルを持つチームと顧客とのコワーキング体制が不可欠。非連続的な成長が難しい組織や人材をいかに補うかがポイントとなる。電通デジタルはマーケティングやテクノロジーのエキスパートを混成したチームをつくり、企業の中に入り込んで深くかかわりながらプロジェクトをサポートしている。

適切なプロジェクト推進の方法論や組織・人材の体制の採用によって、テクノロジーとマーケティングを融合していくことが、デジタルトランスフォーメーションの実現の具体策となることを明確に示した。

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