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PROJECT INTRODUCTION プロジェクト紹介ヤマハ発動機様

プロジェクト紹介イメージ

PROJECT MISSION

ヤマハ発動機様が研究開発中の
「MOTOBOT」は、バイク本体には手を加えず、
人間と同じ操作方法で運転する
ヒト型自律ライディングロボットです。
2015年に開催された
第44回東京モーターショーでの技術展示に合わせ、
当時、電通でプロモーション動画の
企画と制作を担当し、
翌年から電通デジタルも
このプロジェクトに加わりました。

「Beyond Human Capabilities
(人間の能力を超えて)」という
ロボットの研究テーマを伝えるために、
人類最強クラスのライダーである
バレンティーノ・ロッシ選手に挑む過程を追う
映像コンテンツを制作しました。

・MOTOBOT Ver.1 / To ”The Doctor”, 親愛なるロッシへ 動画制作

・MOTOBOT Meets The Doctor (Valentino Rossi) 動画制作

・MOTOBOT Episode 3: Racing the Clock 挑戦 動画制作

  • YouTubeのヤマハ発動機
    公式チャンネルでの
    再生回数合計約270万回
    (2017/12/13現在)
和泉 興
リレーションシップマーケティング部門
リレーションシップマーケティング第2事業部
ECオウンド第2グループ
ロボットプランナー

自律ライディングロボットの
プロモーション動画制作

クライアント:ヤマハ発動機様
プロジェクト名:ヒト型自律ライディングロボット
「MOTOBOT」プロモーション動画制作

CMプランナーから
ロボットプランナーへ
活動の幅を広げる

和泉さんはロボットプランナーという
ユニークな肩書きでお仕事をされていますが、
まず自己紹介をお願いいたします。

和泉

もともとは電通の第1CRP局でCMプランニングの仕事をしており、ジャンルを問わずさまざまなクリエーティブの制作に携わってきました。在籍中の2014年に電通ロボット推進センターの立ち上げに関わり、MOTOBOTのプロモーションのプロジェクトは2015年から関わっています。翌年に電通デジタルが発足してからは、こちらで引き継いでプロジェクトを進めています。

電通ロボット推進センターとはどのような組織なのでしょうか。

和泉

サービス分野でのロボット市場拡大を踏まえ、私のようなCMプランナーやアートディレクター、コピーライターに加え、ロボット工学やキャラクターコンテンツに詳しい人間が部門横断的に集まって日本のロボット産業を活性化する目的で作られたバーチャル組織です。

プロモーション用ロボット開発のお手伝いをしたり、ロボットの競技イベントのプロデュースを行ったりしています。いまは電通デジタル内にロボット専門の部署があるというわけではありませんが、ソリューションの幅を広げるためにロボットをいかに活用できるかは常に考えています。

根っからのロボット好きなんですね。
ロボットに興味を持たれたきっかけは
どのようなものだったのですか?

和泉 興イメージ

和泉

子どもの頃からロボットアニメが好きでしたが、学生時代は文系だったので最初からロボット一筋だったわけではありません。転機は電通に入社して4、5年目に訪れました。

当時、車の乗り心地の良さを伝えるプロモーションのために、車の加減速やコーナーリングなど運転のスムーズさを実感してもらうにはどうしたらよいか考えていました。そこで、専用の車載装置を作って運転のスムーズさをスコア化し、安全運転をゲームにするというアイデアを思いついたのですが、その頃は電子工作の知識もなく、具体的な提案をすることができませんでした。

そこから独学で勉強を始めて、やっとプロトタイプが完成した頃には、タッチの差で特許を取られていました。その悔しさもあって、仕事でもプライベートでもロボットにのめり込んでいきました。

ヤマハ発動機様が進めていたロボットプロジェクトと
出会ったきっかけは何でしょうかは?

和泉

これは偶然ですが、電通時代にヤマハ発動機様の3輪バイクの技術広告キャンペーンを担当させていただき、TV CMや動画コンテンツの制作に携わっていました。そうしたなかで、ヤマハ発動機様がシリコンバレーのSRIインターナショナルという研究機関とコラボレーションしてヒト型ライディングロボットを開発しているという話を聞き、ぜひプロモーションを担当させてほしいとお願いしたのがきっかけです。

和泉さんはプロモーションのプロジェクトで
どのような役割を果たされたのでしょうか。
また、プロジェクトチームの構成についても教えてください。

和泉

MOTOBOTの研究開発プロジェクト自体はヤマハ発動機様が進めていることですので、私たちはその魅力を多くの人にどう見せていくのかというクリエーティブ部分でお手伝いをしました。私はプロモーション全体のプランニングと動画のシナリオ、コピーなどを担当しています。それ以外には映像制作のスタッフが関わります。電通の担当アートディレクターは大のバイク好きで私はロボット好きでしたから、最強のタッグになったと思います。

バイクを駆る喜びの正体を
明らかにするために

このプロジェクトの内容について、
もう少し詳しく教えてください。

和泉

まず、MOTOBOTがロボット開発として、いかに特殊なチャレンジかという背景から述べなくてはいけません。いま話題となっている自動車の自動運転化は、ほとんどが乗り物自体を改造して実現しようとしています。しかし、MOTOBOTの凄さはバイクには手を加えず、ヒト型のロボットが完全に自律して操縦しているところにあります。しかも使用しているのはYZF-R1Mというモータースポーツ仕様車です。乗りこなすにはアクセルやブレーキによるスピード制御だけでなく、エンジン回転数に合わせてクラッチやシフトペダルによるギア操作、コーナーでのバンク角に応じたステアリングなど、とても複雑な操縦が必要となります。

バイクを改造するなどのアプローチがあったにも関わらず、
なぜ、そのような難しいアプローチを試みたのでしょうか?

和泉

誰もが思いつくのは、MOTOBOTはバイクの耐久テスト等に使えそうだということです。ロボットなら何時間でも同じことができ、また人間のライダーにとっては危険なテストも行えるからです。しかし、エンジニアなど開発者の方に「なぜMOTOBOTを作るのか」についてヒアリングしたところ、答えは違っていました。人が乗った時に感動できるものを作るために、バイクを操縦している人間側の感覚を数値で明らかにし、その操作に対応する車両の挙動との関係性を解明したいというのです。人間が受け取る「感動」の正体を探り、未来の車両開発に活かしたいという人間中心の発想に驚かされました。

ヤマハ発動機様ではこの技術的に大きなチャレンジの象徴として、ロッシ選手への挑戦、200km/h走行という高い目標を掲げられました。話を伺うにつれ、これを実現するのは技術的に途方もない挑戦であることがわかりました。この「ムーンショット(月面着陸のような壮大な目標・挑戦の意)」を映像で伝えたいという気持ちがさらに高まりました。

MOTOBOTイメージ

具体的にはどのような映像表現にされようと思いましたか?

和泉

世界最高峰のGPライダーであるバレンティーノ・ロッシ選手への挑戦、そのチャレンジスピリットは、人々の共感を呼び、大きな注目を集めるに違いないと思いました。しかし、モーターショー用の映像で使える時間は、たったの数分間です。
そこで、開発者のみなさんからヒアリングした研究にかける想いを一つのメッセージにまとめ、MOTOBOTのモノローグとして語らせるという仕組みを準備しました。プロジェクトの概要や理念を感情移入しやすい形に凝縮して伝えることができる仕組みです。
世界観を一瞬で伝えるために、映像は、「私は、あなたを超えるために生まれてきた。」という、挑戦的なコピーではじまります。多くの人がその途方もない挑戦を見届けたいと思ったのではないでしょうか。

動画のプロモーションはどのように展開していったのでしょうか?

和泉

プロモーションは、MOTOBOTの開発ロードマップに合わせて展開していきました。2015年に最高100km/hの直進走行、スラローム・旋回走行の達成を発表する第1弾のムービーを公開。その翌年にはサーキット走行を実現しており、ロッシに挑戦状を渡すシーンを第2弾ムービーとして公開しました。2017年には最高速度200km/h以上の実現とロッシ選手のラップタイムに挑戦することを目標としていて、その模様は第45回東京モーターショー2017で発表されました。

どのような映像であったのかは、YouTubeのヤマハ発動機公式チャンネルで配信されていますので、実際にご覧いただくのがよいと思います。

*https://youtu.be/EzgJWwAx8Mo
この第1弾ムービーのMOTOBOTのセリフは、どこか感情移入しやすく、真実味があるように感じられると思います。理由は、開発に関わったエンジニアの方々から伺った想いからセリフが作られているからだと思います。海外のテストコースで撮影し、シナリオや演出などこれまでのCM撮影のノウハウを最大限活かした映像となりました。

*https://youtu.be/4dUb5T7DU-Q
その翌年の第2弾では実際にロッシ選手に出演していただき、MOTOBOTとの初対面を行うシーンを撮影しました。前作とは異なる明るいテイストを前面に出して変化を持たせ、今度はエンジニア自身にMOTOBOTの改良点を語っていただいています。

*https://youtu.be/mafJmMGGOXk
第3弾は、成長したMOTOBOTの迫力ある映像が見どころです。3年間のチャレンジの成果やスタッフの想いを、数分の映像に凝縮すべく努力しました。

「MOTOBOT」動画で
伝えたいメッセージとは

MOTOBOTに込められた
ロマンとワクワク感が伝わってくる動画でしたが、
現在までの反響などはいかがでしょうか?

和泉

第1弾、第2弾の公式ムービーの再生数が2017年12月現在でそれぞれ約100万回再生です。また、2015年の東京モーターショーのプレス向け公開日に、ヤマハ発動機の社長のメッセージの中でMOTOBOTがメイン級の扱いで発表されたのはとても嬉しく、プロモーションに関わった人間として誇りに感じています。

ヤマハ発動機様のものづくり理念のひとつに「人機官能」という言葉があります。これは機械の性能を高めるだけでなく、それに乗る人間の感性に訴えなければならないというものです。MOTOBOT自体はロボットですが、実現しようとしているのはまさにこの理念なので、私たちも動画にその想いを込めました。

ロボットは
  メディア

最後になりますが、和泉さん自身がロボットにかける想いや
今後のビジョンについてもお聞かせいただけますか。

和泉

これまでCMプランナーとしての活動の傍らロボットエンジニアのような活動にも取り組んできましたが、これは「ロボットと人の距離を近づけるお手伝いをしたい」という想いがあるからです。ロボットはリアルとバーチャルをつなぐ「新しいメディア」としての可能性が大きいと感じています。

私たちにとって身近なメディアは時代によって変わってきています。新聞や雑誌が中心だった時代から、ラジオやテレビが成長し、パソコンや携帯の時代を経て、最近はスマートフォンが普及しています。接触頻度の高いデバイスが、自然とメディアの中心となってきています。すでに私たちの暮らしの周りにさまざまなアシスタントロボットが入り込んでいますが、今後高齢化社会が進めば、ロボットがもっとも身近な人間のパートナー、つまり新しいメディアになるとしてもなんら不思議はありません。

そして、その時代のために私たちが準備しておくべきことは多いと思います。電通ロボット推進センターを立ち上げた理由もまさにそこにありますし、電通デジタルにはビッグデータとの連携というロボットをさらに活かせる強みもあります。電通グループとして時代の先を見越し、そのひとつとしてロボットを用いたコミュニケーションの可能性をこれからも追求していきたいと考えています。

インタビューイメージ

ありがとうございました。