2022.07.20

問い合わせの多い「GA4の導入ってどうやるの?」導入から初期設定まで完全レクチャー(第3回)

大企業デジタル担当者のためのGA4入門

※所属・役職は記事公開当時のものです。

株式会社電通デジタル
エクスペリエンスプロデュース部門

馬場建至

2020年10月、アクセス解析ツール「Googleアナリティクス4(以下、GA4)」がリリースされました。本連載は、主に大企業(ナショナルクライアント)のマーケター、EC担当者、広告担当者の方を対象に、GA4の導入や運用に関する悩みを解決することを目的とした連載です。

今回は、問い合わせの多い「GA4の導入方法」と「導入したときに同時にしておくべき初期設定」について解説します。初期設定は以下の5つです。

  • データ保持期間を「14か月」に変更する
  • Googleシグナルを有効にする
  • 除外するIPアドレスを設定する(必要であれば)
  • クロスドメインを設定する(必要であれば)
  • イベント&コンバージョン(サンクスページ到達)を設定する

大企業であれば、GA4の導入と初期設定は外部の会社に委託して行っていることが多いかもしれません。ただ、企業の担当者としても、GA4の導入に関する手順、作業内容、作業量についてはひととおり把握しておく必要があります。自分で導入作業を行う必要のない方も、ぜひご一読ください。

※この連載は主にGA4の無償版についての解説です。GA4の有償版の話をする場合には、「有償版」と記載します。
※今回のGA4の導入設定と初期設定に関しては、ご自身の判断と責任でお願いします。
※掲載しているGA4の画像は2022年6月26日時点のものです。表示や項目名が最新のものと異なっていることがありますが、あらかじめご了承ください。

GA4の導入方法

最初にGA4の導入方法です。GA4の導入には、Googleアナリティクスのアカウントが必要です。まだアカウントがない方は作成してください(ここではその方法は省略します)。

1. プロパティを作成する

まず、Googleアナリティクスの[管理]画面を開き、[プロパティを作成]をクリックします。

「プロパティを作成」画面(下図)が表示されます。「➀プロパティの設定」の項目を入力します。

  • プロパティ名:企業名やウェブサイト名などを入力
  • レポートのタイムゾーン:「日本」を選択(日本のウェブサイトの場合)
  • 通貨:「日本円(JPY ¥)」を選択(日本のウェブサイトの場合)

記入が終わったら[次へ]をクリックし、「②ビジネスの概要」を入力します。

  • 業種
  • ビジネスの規模
  • 利用目的

を自身のサイトに合わせて入力します。

記入が終わったら[作成]をクリックします。これでプロパティの作成は完了です。

2. 計測情報を入力する

次に、作成したプロパティのデータストリームを設定します。データストリームとは、「計測するウェブサイトからGA4へのデータの流れ」のことです。データが正しく流れるようにするための計測情報を入力します。

まずは計測を行う対象(プラットフォーム)の種別です。[ウェブ]を選択しましょう(アプリの場合は[Androidアプリ]か[iOSアプリ]を選択しますが、説明は省略します)。

続いて「データストリームの設定」という画面に切り替わるので、「ウェブサイトのURL」と「ストリーム名」を入力します。

  • 「ウェブサイトのURL」は計測したいサイトのURL
  • 「ストリーム名」はサイト名など、任意でわかりやすい名前にする

入力が終わったら[ストリームを作成]をクリックします。これでデータストリームが作成されました。

データストリームの画面に表示されている「測定ID」の右のアイコンをクリックすると、測定IDがクリップボードにコピーされます。どこかにコピペして保存しておいてください。次のGoogleタグマネージャー(以下、GTM)の設定に必要となります。GTMの設定もGA4で計測を開始するには必須です。

もしデータストリームの画面を閉じてしまった場合は、[管理]>[プロパティ]>[データストリーム]で確認できます。

3. GTMの設定

GTM[1]を開きましょう。GTMのアカウントが必要です。まだアカウントがない方は作成してください(ここではその方法は省略します)。

該当するコンテナで左メニューから[タグ]をクリックして、次に[新規]をクリックします(どのコンテナを利用するかに関しては、管理者に必ず確認するようにしましょう)。

[タグの設定]をクリックして、タグの種類(タグタイプ)は「Google アナリティクス:GA4設定」を選択してください。次の画面では以下の手順で設定を行います。

  1. 名前:「GA4計測」などわかりやすい名前を入力する
  2. 測定ID:GA4のデータストリームの測定ID(G-XXXXXXXXXX)をペーストする
  3. トリガー:「初期化トリガー」を選択して[追加]をクリックする
  4. [保存]をクリックする

※トリガーはGoogle公式でも推奨されている「初期化」を選択。トリガー「初期化」を使用すると、GA4設定タグを他のトリガーよりも前に配信できます[2]

これで画面右上の[公開]をクリックして、GTMの設定は完了です。以下はGA4の[レポート]>[リアルタイム]を表示した画面です。

これで無事設定ができていれば、GA4で計測が開始されます。

ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)とは違い、GA4はリアルタイムレポートでもデータが反映されるまでに時間がかかることがあります(おおよそで2~4時間)。しばらく時間を置いてから、データが反映されているか確認しましょう。

計測ができているか不安だという方は、有識者の方と一緒にGTMでタグが発火しているか、もしくはGA4のDebug機能で確認することを推奨します。

GA4導入と同時にしておく設定

続いては、GA4を導入したら最初にしておく設定です。全部で5つありますので、順番に解説していきます。

1. データ保持期間を「14か月」に変更する

GA4のデータ保持期間は、「2か月」か「14か月」の選択が可能です。デフォルトだと「2か月」になっています。昨対のデータが見たい場合などは、データの保持期間を「14か月」に変更しておきましょう。

設定は、[管理]>[プロパティ設定]>[データ設定]>[データ保持]画面で行います。「14か月」を選択して、「保存」をクリックしてください。

2. Googleシグナルを有効にする

次に「Googleシグナル」を有効にします。Googleシグナルとは、GoogleアカウントのログインIDをもとに、クロスデバイスで同一ユーザーを特定する機能です。

Googleシグナルを有効にすると、属性データ(性別・年齢・興味関心)が取得できます(※ただし属性データが取れるのは直近2カ月までとなっています)。また、クロスデバイス(PCとスマホなどの横断したユーザー)のデータが取得できます。ただし全ユーザーではなく、広告のカスタマイズを有効にしている一部のユーザーのみになります。

Googleシグナルに関しては、注意点があります。Googleシグナルを有効にしたことでユーザー数が減った、という現象が複数確認されています。おそらくクロスデバイスユーザーが重複ユーザーと見なされ、「しきい値」が適用された影響だと思われます[3]。計測期間中に有効/無効を切り替えることは、ユーザー数の数値に影響が出るため、避けた方が良いでしょう。

Googleシグナルの設定は、[プロパティ設定]>[データ設定]>[データ収集]で行います。

※Google シグナルは、状況によって個人情報保護法に関係する対応が必要になる場合があるため、状況に応じて法務部などに確認を入れるようにしましょう。

3. 除外するIPアドレスを設定する(必要であれば)

続いてはIPアドレスの除外です。IPアドレスの除外は、主に関係者からのアクセスデータを除外するのに利用します。しかし昨今、リモートワークが増えているため、完全に関係者のデータを除外するのは難しくなっています。必要であれば設定するようにしましょう。

まずは、[管理]>[プロパティ設定]>[データストリーム]を開き、対象のデータストリームをクリックします。

[ウェブストリームの詳細]という画面が表示されるので、最下部までスクロールして、[タグ付けの詳細設定]をクリックします。

次に[内部トラフィックの定義]をクリックし、続けて[作成]をクリックします。

次の[内部トラフィックルールの作成]画面で、以下の設定を行います。

  1. 名前:わかりやすい名前を入力
  2. トラフィックタイプ:internal
  3. マッチタイプ:任意で選択(「次に等しい」や「含む」など。正規表現は利用不可)
  4.  値:IPアドレスを入力
  5. [作成」をクリック

[管理]>[プロパティ設定」>[データ設定]>[データフィルタ]を開き、設定したIPアドレスの名前をクリックします。クリックしたら「データフィルタの編集」という画面が開きますので、[フィルタの状態]という項目を「有効」にすれば、IPアドレスの除外は設定完了です。

4. クロスドメインを設定する(必要であれば)

クロスドメインとは、異なるドメインAとBを同じGA4のプロパティで計測することをいい、ドメインAとBのセッションが途切れることなく、同じプロパティ内で計測が可能になります。こちらのクロスドメインに関しても、IPアドレス除外と同様、必要であれば設定を行います。

UAでは、商品ページとカートページのドメインが違う際によく利用されていた機能で、GTMを利用して設定していましたが、GA4になってからはGA4内で設定できるようになりました。ただし、UAも同時で運用していてクロスドメイン設定をしている場合は、UAの設定と同じドメインを設定する必要があります。

まずは、[管理]>[プロパティ設定]>[データストリーム]を開き、対象のデータストリームをクリックします(下図左)。[ウェブストリームの詳細]という画面が表示されるので、最下部までスクロールして、[タグ付けの詳細設定]をクリックします(下図右)。

次に[ドメインの設定]をクリックします(下図左)。[マッチタイプ]と[ドメイン]を入力して保存します(下図右)。

これでクロスドメインは設定完了です。

5. イベント&コンバージョン(サンクスページ到達)を設定する

最後に、イベント&コンバージョンを設定します。

おさらいになりますが、UAのアカウント構造はビューがあり、ビュー内でコンバージョン設定(目標設定)をしていましたが、GA4にはビューがありません。

GA4では、イベント登録をしないと、コンバージョン設定ができませんので、イベント設定したあとに、コンバージョン設定を行います。今回は、コンバージョンとして設定することが多い「サンクスページの到達」を設定しておきましょう(今回は「サンクスページ到達」=「セミナー申し込み完了」としています)。

イベントおよびコンバージョン設定は、左メニューの[設定」>[イベント]を開いてください。

すでに登録してあるイベントが「既存のイベント」で表示されています。登録しているイベントをコンバージョン設定したい場合は、[コンバージョンとしてマークを付ける]をONにすれば、コンバージョンとして登録ができますが、今回はまず新しいイベントを作成します。

[イベントを作成」をクリックし(下図左)、続いて次のページで[作成]をクリックします(下図右)。

次の画面で、「サンクスページ到達」を設定したい場合、以下手順で設定を行います(キャプチャ参照)。

  1. カスタムイベント名:わかりやすい名前を入力(日本語可能。今回は「セミナー申し込み完了」)
  2. 一致する条件
    1. パラメータ1:page_location / 含む / seminar/thanks.html(サンクスページのURLの一部)
    2. パラメータ2:event_name / 等しい / page_view
  3. [保存]をクリック

これでイベント登録は完了です。

この時点で[設定」>[イベント]を開いても、「既存のイベント」に、今回登録したイベントは表示されていないと思いますが、問題ありません。ここには発生したイベントしか表示されないためです。正しく登録されていてイベントが発生すれば、表示されるようになります。イベントが発生し、「既存のイベント」に表示されたら、[コンバージョンとしてマークを付ける]をONにしてください。

まとめ

正しい計測は正しい設定から。きちんと計測ができていない原因は、導入時や初期設定の問題であることが多いです。計測タグの貼り忘れもしばしば見られます。今回は解説していませんが、GTMを設定する際には、確実にすべてのページに計測タグを貼ってください。

次回は、「レポート機能の使い方」を取り上げる予定です。

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脚注

1. ^ Googleタグマネージャー(外部サイト)
2. ^ "Google アナリティクス 4 タグ". タグ マネージャー ヘルプ. 2022年7月22日閲覧。
3. ^ "[GA4] データしきい値". アナリティクス ヘルプ. 2022年7月7日閲覧。

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